chaco@独学術

読書術や独学術を発信するひと。遍歴 : 実務系英日翻訳、ライティング。これまでに読んだ…

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読書術や独学術を発信するひと。遍歴 : 実務系英日翻訳、ライティング。これまでに読んだ本はのべ2900冊ぐらい(洋書は300冊ちょい)。英語学習はこっち→ https://note.com/english_master38/ アマゾンアソシエイト参加中

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  • 哲学が最弱の学問である

    ゲームに勝つことではなくゲーム盤を壊すことが哲学の仕事。哲学者たちの考えたことを超ざっくりと解説します。

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名刺代わりの読書遍歴&お気に入り本51冊紹介

名刺代わりに読書遍歴とお気に入り本を書いておこうと思います。 本を読み始めたのは中学3年から。それまではまったく本を読まないし、勉強もしない子どもでした。 ただしゲームは好きで攻略本はよく読んでました。これ意外と馬鹿にならないんですよね。かなり高度な文章だったり設定だったりが登場するわけで、それを理解することで読解力が伸びたと思います。 中学3年のときに事件が発生。友人から本を借りて(というか半ば押しつけられて)、それから小説を読むようになったのでした。 東野圭吾とか

    • 音楽を聴きながら勉強や読書をしてはいけない理由

      勉強や読書をするときに音楽をかけるのは有効なのか? これは人によって大きく答えが分かれるところです。 しかし定量的な研究によって、すでに客観的な答えは出ています。音楽をかけながら勉強や読書をすると、成果が大幅に低下するのです。 グラスゴー・カレドニアン大学の研究は、次の4つの条件で認知テストを行い、記憶力や注意力への影響を比較しました。 ・テンポの速い曲を流す ・テンポの遅い曲を流す ・環境音を流す ・無音 結果、無音がもっともテスト結果が良く、それに比べると他の3

      • 吉川英治『親鸞』

        日本でもっとも巨大な影響力をもつ仏教者親鸞を主人公にした作品。 大まかに史実をベースにしつつ、ドラマティックな創作を盛り込んだ名作になっています。 とくに印象に残ったのは、九条兼実の邸を訪れたさいに、戯れで目隠しをされた親鸞が、玉日姫の袖をつかむシーン。 これは作品全体ないし親鸞の生涯の方向性を象徴する場面であり、異常な光彩を放っています。 終盤の平次郎の改心も感動的。 宗教小説とはいってもドストエフスキー的な深みがあるタイプではなかったのですが、この終盤に関しては

        • デカルトの名言&迷句を紹介【方法序説・哲学原理】

          近代哲学の首領ルネ・デカルトの重要な文章&面白い文章を紹介します。 まずは『哲学原理』、次に『方法序説』から。 スタート地点で方向を間違えると努力するほどに真実から遠ざかるスコラ哲学をふくむ従来のすべての哲学を打ち捨て、すべてをゼロからやり直さんとするデカルトの意志が感じられる文。 スコラは哲学のプロ集団であり、デカルトはアマチュアみたいなものだったわけです。その若者がこういうことを言っている。そう考えると、彼の自信と大胆さに驚きますよね。 特許庁で働いていたアインシ

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        名刺代わりの読書遍歴&お気に入り本51冊紹介

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        • 哲学が最弱の学問である
          10本
          ¥500

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          ドラえもんのタイムマシンが異次元の性能をもっている件

          ドラえもんのタイムマシンは、タイムマシン界のなかでも相当すごい部類なんじゃないだろうか? なにがすごいかというと、次の2点。 ・空間移動機能が搭載されている ・亜空間に置いてある こう思ったきっかけは、広瀬正の『マイナス・ゼロ』(新潮文庫)を読んだこと。 これは日本のSFを代表する小説で、タイムマシンが登場します。 けれども、ドラえもんのタイムマシンとは次の2点で仕組みが違うんですね。 ・空間移動機能がない ・実空間に置いてある このせいで主人公はトラブルに見舞

