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上位1%のトッププロと普通のプロ、素人との差はどこで生まれるのか?

 こんにちは、イデトモタカ(@idetomotaka)です。

フリーランスに限らず、業種業態に限らず、トップ1%のプロフェッショナルと、ふつうの職業人、そして門外漢の素人の、とりわけ質(クオリティ)の「差」はどこにあるのか?

それをライター、美容師、家事代行(掃除)を例に解説していきます。

新時代を生き抜くためのシン・フリーランス論、今回は「質」について。

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「サバイバル・スター」の解説は、こちらをご覧ください。

■結論、差の正体は“立体感”

 やや小難しく言えば、「次元」の差です。二次元とか、三次元と言われる、あの次元。これは当該領域における「IQ」の差とも言い換えることができます。

……待って、まだ帰らないでください。これを今からできる限り簡単に紐解いていきますので。

「IQ」というのは、簡単に言えば「時間と空間の推論能力」のことです。強引に言えば、二次元より三次元、三次元より四次元の(思考ができる人の)方が、より未来まで時間が立体的に視えている、ということだと思ってください。

今はまだ、ぼくの言っていることの意味がよくわからなくても大丈夫です。これからたくさん例を出していきますので、それで完全にわかるようになります。

現時点ではとりあえず、

素人: 二次元的(平面)
プロ: 三次元的(立体)
1%プロ: 四次元的(立体 + 時間)

だと、なんとなくイメージするだけでオーケーです。

■美容師の場合(素人とプロの差)

 「髪をハサミで切ること」は、美容師ではなくとも、誰にでもできます。ついでに言えば、ライターでなくても文章は書けますし、家事代行の仕事に就いていなくても、掃除はできます。

では、プロの美容師と一般人(素人)の差はどこにあるのかというと、ぼくは「立体感」だと思っています。

素人が髪を切ると、十中八九、仕上がりが「平面的」です。それが違和感を生み、ぎこちなさ、クオリティの低さを感じさせます。

プロの美容師のカットは間違いなく「立体的」です。「立体」はいくつもの「平面」の組み合わせ、複合で正立しています。これが知識や経験、技術の差と呼ばれるものの正体です。

素人が1(平面)を意識してハサミを動かすとき、プロは100の1(平面)を無意識に計算し、ハサミを動かします。極端に言えば、そういう差です。そうして積み上げた「平面」の圧倒的な質量が「立体(感)」になります。

……なんとなく、ぼくの伝えたいことの意味が、わかってきたのではないでしょうか。

■美容師の場合(トップ1%の差)

 では、プロの美容師とトップ1%のプロの美容師の差はどこにあるのかというと、「立体感」に加えてさらに「時間」の概念があるかどうかです。

これが三次元と四次元の差です。どういうことか?

立体的にカットするだけでなく、その結果、一週間後、二週間後、一ヶ月後、あるいは濡らして自分でドライヤーをかけた後、どうなっているのか?

それをどこまで鮮明に、精確に、イメージでき、考慮した上でカット(ハサミを動かすこと)ができるかどうかです。

補足:プロはみんなそこまで意識してやっているよ、という反論があるかもしれませんが、その場合は精度の差だと理解しておいてください。

この四次元の感覚(立体 + 時間)は、これから例示する後の二つの職業についても同じです。

■家事代行(掃除)の場合

 ぼくには掃除の師匠とも呼べる人がいます。長年、ぼくはその方に自宅の掃除やメンテナンスをみんな任せていたのですが、そのお陰で掃除の素人とプロの差をよくよく学ばせてもらいました。

素人は二次元的だと言いました。つまり平面です。掃除でも、ふつうの人は床や棚など、平面(だけ)にしかあまり目が向きません。

ぼくが師匠に部屋を掃除してもらったとき、まず驚いたのは雑巾でせっせと壁を拭いていたことです。水回りはもちろん、換気扇や排水溝、クローゼットのハンガーの埃など、掃除というアクションが見事に「立体的」でした。

なるほど、掃除のプロとはこういうものなのか、と膝を打ったのを憶えています。他にも、ぼくは素人なので本やモノはだいたい平面的に散らかっているか、積んでしまうわけですが、師匠は基本的に(ごみ袋でさえ)縦置きにするか、棚を追加して空間を立体的に有効活用していました。

また、「時間」という面でも、こうすることで将来の掃除が楽になる、あるいは半年後、一年後まで見据えて汚れにくくなるだの、計算して手入れをしてくれていました。文字どおり、ぼくの「掃除」とは次元が違ったのです。

■ライティングの場合

 文章を書くことに、平面的、立体的、時間感覚なんてあるのかというと、説明が難しいのですが、あります。やっぱり、ぼくらプロとして文章を書いている人間からすると、そうでない人の文章は、時にとても平面的に感じられることがあります。

では、どこで差が生まれてくるのかと言えば、先に述べたとおり、知識や経験といった平面情報の膨大な蓄積によって、そしてそれらに意味を持たせる技術の獲得によって、です。

ライティングにおいても、その文章を読んだ人が、読み始めに、読んでいる最中に、読後に、どんな感情になるのか、思考になるのか、行動を取るのかといった空間的、時間的推論ができるかどうかに、大きな差が存在していると思っています。

ぜひ「立体感」そして「立体感 + 時間」という視点を持ってみてください。きっとものを見る目の養成や、自身の向上に役立つヒントになるはずです。

■AIと人の差

 二次元と三次元、さらには四次元との差は、つまるところ膨大な知識と経験、そして技術の蓄積から生まれると書いてきました。仮にこれらが「膨大な量のパターン認識」と、その結果得られた「推論能力」に由来するものだとするならば、まさに AI の得意分野です。

事実、AI はどんどんそういった方面から入り込んできており、これまでトップ 1%の秘技とされてきたものを、誰でも再現可能な平凡な技にしている流れがあります。ユーザーとしてはありがたいことかもしれませんが、提供側としては、正直たまったものではないという人も多いでしょう。

では、人はやがて AI に負けてしまうのか、勝ち目はないのかというと、そんなことはありません。AI などのテクノロジーは最大限活用させてもらいながら、人のすべきことは「さらに未来を視る」ことです。

次元は一次元上がるごとに、計算量は爆発的に増大します。それに、AI の得意分野は「(過去の)最適化」です。ゆえに、人の仕事は、ますます創造的に「未来(時間)」を想い、そして過去の最適化ではなく、新しい世界を創っていくこと。

さらに付け加えれば、(今のところ)AI には個体ごとの「アイデンティティ」はありません。生まれてから今日までの、人生の軌跡もありません。これも、人間が一人ひとり持つ最強の武器です。

ぼくらの人生と、仕事が物語として結びついたとき、世界にたった一つだけの商品やサービスになります。無敵です。

■まとめ

・プロフェッショナルは「立体的」である
・トップ1%のプロはさらに「時間感覚」がある
・立体(感)は膨大な平面の蓄積で生まれる
・膨大なパターン認識と推論能力は AI の得意分野
・人は最適化ではない未来を創ることができる
・自分の人生というアイデンティティを武器にする

最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。また書きます。
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