コロナと哲学 ~サルトルの場合~
新型コロナウイルスは、人間に害をなす存在である。
しかも、人間の実存を揺るがせている。
サルトルによれば、「実存は本質に先立つ」というのが人間の特徴だ(『実存主義とは何か』人文書院)。
人間はペーパーナイフとは違い、生まれ持った役割がない。
何をするかは自分で決められる。
それゆえ、人間は自由なのだ。
しかし新型コロナウイルスの出現により、状況は一変した。
人間は、「コロナに脅かされる」という本質を付与されつつあるのだ。
サルトルの実存主義は、人間中心主義として批判された。
だが、コロナを中心とするよりは遥かにマシである。
コロナの克服は、人間の復権を意味する。
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