フーコー明媚

 哲学好き界隈では、ミシェル・フーコーはとても人気です。皆あたかも、フーコーの言ったことは全て正しいと思っているかのようです。
 たしかに、パノプティコンとか言われると、そういう構造が社会のいたるところにあるような気がしてきます。実際、ある程度は当てはまります。ただし、「ある程度は」なんです。全部が全部そうじゃないんです。
 ミクロな権力と言われると、そういうものが我々の社会に張り巡らされている気になってきます。でも、それは気分の問題かもしれません。
 「FOR BEGINNERS」シリーズの『フーコー』(現代書館)では、彼が左派にとって絶対的存在になっている件について書かれています。権力批判で鳴らしたフーコーだったのに、というアイロニカルな指摘です。
 しかし、この本を読むとフーコーという存在の魅力がよく解ります。あんなに興味深い人生を送った哲学者も珍しいのではないでしょうか。また、彼のビジュアルは実に「絵になる」ということが、数々のイラストから感じ取れます。
 あと、映像のフーコーも魅力的です。とくにチョムスキーとの対談での表情、仕草、喋り方は魅力の塊と言えましょう。

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