亀とハリネズミ

茜さんに詰められた『虫』が出した答えは針だった。

針!!!!

私は針プレイなんて今まで見たことがなかったので興味を持ちつつもあまりにも痛そうで恐怖を感じていた。さっきみたいに急に川島さんがその気になってしまうかもしれないし、なにより先端恐怖症気味なのだ。じんわりと背中に嫌な汗をかいていた。


そんな私には目もくれず茜さんはトランクからビニール袋を取り出すと、中から病院でよく見るパッケージに入った注射針を何個か取り出した。(当時はとある通販サイトで購入可能でした)

「太いやついこうかな。最初は乳首からだ。暴れるなよ」

茜さんが座っていた『虫』の少し淋しくなった頭髪を鷲掴みにして立たせながら言う。

「ヒィッ、がんばりますっ。頑張りますっ」

と言いながら『虫』が立ち上がる。

茜さんは慣れた手付きで注射針のパッケージを何個か開けてテーブルに並べ、ビニール手袋をするとその中のひとつを手に取り『虫』の右側の乳首のピアスを強く引っ張った。

「あああっ。茜さまっ。茜さまっ」と乳首を伸ばされている『虫』が泣きそうな声を出している。

「しっかり立て!手元が狂うだろうが!」と茜さんが激を飛ばすと虫は痛そうな顔をしつつも棒立ちになった。

すると茜さんが乳首のピアスを避けて無言で乳首にスッと針を貫通させた。

「あああっ!あああっ!」

虫がわめくのも意に介せず茜さんは先ほどの針とX字になるようにもう一本針を刺した。乳首からぽたぽたと血が落ちる。

痛そうで見ていられなかった。痛み的には一本鞭とどちらが痛いのかわからなかったが、視覚的に針の方が血もでてるしひどく痛そうに見えた。

顔をしかめている私に川島さんが気付いたようで、川島さんがそっと私の手を握った。

「彩、大丈夫かい?見るのも辛いなら見なくていいよ。針は血も出るから好き嫌いも多いプレイだし、さすがに彩にはちょっと刺激強かったね。ごめんね」

そう言って川島さんは私の頬を撫でた。

私は頷いてから『虫』から視線を外して足元を見ていた。虫の悲鳴だけが聞こえる。

パチン、パチンというゴム手袋をはずす音を最後にあたりが静かになったので少しだけ視線をあげると『虫』の乳首は両方ともX字に針が刺されていた。血が胸に擦り付けれていて『虫』の胸には赤い模様ができていた。

さすがに虫のぺニスは元気がなかったが、それをみた茜さんが『虫』のぺニスにローターをテープで雑に装着した。そして細長いバイブにローションをたっぷり塗りつけると虫のアナルに突き刺した。

「ああああああっ。あっあっあっ!」

虫が悦びの声をあげる。少し元気を取り戻した虫のぺニスを見ながら茜さんが再びビニール袋の中から注射針を出した。

今度は大量。細い針を大量に準備している。

「ちょっと開けて並べんの手伝ってくんない?」

茜さんの呼び掛けに反応してみんなでパッケージを開けた。今度は本当に細い針でまち針や縫い針みたいな細さだった。これを大量に出したと言うことはこれを全てどこかに刺すということだ。自分が刺されるわけでもないのに私は再びじっとりと嫌な汗をかいていた。汗で濡れた背中が冷たい。


みんなで全てのパッケージを開封し終える頃には『虫』のぺニスは元気を取り戻していた。

茜さんがそれを確認すると「よしよし、じゃあハリネズミにしてやるからな」と笑った。

それを聞いた『虫』は嬉しいような怖いような微妙な顔をした。『虫』も針が怖いのだろうか。

ハリネズミ。どこかにたくさんあの細い針を刺すのだろう。最初に『虫』の身体を見たときの記憶がリンクする。傷だらけの亀頭。つまりハリネズミにされる場所は亀頭なのだ。

私はあまりの恐怖に刺すとこが見れなくてテーブルの上にあるケーキやお菓子を眺めていた。

茜さんの笑い声や怒号と『虫』の悲鳴と荒い息、澪さんレイさんの「うわっ…痛そう」等という声だけがひびく。身体を固くする私を川島さんはそっと抱いた。

「針はやらないようにしようか。彩が本当に嫌なものは絶対にしないから安心して」

川島さんの優しい声にほっとしながら川島さんに身体を預けた。

その間も『虫』の痛そうなうめき声は続いている。川島さんのデニムに包まれた太腿をぼんやり眺めて時がたつのを待っていると、茜さんの楽しそうな声が響いた。

「ハリネズミできたぞー!可愛い可愛い。みんな見てみて!」

澪さんレイさんは『虫』の近くまで移動してじっくりハリネズミを眺めている。

私はチラッとだけ見てみたが大量の針が亀頭に刺さっていて恐怖でしかなかった。

川島さんはそんな私を見てそっと微笑み、私のおでこにキスをするのだった。

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