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モロッコでサヨナラ③-フェズ~サハラ砂漠-

ご飯を食べ終わって、おじさんと話をしていたら、疲れが出たのかなんだか調子が悪くなってきた。ママもいるし、ソファに少し横にならせてもらうことにした。

少し寝ただろうか。自分の上に人の気配を感じた。目を少し開けると、おじさんが自分の上に覆いかぶさっていた。「あー、やっちゃった」と思った瞬間におじさんが顔を近づけてきてキスされそうになった。「これほんとにヤバいやつだ!!」とおじさんを制して慌ててソファから飛び起きた。周りを見回したけどママの姿はどこにもなかった。「この家におじさんと二人きりでは何が起こっても助からない」と思い、お腹は全然痛くなかったけど「お腹がとても痛いから今すぐ帰らせて」と言った。「お腹が痛いならもう少し休んでいけばいいじゃないか」と言われたけど、「宿に薬があるからそれを飲まないと治らないとにかく帰る」と言い返した。「まだ休んでいた方がいい」「いやだ今すぐ帰る」としばらく問答してたけど、おじさんがついに折れて「わかった外でタクシーを拾おう」と言った。おじさんの家は旧市街から少し離れていたけど、一刻も早くこのおじさんから離れたかったから歩いてでも帰るつもりだった。でもおじさんはタクシーじゃないと無理だと言ってきかないので、おとなしくタクシーを拾わせることにした。一緒に乗りこまれたらアウトなので「ひとりで帰る」と散々言って、やっとおじさんと別れることに成功した。

別れ際、おじさんは「夜ホテルに迎えに行くから、ご飯を食べに行こう」と言ってきた。懲りないなぁこのおじさん・・・と半ばあきれながら、「お腹痛いから無理」と断って、おじさんと分かれた。

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夕方になって落ち着いたので、出かけようと思って窓の外を見た。宿の向かいのカフェのテラス席にあのおじさんが座っていた。宿を出たら絶対に見つかる。避けるわけにもいかず、「やっぱりお腹が痛いから、今日は行かない。じゃ」とだけ言って、すぐに宿に戻った。

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翌日、宿のおじさんに頼んでいたサハラ砂漠の拠点になる町メルズーガ行きの夜行バスの手配ができた。フェズに入って3日が経っていた。やっとフェズを出られると思うと寂しい気もする。でも時間は有限。次の町に行かねばならぬ。最後にフェズの旧市街を散歩することにした。賑やかそうなレストランにはいり、タジン鍋を堪能した。最後に出されたクッキーは脳が溶けそうなくらい甘かった。

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お昼を食べた後公園で休憩していたら、あのおじさんに見つかってしまった。なんだか声を掛けられたけど、無視してその場をすぐに離れた。

夜、フェズを出発してメルズーガに向かった。夜行バスで隣になったのは、ケイシーという香港の女の子だった。小柄で、よくしゃべる元気な女の子だった。わたしはメルズーガの宿と砂漠ツアーを予約していたが、ケイシーは「行けばなんとかなるっしょ」って感じだったので、一緒の宿に連れていくことにした。

まだ暗いうちに、メルズーガの少し手前のハシラビットという町に着いた。砂漠ツアーの人間はここで降りるように言われていたので、他多数の多国籍な旅人たちと一緒にバスをおりた。そこにはあちこちの宿の人たちが迎えに来てくれていた。わたしがお世話になる宿のおじさんを見つけてよろしくお願いしますと言った。ケイシーはその場で交渉してOKをもらっていた。さすがだと思った。

わたしが申し込んだ砂漠ツアーは夕方出発して砂漠で1泊して戻ってくるものだったので、早朝に宿に着いても出発まではかなり時間があった。とりあえずシャワー浴びてリビングで少し仮眠した。プールもあったけど水着はなかったから諦めた。

ホテルの目の前は砂漠が広がっていてとっても静かだった。

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町には驚くほど何もなかった。町で唯一のカフェみたいなところが開いていたので、入ってごはんを食べた。ミントティーはやっぱりおいしかった。

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そしていよいよ砂漠ツアーに出発する時間がきた。


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