しろいし

しろいし

最近の記事

怪談

私の実家は海と山の距離がとても近く、港町でありながらも住民の半分は山あいで暮らしているという少し変わった港町にある。 とても小さな町で、町というより集落といった方が妥当な感すらある古く小さく静かな港町の山側にある旧家が私の実家である。 旧家とはいっても四代ほど前の当主が事業に失敗し、祖母が小さな頃に自宅すらも一時赤札が貼られたと伝わる没落の限りをつくした名ばかりの旧家だ。 いわゆる『女系』の一家で滅多に男児が生まれない家系であり、没落の原因を作った当主はめずらしく産まれ

    • 金田先輩について

      久しぶりのnoteなのでリハビリがてら私が前にちらっとツイートしたことがある『高校生の頃からたまにセックスする先輩』について書こうと思う。 先輩と出会ったのは私が高校三年生の冬。受験も終わって進学する大学が決まり、さぁ新天地へ!と胸をときめかせていた頃だった。 高校生最後の春休みを満喫しようと友達と遊び倒している時に友達が連れてきたのが当時大学三年生の金田先輩だ。 これがまたとんでもないエピソードもちの男でして、私も通っていた某塾の受付嬢達を口説き倒して仲間内でその受付

      • 初めての絶頂と蝋

        扉が閉まると同時に川島さんはトランクをばかんと開けて中からよく見覚えのある首輪を取り出した。 「彩、こちらに来なさい」 そう言って私を呼ぶと私の首に首輪を装着しニヤリと笑う。 私のために川島さんがしつらえてくれた首輪は魔法のように私の意思や気分に関係なく私を『奴隷』と定義付けて、世の中の法や倫理から脱出して別世界にきたような気分にさせてくれる。 うっとりと首輪を撫でると川島さんの手がピシャリと私のお尻を叩く。 「彩、服を脱ぎなさい」 そう言われ、恥ずかしさを堪えて

        • 夜のドライブと予定調和

          私が奴隷となった日の翌日、川島さんからのメールで目を覚ました。 当時はまだガラケーしかない時代で通話以外の連絡方法といえばメールだった。 携帯をとるために身を起こすと叩かれた臀部が少しだけ痛む。 『彩、明日の夜は時間があるか?あるなら迎えに行くから出掛けよう。下着はつけてくるなよ』 そっけないメールではあったが私の股間は潤み、期待にクリトリスがはち切れるほどに充血した。 昨日あったこと。縄。鞭。首輪。 縄と首輪は存在がもうひどくエロティックで身体に巻き付くだけで高

          ナギという男

          ナギという男の話をする。 ナギは常にどこかぼんやりしていて、うまくこの世にアクセスできていない感じの男だった。 そのわりに子供っぽい感覚を多分に残していて俗っぽく、ボンドカーだからと大きな身体をBMW Z3に押し込めて乗り回したり、独り暮らしのくせに大きな一軒家を借りて暮らしていたり、なんともバランス感覚が奇妙な男だった。 ナギは私の5歳年上で私が大学三年生か四年生の時に出会った。 垂れ目がとても印象的で目元がとても欲情を誘うタイプの男だったが、その実私とナギがセック

          ナギという男

          首輪と始まりの日

          茜さんと『虫』の公開調教が終わり帰路につく。 夕暮れのなかを川島さんと今日の公開調教について語りながらのドライブはとても楽しく、あっという間に私達が住む市内に戻ってきてしまった。 「彩、今日はまだ時間あるか?あるならちょっとアトリエに寄っていかないか?」 川島さんが運転しながら言う。今日はバイトもなく、なんの予定もない。断る理由なんてなかった。 「今日はなんにも予定ないので大丈夫です」 そう私が言うと川島さんは私の頭をスッと撫でてアトリエに向かった。 アトリエは相

          首輪と始まりの日

          犬と絶頂

          茜さんの「よし、じゃあこっちは抜くぞ」と言う声が聞こえた。全くもって正視できなかった針プレイは終了したらしい。 「ぐ!」と『虫』が呻く。チラリと一瞬だけ覗き見ると茜さんが亀頭からスッと手際よく針を抜いていた。 「よし抜けた」という茜さんの声が聞こえたので『虫』を見てみるとあっという間に亀頭の針は全て抜かれて、茜さんが消毒液を手荒く亀頭にかけていた。亀頭にはいくつもの小さな赤い点ができていた。 化膿防止のために当然のことなんだろうが、SMプレイの途中にきちんと消毒すること

