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金田先輩について
久しぶりのnoteなのでリハビリがてら私が前にちらっとツイートしたことがある『高校生の頃からたまにセックスする先輩』について書こうと思う。
先輩と出会ったのは私が高校三年生の冬。受験も終わって進学する大学が決まり、さぁ新天地へ!と胸をときめかせていた頃だった。
高校生最後の春休みを満喫しようと友達と遊び倒している時に友達が連れてきたのが当時大学三年生の金田先輩だ。
これがまたとんでもないエピソードもちの男でして、私も通っていた某塾の受付嬢達を口説き倒して仲間内でその受付嬢数人を"共有"してセックスしまくっていたいうとんでもない逸話をもち、今もセフレを多数抱えながらも彼女はまた別にきちんといるという規格外の女好きだった。
そのエピソードを知っていた私は冷ややかな目で彼を見ていたのだが、なにかのきっかけでお互いの生い立ちを話したところまるで魂の双子ではなかろうかと思うほど生い立ちが似ていて私と先輩の距離はぐっと近くなった。
田舎の旧家出身、同じスポーツをやって育ち、母とは不仲、趣味も同じで選んだ学部も同じ。身体つきもしゃべり方も何故か似ていて二人とも骨が太くて一見毛並みがよく、ゆっくり喋る。そして中身がどうしようもなく爛れている。
似た生い立ちのせいなのか考え方も似ていて、あっという間に私と先輩は仲良くなりその日はメールアドレスと携帯番号を交換して、その日からメールと電話でよく話すようになった。
初めて会った日から数日後、二人で遊ぶことになった。先輩は大学の授業そっち抜けで某ギャンブルで稼いで購入したという大学生にしてはそこそこのランクで程度の良い中古車で私を迎えに来た。
私が乗り込むとニッコリ笑っていけしゃあしゃあと
「よし、しろいし!ホテルいくぞ!」と笑う。
えっ……?と思う暇もなく先輩はまくしたてる。
「だってお前もうちょっとで遠くの大学いっちゃうでしょ?それなら今のうちにしとこうよ。こんだけ性格似てるならセックスもきっと楽しいでしょ。だからしよう」
普通なら嫌だとなりそうなものだが先輩の天性のなつっこさというのかなんなのか、何故か嫌な気はしないし可愛いなと思わされてしまい、その日からたまにセックスする先輩後輩という関係が構築された。
先輩のセックスは非常にノーマルではあったが先輩は異常なほどの汗っかきだったようで、とにかく汗がすごくて正常位だと先輩の汗が顔にぱたりぱたりと落ちてきて目に染みたりしつつもお互いに相性は悪くなかった。
先輩からは「特に変わったことしてるわけでもないのにお前としてるとなぜかすぐ出ちゃう」などと評されお互いに『気が向くとたまにセックスもする友達』となっていった。
私が大学のある地方から実家に戻れば大体一度は会ってセックスをし、お互いの彼氏彼女について相談したり就職について相談したりと非常に良い友達であった。
それは先輩が就職し、私も先輩と同じ職業につき、先輩が彼女と結婚しても続き、頻度は極端に少なくなり年に一度ほどにはなったけれど会ったらご飯食べながらお喋りしてそのあとセックスして別れるという事を続けていた。
もしかしたらこれは一生の付き合いになるのでは?などとも思い始めた頃に私の結婚が決まり遠方に嫁ぐこととなった。
そこからはなんとなくお互いに忙しくなったのもあり、先輩の事などすっかり過去の事となっていたがある日突然先輩からメールが入った。
「久しぶり!次の異動でしろいしの家の近くの支店勤務になったから時間あるとき会おうぜ」
疎遠になった時間なんて全てすっ飛ばすように先輩からのメールは慣れた雰囲気で、私も今まで会わなかった時間なんて軽々と跳躍し、慣れた気分で電話をかけた。
先輩はまだ子供がおらず結構自由にしていること、次の異動は栄転だということ等を話し、私は子育てに七転八倒してることや、先輩が気に入っていた下側に脂肪がしっかりついた吊り鐘型のおっぱいが授乳によって消失したこと、乳首が大きくなって伸びてしまったこと等を話した。
先輩はゲラゲラ笑い、
「あのどうしようもない尻軽のお前がお母さんねぇ。年取ったもんだ。でもお前、意外と真面目だからいいお母さんしてるんだろうな。俺には仕事しかねぇわ」
と言い、少しだけ長い沈黙が訪れた。
こんな沈黙をするような人ではなかったので少しだけ違和感を覚え、何か口にしようと思ったが口に出せないうちに先輩から
「じゃあまた会えそうな時に連絡するしお前も連絡くれよ」
と言われ、電話は切られ静寂だけが残った。
この少しの沈黙にきっと多大な意味があったのだろうと今は思う。
先輩との会話はこれが最後になってしまったのだ。
この後先輩は精神的な病に罹り、私とのんきに話したりセックスなんてしてる場合ではなくなってしまったのだ。
先輩から精神的な病を患ったと聞いたとき、私は正直なところ「やっぱりな」と思っていた。
先輩はずっと命を削るように生き急いだセックスばかりしていたから、いつかはこんな時がくるんじゃないかと私は密かに思っていたのだ。
そして私は安堵してもいた。今まで私や他の女の子に性衝動を媒介して乱暴に吐き出し続けていた何かをきっと今度は正しく消化するのだろうと。
私がナギを亡くして嵐のような気性に成り果てていた時に夫がしてくれたように、誰かがそっと側に寄り添っていてくれてるのかもしれないし、先輩自身でうまくやりこめるのかもしれない。
そこは私には知る余地もないけども、今も遠くからそっと先輩の寛解を祈り続けている。
この先二度と会うことがなくたって、間違いなく私は先輩がずっと好きなのだから。
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