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Uberの何が革新的だったのか、そしてUberはデリバリーの会社ではない


今回はUberがまだ今のような地位を得る前に Uberを悲観的に見ていた人の意見に反論しながらUberがいかに革新的でそこからどう新しいユースケースを作り、どう世界を変えたのかについて解説します。よろしくお願いします。

Uberと言う会社の名前を聞くと普通ならUber Eatsのことを想像する。しかしUberは何の会社ですかと聞かれてデリバリーの会社、Uber Eatsの会社と言うのは少し違う。
もちろん完全に間違っているわけではない。2021年の現在において Uberの利益はデリバリー(Uber eats)の方がライドシェア事業を上回っている。だがそれを踏まえてもUber本業はUber Eatsではない。  Uber創業は2008年だがその頃は Uber=ライドシェア企業であり、ライドシェアで世界を変えると言っていた。

2008年Uberのピッチ資料

シリコンバレーでも Uberはライドシェアの会社として見られている。( ちなみにUber eatsを始めたのは2014年)Uberの本業はライドシェアサービスである。また日本でのUberの地位を考えると世界でのデリバリーサービスは Uber eatsが席巻しているだろうと思われがちだがそこは全くそうではない。アメリカのデリバリー企業の中で最もシェアを持っているのはdoordashという企業で世界を見れば地域ごとのプレイヤーが誕生している。(中国didi 東南アジアgrabなど)

世界の地域ごとのフードデリバリー企業


また現在デリバリー事業がライドシェア事業よりも利益が出ているのはコロナウイルスの影響が大きい。
外出が抑制されれば外に行かないしそうなれば Uberも自然と使わない。 Uber eatsはむしろ外出できないからこそ利用頻度は上がる。

ニューヨークのタクシーとライドシェアのI日の乗車数
Uberとdoordashの時価総額推移

 Uberはライドシェアとフードデリバリーを行っているのに対しdoor dashはフードデリバリーのみを行なっている。ライドシェアはコロナにより影響を受けたため Uberもその影響を大きく受けた。フードデリバリー企業はコロナにより好調で収益は上がっている。 デリバリーは好調だがライドシェアが不調のため時価総額は上がっていないのに対しdoordashはデリバリーのみを行なっているため利益は大きく伸びた。そしてそれが時価総額にも響いている。
実際の数字を見てみましょう。
ライドシェア事業は2019年10月から12月は取扱高135億ドルだったのがコロナに最も影響された2020年4月から6月は30億ドル、2021年4月から6月は86億ドル。
フードデリバリーは2019年10月から12月は取扱高46億ドルが2020年 4月から6月は69億ドル、2021年4月から6月は129億ドルとなっている。
これはコロナという変数が入っているため2019年の資料の方が 本当のUberの実態に即していると思うしコロナが収まればライドシェアの取扱高、売り上げも増えてくるだろう。勿論2019年地点で成長率は ライドシェアが18%に対しフードデリバリーが71%と大きいので取扱高(GMV)ベースで2019年Q4のライドシェア事業がデリバリー事業の3倍というところまでは戻るとは思わないですがUberのライドシェア事業はここからかなり回復すると思う。
(上の資料と下の資料では Ubereatsとライドシェアが逆になっている点に気をつけてください)

Uberの2019年Q4決算資料
Uberの2021年Q2決算資料


また話は逸れますがマーケットプレイスの決算の見方は僕もずっと勘違いしていたので少し解説します。勘違い点として取扱高と売り上げに何の違いがあるのか分からないことです。同じマーケットプレイスビジネスであるメルカリを例に挙げて解説すると1000円で物を出品し1000円で売れた場合1000円が取扱高です。メルカリは10%の手数料(テイクレート)なので100円はメルカリの取り分に入りますがその100円が売り上げとなります。