          犬と絶頂

          亀とハリネズミ

          茜さんに詰められた『虫』が出した答えは針だった。 針!!!! 私は針プレイなんて今まで見たことがなかったので興味を持ちつつもあまりにも痛そうで恐怖を感じていた。さっきみたいに急に川島さんがその気になってしまうかもしれないし、なにより先端恐怖症気味なのだ。じんわりと背中に嫌な汗をかいていた。 そんな私には目もくれず茜さんはトランクからビニール袋を取り出すと、中から病院でよく見るパッケージに入った注射針を何個か取り出した。(当時はとある通販サイトで購入可能でした) 「太い

          亀とハリネズミ

          麻縄とバラ鞭

          私が振り下ろした鞭はなんだか間抜けな音をたてて『虫』に当たった。当てた瞬間に鞭を引こうとしたが当たる前に少し引いてしまったようだった。難しい。『虫』もそこまで痛くなかったようで先ほどよりだいぶ余裕そうだった。 「鞭って難しいですね」 私が言うと川島さんと茜さんが笑った。 「初めてだもん、仕方ないよ。よし。次は澪かレイやってみる?」 と茜さんが私から鞭を回収しつつ言うと澪さんとレイさんがキャアキャア言いながら「やりたいやりたい!やるやる!」と姦しく縄を取り合い始めた。

          麻縄とバラ鞭

          サディスト達と鞭

          鞭は空中で弧を描きながらしなり、革はライトを反射して美しい閃光を放った。 その光を見てすぐの肉を叩く鋭い音。 そしてそれを追う『虫』の悲鳴。 「ああああっ!ああああっ!あぁ…あぁ…」 『虫』は座り込んで身を縮めて身悶えしながら痛みに喘いでいる。鞭打たれた背中は赤い線が残っていた。 「は?たった一発でギャーギャー喚くな!ほら早く立て!みっともない声を出すな!」 茜さんが激を飛ばすと『虫』が 「はいっ…はいぃ…ぅぐっ…」 と半べそで情けない返事をしながら立ち上がる

          サディスト達と鞭

          男と閃光

          私が車に乗り込むと川島さんはすぐに車を出発させた。 レトロな雰囲気の車内にあるカップホルダーには買ったばかりであろう温かい珈琲が置いてある。口をつけられないぐらいまだ熱い。 いつだって川島さんは温かい飲み物は温かいまま、冷たい飲み物は冷たいまま私に届けてくれる。隅から隅まで痒いところに手が届く。人柄は勿論、こういうところも川島さんを信頼できると感じた由来だった。文句のつけようがないほど私のことをわかってくれているし、気をつかってくれている。しかもそれを押し付けがましくなく

          男と閃光

          恋と地獄

          半熟卵の黄身のような濃厚でとろりとした夕日が差し込んでいたアトリエには徐々に闇が忍び込んできていた。 散々指で絶頂に導かれ、ぐったりとアトリエの床に伏せていた私を川島さんはそっと抱き起こしソファーに座らせた。 「しろいしさん大丈夫かい?君があまりに可愛い表情をするからついいじめてしまった。ごめんね」 と言って私の額と頬に唇をつけた。嬉しくてじんわりと心が熱くなる。私は川島さんに一瞬で心まで奪われてしまったようだった。彼の持つ圧倒的な支配欲と獰猛な野犬みたいな目に私は瞬時

          恋と地獄

          いらない傘とトラバサミ

          10年以上前の話になる。 私は某大学の文学科に通うひたすら凡庸なボンクラ女子大生であった。 コボちゃんにそっくりなとっつぁんボウヤ教授の元に籍を置き、たまに羽目をはずしたりしつつも極々普通の女子大生として毎日を過ごしていた。 そんなある日、コボちゃんから指令がくだる。 「君たちが興味ある職業の方にインタビューしておいで。協力してくれる方のリストがあるから、この中から自分で選んで自分でアポを取って話を聞いてくるように!その後まとめてレポート提出!」 ペラッとコボちゃん

          いらない傘とトラバサミ