またどこかで君と会いたい。
みんなで盛り上がるご飯会。
そんな中話題は、恋愛トークになった。
忘れられない恋とかってある?
思い出の曲とか。
そんな質問にふと思い出した彼との夏の思い出。
私の忘れられない曲は間違いなく
ナツノオワリだった。
あの夏の話を人にしたのは久しぶりだな。
ずっと蓋をしていた私の青春ストーリー
私がまだ大学に入学する前。
一つ下の彼は受験期真っ只中。高校三年生。
初めて遊んだ日は映画館
彼が制服を着て現れたのを鮮明に覚えてる。
そこから、夏休みということもあり、暇さえあれば二人で会って、お家で映画を見たり、近くの河川敷まで自転車を押して、手持ち花火をした。居酒屋にも行ったし、内緒でお酒も飲んだ。ほろ酔い気分で歩く帰り道、手を初めて繋いだのを覚える。コンビニに行くのも、アイスを買って公園で食べるのも、とにかく何もかもが甘くて、でもちょっぴり切ない気持ちが心に残る。
私は夏の終わりに大学生になる。
日本ではなく遠く離れた異国の地で。
そのことをお互い理解した上で一緒にいる夏は、時が進むたびに心に針が刺さるような気持ちだった。
好きという気持ちを必死に誤魔化して、彼といる時間をとにかく楽しんだ。
お互い両思いなのは、誰が見てもわかる、
そんな二人だったが、あまりにも夏が楽しすぎたら忘れられないのを知っていた。
あるとき、私の友達が地元に遊びにきてくれて、
二人で旅行に行く予定が、彼女が自分の彼氏もせっかくだから呼びたいというので、私もあの彼、を呼び出すことにした。
始め、彼は塾と勉強があるので旅行なんていけない。そう言い張ったが私は最後の夏を楽しみたかったから、彼の家まで車で迎えに行った。
彼は仕方なく車にのり、そこからダブルデートでの旅行が始まった。
宿泊先の目の前が海で、夜の浜辺で花火をして、誰もいない海に飛び込んだ。気づけば、私は彼におんぶされながらはしゃぎまくった。
夜は、スピーカーで音楽を流して、買ってきた缶のお酒とおつまみ。ご飯はドキドキとときめきでほとんど食べられなかったっけな。
寝る時は、二人でいつもしないような将来の話をした。彼が教師になりたいこと。過去の恋愛。今まで知らなかったことを知れることが嬉しくて、二人で手を繋ぎながら寄り添いあって寝た。
次の日の朝は、朝から海に行き、泳いで、近くの地元のご飯屋さんでお昼ご飯を食べた。
何にもプランされてない旅行だったけど、今までで1番ワクワクする旅だった。
地元に帰ってくると、その日が楽しすぎたから、みんなでもう一泊私のおばあちゃんのお家にお泊まりすることにした。映画を見て、星を眺めたり、お布団で4人仲良く、思い出しただけで胸がぎゅっとなる。
私が日本を去る日、前日寝るまでラインをして、朝一番に朝マックすることにした。二人とも5時起き、朝が弱い私にとってこんなにも目が覚める日があるのだと不思議に思った。彼とお昼まで一緒にいて、最後のハグは切なかった。好きという気持ちを伝えられないこと、もう彼と一緒に青春できないこと。私が日本にいたら、結末は違ったのかな。そんな現実とは違う事ばかり考えてしまい悲しかった。
日本を旅立ち、新学期が始まった。彼と最初の一週間は連絡をとっていたが、この恋はあっけなく終わってしまった。
彼は、私がさった一週間後に告白された女の子にあっさりおっけいし、付き合うことになった。
私は友達すらいない異国の地で一人、涙に暮れる日を、そして何度もあの夏に戻りたいと願った。
彼を必死に感じることができる唯一のものは、
あの私たちが共有していたプレイリスト
1番初めの曲がナツノオワリだった。
ふと、プレイリストを覗く、彼のプレイリストには新しい曲が追加されていた。もし僕が君の恋人になれたなら。
けれど、あの夏が戻ってくる事はなく、あれからすでに2年が経った。
今年の春、私は大学3年生。やっと周りの人たちに素直に青春ストーリーを話せるようになった。
周りの人たちは、映画作れるくらい切ない。そんな言葉が飛び交っていた。
そして、一人の子が生年月日教えて、相性見てあげるから。
相性なんて、と思いながらも私は少しだけ期待していた。
神様は、意地悪だなと思った。
だって、持ってる星が一緒で完璧っていうぐらいに相性抜群なんだってさ。
でもその子が私をこう励ましてくれた。
きっと他の世界線では一緒にいれてるんじゃないかな。だから、向こうで幸せになってるよ。
そんな言葉を聞いて、叶わなかった恋を誇らしく思った。そして心の片隅で願った。
またどこかで君と会いたい。
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