          ドラえもんのタイムマシンが異次元の性能をもっている件

          主体の消失へ 斎藤慶典『デカルト われ思うのは誰か』

          もともとは「哲学のエッセンス」シリーズの一冊として出ていた本。 今では講談社学術文庫に収録されています。 この人の著作は理路整然としていて読みやすいです。しかも形而上学的な深みにどんどんと突き進んでいくというタイプ。ちょっと井筒俊彦ぽいのかも。 デカルトの思索の主題はただ一つのものを中心に旋回している。そしてその主題の一面が自我についての議論であり、もう一面が神についての議論である、という切り口の本。 デカルトは自我の話と神の話をよくしますが、著者はそれを同一の根源的

          主体の消失へ 斎藤慶典『デカルト われ思うのは誰か』

          自由主義とリベラリズムとリベラルって何が違う?

          「リベラリズムという言葉をよく耳にするけれども、漠然としたイメージしか湧かないし、本当の意味は実はよくわかってない…」 という人は僕だけではないはず。 盛山和夫『リベラリズムとは何か ロールズと正義の論理』を読んでみたら、だいぶ霧が晴れる思いをしました。 社会学者の著者が、現代リベラリズムについて解説した良書です。 前半はロールズ理論の解説、後半で現代リベラリズムの説明がなされます。 ロールズの解説書としても読めるし、逆にロールズ自体に興味のない人は序章の次にいきな

          自由主義とリベラリズムとリベラルって何が違う?

          オルフェウス教とギリシア哲学

          古代ギリシアは、ふたつの精神的エンジンをもっていました。 ひとつは合理的で経験的、実証的な性格のもの。 もうひとつは神秘的で情熱的、霊的な性格のもの。 この両者が組み合わさることで発生した高度な文化が古代ギリシア哲学です。 ニーチェのデビュー作『悲劇の誕生』は、ここに焦点を当てた作品でした。 古代ギリシアは明朗で合理的なだけでなく、その根底にディオニス的な非合理な情念が渦巻いていた。しかしソクラテスは理性でもってそれを抹殺し、ギリシアの全盛期を終わらせたのだ、という

          オルフェウス教とギリシア哲学

          伝説のベストセラー 野口悠紀雄『超勉強法』

          「独学でスキルを身につけたいな…でもどうやって独学したらいいのかわからない」 今の時代、このような状態に囚われている方は少なくないと思います。 独学の厄介なところは、方法次第で成果が変わること。 正しい方法で独学できる人は勝手に伸びていく。しかし、間違った方法にハマってしまうと努力が報われないんです。 じゃあ正しい方法を実践している人は、どうやってそれを見つけることができたのか? 実は「運が良かった」というのが最大の要因なのですが(本人はその運を無自覚なことが多い)

          伝説のベストセラー 野口悠紀雄『超勉強法』

          柄谷行人の『力と交換様式』を読んでみた

          最近の柄谷行人は、「交換様式」の観点からマルクスの『資本論』を解釈し継承するという仕事をおこなっています。 社会システムの根底には4つの交換様式(A,B,C,D)があって、その4つのうちのどれが優位に立っているかによって社会システムの性格が変わってくるという考え方。 A(贈与交換)が優位なら伝統的な共同体社会(村っぽいやつ)になる B(支配と服従)が優位なら帝国(帝国主義ではない)みたいになる C(商品経済)が優位なら資本主義になる D(普遍宗教)が優位なら…?これはまだ

          柄谷行人の『力と交換様式』を読んでみた

          空海の哲学をざっくり解説【真言密教とは何か】

          日本でいちばん尊敬されている人物といえばだれでしょうか? これといった偉人が思い浮かばないのが現状かと思います。しかし近代化以前の日本ではそういう存在がいました。 それが空海。 弘法大師とも呼ばれる仏教徒です。「弘法も筆の誤り」という言葉がありますが、あれは空海のことです。 空海は日本史上でも最大の異能のひとりでした。哲学、語学、書道、建築などを極めた、万能型の天才として知られます。 彼の仏教哲学は「密教」と呼ばれる独特なものです。 しかもそれを、密教正統派のボス

