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哲学史のおすすめ本15冊を紹介【入門~中級】
哲学に興味をもったら、最初に哲学史のわかりやすい本を読むのがおすすめです。
哲学は対話的な営み。個々が勝手なことを言っているように見えて、実は背後には共有された文脈があって、それを前提にものを言っています。
だからその文脈を知らないと話についていけなくなるんですね。
文脈を知るとは哲学史を知ること。というわけで、最初に哲学史の本を読むと色々とスムーズにいくわけです。
できれば1冊だけじゃなくて3~5冊読むのがいいと思います。自分の専門じゃない分野で6冊以上読んでもそれほど効果はないので、マックスでも5冊。
以下、おすすめの哲学史本を紹介します。
飲茶『史上最強の哲学入門』
哲学入門用のアイテムとして今ではかなり有名な本。
マンガ的なふざけたノリと文章で進行しますが、内容は有益です。哲学史的なスタイルで書かれているため全体像を把握するのにも使えます。
西洋編と東洋編があります。どちらも読むことを推奨。実は東洋編のほうが強力です。
木田元『反哲学史』
ハイデガー研究で有名な木田元による哲学史本。
ハイデガーの哲学史解釈を参考に、反西洋哲学的な観点で叙述が進行します。西洋哲学を相対化する視点が特徴。哲学を普遍的なものとは見ないで、ローカルな知と捉えるわけです。
一般読者に売れまくるだけあって、この人の書いた本はどれも読みやすい。しかも面白い。
他の本でもいいと思います。たとえば『反哲学入門』(新潮文庫)とか『わたしの哲学入門』(講談社学術文庫)とか。木田元はどれを読んでも似たようなことが書いてあるので。
バートランド・ラッセル『The History Of Western Philosophy』
海外の作品ならこれが鉄板。
20世紀の分析哲学や数学を代表する天才のひとりラッセルによる一般向け哲学史書です。ノーベル文学賞の受賞作でもある。ちなみにラッセルはウィトゲンシュタインの先生です。
わかりやすいわ面白いわ文章は見事だわで最高の読み物のひとつ。しかも意外と深みもあります。分析的知性にありがちな世界の狭さや浅さはそれほど見られない。
最近のだとアンソニー・ケニーの哲学史とかが評価高いですが、本書のような面白さはありませんでした。
岩崎武雄『西洋哲学史』
日本の哲学史本を代表する存在。
ちょっと難しいので中級者向けか。このへんになると、1冊目じゃなくて2冊目か3冊目に読むのがおすすめ。
この人の論理の切れ味は異常です。難しいことを明晰に説明する天才だと思う。
カントを知りたいならこの人の『カント』、ドイツ観念論なら『カントからヘーゲルへ』がおすすめ。
シュヴェーグラー『西洋哲学史』
岩波文庫から出ている隠れた名著。
中級者~上級者向けか。後半のドイツ観念論あたりになると難しくて手に負えない。
でも前半の明晰さはすごい。とくにアリストテレスの解説は本書が一番な気がする。
リーゼンフーバー『西洋古代・中世哲学史』
おそろしく簡潔にまとまっている本。入門に使うのではなく知識の整理に使うのがおすすめ。
ルーベンスタイン『中世の覚醒』
中世ならこれがわかりやすい。スコラ哲学を扱ってこんなにキャッチーな本は他にないと思う。
レーヴィット『ヘーゲルからニーチェへ』
近代哲学史の名著。レーヴィットはハイデガーの教え子。
ヘーゲル左派とかの細かいところまで掘り下げてくれます。
千葉雅也『現代思想入門』
20世紀以降の哲学ならこれか。
でも現代哲学はあんまり実りがないので基本スルーでいいような気もします。哲学はハイデガーまで、もっと過激にいえばヘーゲルまででいいかもしれない。
加藤周一『日本文学史序説』
日本の思想史を抑えるならこれ。ちょっと射程が広くなりすぎるけれども。世界中で読まれる超名著。
ブックガイドとしても使える。
熊野純彦『日本哲学小史』
日本の近代哲学を知るにはこれ。京都学派を中心に。
仲正昌樹『集中講義日本の現代思想』
日本の戦後思想界を把握するにはこれ。ポストモダン思想だけでなく、そこに至るまでの文脈が把握できます。
「仏教の思想」シリーズ全12巻
仏教思想をおさえるにはこれ。角川ソフィア文庫から出ている有名なシリーズ。
・第1巻~第4巻はインド仏教史(ブッダ、アビダルマ、中観、唯識)
・第5巻~第8巻は中国仏教史(天台、華厳、浄土、禅)
・第9巻~第12巻は日本仏教史(空海、道元、親鸞、日蓮)
とくに中国仏教を解説してくれるのが嬉しい。日本の仏教はここを抜きにして理解できないので。
森三樹三郎『中国思想史』
中国の哲学史ならこれもおすすめ。新書サイズで上下二巻。ものすごくわかりやすい。
井筒俊彦『イスラーム思想史』
イスラム哲学史ならこれ。井筒は現代の東洋哲学を代表する天才。この人の文章はいつも明晰です。
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