ではライドシェアサービスとはどんなサービスなのかを説明します。
ライドシェアとは簡単に言えばライダーから見ればタクシーと同じようなもの。しかしドライバーや裏の仕組みではタクシーと少し違う。 
裏の仕組みはタクシーの運転手になりたい人とそのタクシーに乗りたい人がマッチングするサービスである。そしてその裏のテクノロジーであるマッチングを Uberが行なっている。ユーザーが Uberのアプリを開き乗車すると言うボタンを押せばその近くにいる Uberドライバーがそこに向かってくる。そしてユーザーはその車に乗車するそして目的地まで行くと言う具合だ。
これが 日本では規制によって行われていないがこのビジネスは本当に世界を大きく変えた。

Uberに対する悲観的な意見

2014年に Uberについてがシリコンバレーで大きく議論になった。それは Uberが1兆円の時価総額がついた時にそれは過大評価なのか妥当(かもしくはそれ以上)なのかという議論。
その時  Uberについて批判的な考えを持つ大学教授のダモダラン氏はUberのマーケットキャップは過剰な時価総額だと言っていた。その根拠は2つある。
1つ目はtam(Total addressable market)が過去と変わりなくそのtamが小さいこと
2つ目はそのtamの中での Uberのシェア
ここでtamと言うものはUberがターゲットとしている主要な市場のことで世界のタクシー・カーサービス市場であると仮定していた。
そして、過去のタクシー・リムジン市場のグローバル推定値を算出し、このTAM推定に使用している数字は1,000億ドルである。そして、Uberの市場シェアの限界は10%であると推測した。
ダモダラン氏を含め Uberに対し悲観的な考えであった人たちはタクシー業界の市場規模を用いることで将来の価格も同じ市場規模であると言う考えをした。
だがこの考えはかなり単純なものでこの2つの基本的な前提条件の両方に決定的な誤りがあった。
 ちなみにUberが創業した2008年にはベストシナリオでさえ年間収益10億ドル以上と今の規模感を考えればかなり低いものだった。
(売り上げが落ち込んでいる現在さえ120億ドルはある)
勿論そこから Uberは修正し自らのポテンシャルを理解していたが Uberを過小評価する人は少なくなかった。

2008年Uberのピッチ資料


だがそして新しい機能や特徴、体験、価格を生み出し新しいユースケース(使い方)を可能にすれば市場が拡大できると言う事を念頭に置いて欲しい。

未来の製品が過去と大きく異なる場合、過去は未来の参考にはならない


過去の市場規模を用いることで将来も過去も同じ市場規模であると言う考え方は一番してはいけない考え方だ。
その例が1980年のAT&Tの例だ。
AT&Tが1980年にマッキンゼーに対して携帯電話の2000年の市場予測を頼んだ。その時の結果は1980年までのものをまでの統計を考慮したものであったため2000年の市場予測は実際のものとはるかに過小評価され実際とはほど遠いものだった。そしてAT&Tは携帯電話をおもちゃレベルのものだと考え市場には参入しなかった。
その結果そしてAT&Tは携帯市場に参入するためにマコーセルラーという会社を126億ドルで買収することとなった。
また1900年のまだ主要な移動手段が車ではなく‘馬‘だった時代に今後の車の市場規模の予測をする時に「馬が今ニューヨークには何匹いて世界には何匹なのでそれが起き変わった時に今後の車の市場規模は〇〇ドルである」という風に考えることに何の意義があるのか分からない。理由は新しい機能や特徴、体験、価格を生み出し新しいユースケースを可能にすれば市場が拡大できるから。
この2つの例からわかるように未来を予測する時に「過去がこうだったから未来もこうである」と言う結論付けは少し安易な考え方だと思う。
そしてそのような考え方は未来を大きく読み間違うことにつながる。

Uberのタクシーとは異なる体験

新しいサービスが既存のサービスを倒すときにはその既存のサービスよりも10倍素晴らしいサービスである必要がある。(勿論必ずそうである必要は無いかもしれないが新たな業界を作り出すような革新的なサービスはこうであることが多い)
 そんな中でUberがタクシー業界より10倍優れているという根拠は Uberのタクシーとは異なる体験にある。
 それはピックアップ時間、支払い、礼儀、信頼と安全、価格の5つ。