          空海の哲学をざっくり解説【真言密教とは何か】

          社会学の源流ヘーゲル『法の哲学』

          社会学の祖はだれか? マルクスだとかデュルケームだとかウェーバーだとかの名前がよく挙がりますが、実はヘーゲルだという説もあります。 国家と社会を明確に区別し、社会を単独で論じた初めての思想家がヘーゲルだからです。 そのヘーゲルの社会哲学が展開されている書が『法の哲学』というやつ。マルクスを始めとして、多くの思想家にインスピレーションを与え続ける重要書。 最近、岩波文庫から新訳が出ました。僕が読んだのは中公クラシックスバージョン。 ヘーゲルは西洋哲学史上での最難関とし

          社会学の源流ヘーゲル『法の哲学』

          2024年1月に読んだ本ベスト5

          シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』英国文学が誇る傑作のひとつ。ガーディアン紙が選ぶ「史上最高の小説ベスト100」では18位。 最初の100ページほどを岩波文庫で、残りを原書で読んだ。 地味な印象があったけれども、読んでみたらかなり壮大だった。ディケンズとオースティンを混ぜ合わせた感じ。 ディケンズのユーモアがない代わりに、倫理性というか宗教性のようなものがある。 奥野宣之『読書は1冊のノートにまとめなさい』あらゆる情報を1冊のノートに集約するメソッド・ 佐藤優

          2024年1月に読んだ本ベスト5

          東洋哲学の真髄は「ウソも方便」『史上最強の哲学入門』

          飲茶『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』(河出文庫)を久々に読み返してみました。 このシリーズには西洋編と東洋編があって、実は東洋編のほうが威力が高いです。 基本的には初心者向けの哲学史本なんですが、ただわかりやすいというだけでない鋭い洞察を秘めてる良書。 著者はこの本の開幕部分でいきなり「本書を読んで東洋哲学を理解することはできない」と言い切ります。 西洋哲学は適切なプロセスを踏んでがんばれば理解することができるけれども、東洋哲学は絶対に理解不能だと。 なぜかと

          東洋哲学の真髄は「ウソも方便」『史上最強の哲学入門』

          シェリングの哲学をざっくり解説【美はすべてを解決する】

          シェリングは19世紀ドイツ観念論を代表する大物のひとり。 フィヒテから影響を受け、ヘーゲルに影響を与えます。後期の独自な思索はキルケゴールらに刺激を与え、実存思想の震源にもなりました。 シェリングは早熟の天才でした。 15歳のときに他の生徒よりも3年早く大学に進学。 5歳年上のヘーゲルやヘルダーリン(天才詩人として有名)と親友になります。3人はともに思想を育んでいきますが、それをリードしたのは年下のシェリングでした。 彼がいなければ、近代の哲学史はだいぶ違ったものに

          シェリングの哲学をざっくり解説【美はすべてを解決する】

          なぜ聖書は正典になれたのか『旧約聖書の誕生』

          旧約聖書の文章はどのような歴史的状況のなかで生まれたのか? そしてそれはどのような思想的課題を解決しようとしていたのか? それを専門的に解説した本が加藤隆『旧約聖書の誕生』(ちくま学芸文庫)。 正直、あまり読みやすい本ではなかったです。なんというか作品性が薄く、「資料」という感じ。文章もぎこちなく(外国語を学習しすぎた弊害か)、読み物としての魅力は乏しかった印象。ただし内容自体はおもしろい。 同じような趣旨の本に『聖書時代史』(岩波現代文庫)がありますが、実はあちらの

          なぜ聖書は正典になれたのか『旧約聖書の誕生』