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カルフォニ村
2023年4月30日 20:07
お金をかけて戦闘機を飛ばした。実際に町をひとつ破壊した。そこに土偶が運転するUFOを付け加えたらどうなるか、と映画監督は考えた。〈スフィンクスは今宵も寝て待て〉と題された映画がどれだけ素晴らしい傑作か、ぼくは三時間かけて執念深く話したが、映画ライターの逢沢京子は狐につままれたような顔をしていた。「その話って、まだ続きます?」「あと五年ぐらい?」「観せてもらえたほうが助かるんですけど」
2023年4月16日 14:11
「どうしましょうか?」 僕はたずねる。 男は——仮に〈教授〉としておく。 教授はショートケーキのフィルムを舐めながら言う。「どうしようもないさ」 僕らが話しているのは、扇風機のことだ。昭和時代に大量生産された骨董品。 半透明の羽根は青く、胴体部の塗装は剥げ落ち、錆色の地肌を見せている。強中弱のボタンを切り替えるたびに大げさな音を立てて、そのくせ、貧弱な風しか送ってこない。どのボタンを押し