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#4 結晶化されたひとこと | 音の建築 -空間にはすでに音がある-

表参道ヒルズ、東京銀座資生堂ビル、グランフロント大阪、電通ビル、愛知万博、浜名湖花博…多数の空間や建築を「音」の切り口からプロデュースしてきた井出 祐昭。音と建築について、その極意をお話します。

前回のお話で、音響プロデュースに於いて大切な「空間と仲良くなる」方法について等をご紹介しました。

今回は、仲良くなった先のお話です。


結晶化されたひとこと

自分だけが表現者じゃない

空間と仲良くなり、方向性などが絞られていくと、もう一つ課題が出てきます。それは、その空間を表現するのは自分だけじゃなく、沢山の人がいるということ。その人たちと同じ方向を向く必要があります。

その際に「ふわふわしていて、キラッと輝いていて…」なんて説明してもなかなか伝わりません。

私はそこで、考え考え考え抜いて、重みのある「ひとこと」にするようにしています。それを、「結晶化されたひとこと」と呼んでいます。

皆がその言葉で動ける

「花が歓ぶ音楽」もそうです。
いっかにも綺麗ごとみたいですが、ぐるぐる何度も回って辿り着いた、針の穴を通す言葉。
それがそのまま記事のタイトルになるくらいに、結晶化されひとことです。

すると、皆がその言葉で動ける。
録音の時も、「演奏者の前に花を置いて、それに向かって演奏してね」と方法が定まってきます。
その言葉で、新たにお花が音楽を聴くためのスピーカーを開発したり、来場者に体験してもらう内容が具体的に決まりました。

花を前に演奏ている実際の様子

空間が教えてくれたものをまっすぐに

いかに現場と共有し、初志貫徹で表現し続けるか

空間と仲良くなり、「こういうものをつくりなさい」と教えてくれたもの。

建物にも限らず、いろんなものをプロデュースする機会があるんだけど、それが一番頼りになるんですよね。

それを現場と共有し、予算や時間などで曲げない。
難しいことですが、反するものにめげずに、初心貫徹で、表現し続ける。
それが仕事の大きな部分だと感じます。

記事の見出しになったら答え合わせ完了

「結晶化されたひとこと」は実際に記事の見出しになったものばかりです。
企画からコミュニケーション、露出まで、スカーンといくための合言葉になりました。

当時の記事抜粋(出典不明)

次回、「本当に音が必要か?」。スタートラインに立ち返るお話をします。


せっかくなので、花博の時の音楽を。



井出 祐昭 HIROAKI IDE
サウンド・スペース・コンポーザーSound Space Composer

ヤマハ株式会社チーフプロデューサーを経て、2001年有限会社エル・プロデュースを設立。最先端技術を駆使し、音楽制作、音響デザイン、音場創成を総合的にプロデュースすることにより様々なエネルギー空間を創り出す「サウンド・スペース・コンポーズ」の新分野を確立。
主な作品として、30周年を迎えるJR新宿・渋谷駅発車ベル、愛知万博、上海万博、浜名湖花博、表参道ヒルズ、グランフロント大阪、東京銀座資生堂ビル、TOYOTA i-REALコンテンツ、TOYOTA Concept-愛i、SHARP AQUOS、立川シネマシティ、世界デザイン博など。
またアメリカ最大のがんセンターMD Anderson Cancer Centerで音楽療法の臨床研究を行う他、科学と音楽の融合に取り組んでいる。最近では、日本ロレアルと共同で髪や肌の健康状態を音で伝える技術を開発。米フロリダ州にて行われた化粧品業界のオリンピックである第29回IFSCC世界大会、PR分野の世界大会であるESOMAR 2017にてグランプリを受賞。メディア出演・講演多数。

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