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あしたのジョー2 アニメ✖️マンガ比較 第四十七話 青春はいま・・・燃えつきた

アニメおすすめ度 ★★★★★+★

マンガ版『あしたのジョー』が完結したのが1973年。
そしてこの『あしたのジョー2』が放映されたのが1980–1981年。
マンガ版が完結してから長い歳月が経過してから放映された今作。
あれだけの大人気作品、そして完結してから約7年、ほとんどの人が結末を知った上で見ているであろう。
そして僕とて2020年、この物語の結末はもちろん知っているわけで。
結末を知り、それでもこの物語が別の場所に着地してくれないだろうか、そんなことをどうしても祈りながら見てしまうのが今回なわけです。
一度はジョーの勝利が見えたこの戦いも、もはやここから新たなる逆転は絶望的。
右目が見えていないことが放送席から公表され、例えこの試合がどんな結末を迎えようとこの試合がジョーにとって最後の試合になることはアニメを見ている僕らも、アニメの中の観客も心に刻まされます。
可能性があるとすれば、一時のジョーの優勢な試合運びで判定がジョーに傾いてくれればと。
そんな中でジョーはこの試合に、そして周囲の面々はどんな行動に出るのか。
それが描かれるのがこの『あしたのジョー2』の最終回なのです。

ここで描かれる物語の中心人物はジョーではなく、ヒロインである白木葉子。
ほとんどのキャラクターが物語のなかで固まった存在になってしまっている中、彼女だけが成長する余白を残している。
そのため、最後の最後はジョーを愛した彼女の成長の物語として描かれるわけです。
ジョーが追い詰められる姿を目の当たりにすると目を背け、逃げ出してしまってきた葉子。
今回も一度、逃げ出そうとします。
車に乗り込み、ラジオを切るように運転手に命じる彼女。
ここ、すごい!!
これまでずっと声に感情がイマイチなく、何を考えているのかよくわからない、信頼できない雰囲気が漂っていた彼女。
試合直前の告白シーンですら少し本音の感じがない。
にも関わらず、ここで今まで聞いたことのない張り上げるような声を出す。
本性の彼女が顔を出す。
そして、そんな彼女が目を背けることを止め、武道館に戻る決意をする。
そしてロープ際、すぐそこでジョーを見守ることを決意する。
拾い上げたタオルを捨てるシーン、すごく感動的・・・。
明らかに葉子は別人として成長を遂げるのです。

そして、終盤。
もうここは、多くは語るまい。
大観衆の中のジョーとホセの決死の撃ち合い。
そしてあのラストシーン。
全て知ってた、知った上で見ていたこの物語の結末。
余計な言葉を挟む必要はない、ただただここはマンガ版を丁寧になぞったこの最後数分を見守り、この物語は終わるのです。

ここまでの物語についてはこちら。

脚本 篠崎好
コンテ さきまくら

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