見出し画像

岐阜にすごい児童合唱団がある

これからの地域、日本を背負って生きていく子ども達の教育がどうあるべきかを考えることは社会の大人すべての責任だ。

今日は、午後から地元の児童合唱団(ながら児童合唱団)の発表会を観に行かせてもらった。
うちの生徒たちも何名か団員として通っているようで、子ども達が先日わざわざ招待状を届けにきてくれた。
昨年は、確か海外出張と重なって行けずにいたので、今年こそはと楽しみにして出かけた。

実は姪が昔お世話になっていた関係もあり、何年も前に一度観に行かせてもらったことがある。
頭の中では勝手にその頃のイメージをもって出かけて行ったはずが、いざ始まると・・・
1時間半ほどだったであろうか・・・私の目はまさに釘付け状態のまま、あっという間に時間が過ぎた。
想像をはるかに超えるクオリティー。

会場で観ていた人たちはもちろん、すべての人が大きな感動をもらったに違いないが、私は教育者として、保護者とはまた違う目線で今日観たものの教育的価値、社会的な価値をここに書かなくてはいけないと思った。

私のサニーサイドは、フリースクールという立場で、既存の学校教育制度の外で教育事業を行っている。毎度のことだが、日本の義務教育においては、国や自治体が認めた制度の外で教育活動をすると、一切の税金も使われないし、通学のための学生定期すら買わせてもらえないという現実がある。

果たして地域の子どもの教育は制度の内側の学校だけで支えられているのだろうか。

一番に言いたいことは、今日私がみた地域の合唱団は、歌好きな子どもが集まって活動をしているサークルでもなければ、習い事でもない、
一流の教育機関だということだ。

この団体に所属している子ども達が、未来を担う大人になるために大切なことを、ここでの活動を通してどれほど学んでいるか・・・
そこには計り知れない価値がある。

この合唱団は名簿を見ていると、下は幼稚園から、上は大学生までがおよそ100名以上所属しているようだ。恐らく、下級生を教えるのは先生だけでなく、上級生であるはずだし、下級生はまた上の先輩をみて、それに憧れて成長していくのだろう。

異年齢の環境ならではでの経験は今どき貴重だ。
そもそも、発表の構成が全員が参加できるようにとても工夫されている。私の記憶が正しければ、以前はもっと学年ごとで発表があったように思う。

歌の歌唱力のみならず、隊形移動やダンス、衣装、そして最後のミュージカルでは俳優なみの表現力・・・

この子達はこの日を迎えるためにいったいどれほど練習したのだろう・・・

それだけではない。
受付を始め、スタッフとして忙しく動いていたのは恐らく生徒のご家族であったろうし、
何より先生達はこの発表を作り上げるために、試行錯誤を重ね、大変な苦労をしながら子ども達と向き合い続けたに違いない・・・
その期待にこたえようと頑張っている子ども達をみて、今どんな気持ちでいるのだろうか・・・
そんなことを考えながらみていると、自然と目頭が熱くなった。

今日感動をおぼえたすべての思いは本当に書ききれないほどある。

でも、ひょっとすると、この素晴らしい合唱団に通わせている保護者のみなさんや、家族の中には、
また、今日観に来ていたオーディエンスの中には、これが習い事や趣味ではなく、一般的な学校ではとても学べない素晴らしい教育なのだということに気づいていない人もいるかも知れない。

私はまったくの部外者だけれども、同じ地域で、やはりまた「既存の教育制度の外で」教育活動を行っている者として言いたい。

地域の教育は行政が定めた制度の内側にある学校のみで行われているものではない

合唱団、スポーツクラブ、放課後児童クラブ、フリースクール・・・実に多くの人の努力で地域の教育は支えられているのだ。

今日同じ招待客として私の周りにいた、数名の地元の学校の校長先生達も良くわかったはずだ。
私も、職員をみんな連れていくべきだった・・・
本当に多くを学ばせてもらった。

先の見えない時代を生きるのに必要なスキル、姿勢とはどのようなものか。
創造力、協調性(仲間と生み出す力)、レジリエンス(忍耐力、諦めない心、跳ね返す力)、思いやり、自らを振り返ること・・・
今日の発表を見ていれば、それらを学ぶためのすべての要素がふんだんに含められていることは一目瞭然だ。

私が中学で受けた音楽の授業はまったく違うものだった。
授業はとにかく大きく口を開けて歌っていれば何もいわれず、そうでないと叱責された。
「まじめに歌え」それしかなかった。
前述の教育的要素は今思えば、恐らく何もなかった。
学ぶ楽しさ、努力の後の達成感を経験させてくれる先生に出会える子どもは幸せだと思う。

ところで、聞いたところでは今日のステージのチケットの値段は一枚500円だったらしく・・・
(部外者が口出しすることではありませんが)
今日の発表は絶対にもっと価値があるし、恐らく、高くするとみんなが買ってくれないとかいう考え方もあるのかも知れないけれど、
もっとこの合唱団の教育的価値を、
生徒の家族だけではなく、地域の多くの人が知って(よって1回公演だけでは足りません笑)、チケットを買ってもらって、協賛スポンサーを集めて、
そのお金で、会場費をまかなうだけではなく、親がすべて工面するのではなく、地域の人の理解と協力で、例えば、公演の売り上げで子ども達に一流のプロのミュージカルでも観に連れて行ってあげれば・・・
そうなれば、子ども達はさらに意欲をもって私たち大人が想像も出来ない世界に連れて行ってくれるに違いない。

誰に頼まれたわけでもありませんが、音楽を通して学校では出来ない教育機会を子どもに与えたいと考える保護者の方、20年の時を超えて進化した、ながら児童合唱団は相当なものだと私は思います。

※毎週月曜日に新しい記事を投稿する予定です。良ければフォローして最新記事や過去記事をご覧ください

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?