 1ピックアップ時間(タクシー、 Uberの車を読んでから到達するまでの時間)
まずはピックアップ時間だ。日本タクシーを呼ぶときは私の都市だと20分はかかる。 しかしUberは大きい都市の場合、5分もかからない。日本でタクシーが5分で来ると言う話は聞いたことがない。それがなぜ Uberで実現できるのかと言うとドライバーが分散しているからだ。 そしてその分散しているドライバーの中から最も利用者に近いドライバーが迎えに行く。(Uber eatsの配達員などを考えると想像しやすい)しかしタクシーは駅などの1つの場所に集中しているので効率が悪い。
また Uber eats利用者は経験していると思うが今配達員がどこにいるのか分かることも異なる体験の一つだ。
タクシーの場合は「いつ来るのだろう?」となるところが Uberだと「あと5分で来るのか」となる。
さらに物理的にも良くなった。
駅でタクシーを並んだり、道路でタクシーを見つけ手を振ったりすることはアプリからドライバーを呼べるから必要なくなった。


※また日本は Uberのようなビジネスを規制産業としているためいまだにタクシーが主要な交通手段であり、Uber以前のアメリカと同じようなことになっているため今回の記事では今の日本を過去のアメリカとする。

2支払い
日本でタクシーを乗ると降りる時に現金を払わなければならないだが Uberだとそれはする必要がない。なぜならもう支払い終わってるから。 Uberの場合はアプリにクレジットカード情報を予め入れておくので支払いは終わっている。だから場所に到着すればすぐ降りるだけ。
また到着地点を乗車する前から入力するため乗車する前から料金がある程度わかってる。日本のように信号で止まるのを気にしたりメーターを気にする必要もない。これは精神的に Uberの方が楽だろう。

3礼儀
 Uberのドライバーは評価システムと言うものがある。ドライバーは5点満点中の評価で4.7点未満であれば Uberのドライバーとして働くことができない。だから Uberドライバーは利用者に対して礼儀を良くする。(飲み物をライダーにあげるケースもある)
 タクシーはタクシーのドライバーは評価システムなどないのでお客様に対して態度を悪くしても何の問題もない。勿論わざわざ態度を悪くするドライバーはいないが 評価システムがあることによりライダーへの礼儀や態度が向上するのは間違いない。



4信頼と安全
 Uberの場合は記録が残る。そして忘れ物もすぐ届く。
 またアメリカの多くの女性はタクシーよりも Uberの方が安全だと言ってる。そして3の評価システムにより質の悪いドライバーは排除されている。
またタクシーだとドライバーの顔は分からないが Uberだと顔が表示されている点も信頼に繋がる。

5価格
まず前提としてニューヨークでは2014年地点で13,605台のタクシーが認可されている。、現代のシステムが作られた1937年には11,787台だった。これが適切なタクシーの供給量であり、最適な価格設定であるかどうかは誰にもわからない。もし誰かが、この供給量を増やし、はるかに低い価格で、はるかに高い稼働率で運営できるとしたら乗り物の数は飛躍的に増加しライダーはそのサービスを使う可能性が高い。
価格は消費者にとっても重要な指標となるが Uberがタクシーより低い価格を提示できるのは3つの理由があり、利用率を上げて価格を下げる、サージ・プライシング、テイクレートの3つがある。
a 利用率を上げて価格を下げる
まずは利用率を上げて価格を下げるだがこの「利用率を上げる」というところは価格だけでなく競合との闘い方にも影響するのでここの話はかなり深い。一旦ここでは価格の話だけをする。
まず1時間あたりの乗車数を考えてみてください。ドライバーの利用率が上がれば、 ドライバーは元々よりも多くの金額をUberは元々より多く稼ぐことが出来るのでUberは価格を下げることができ、ドライバーは同じ額を稼ぐことができます。そしてライダーの価格が下がります。価格が下がるとユーザーが増えドライバーの利用率が上がるというサイクル(フライホイール)が回る。
 bサージ・プライシング
 タクシーの価格は固定だがUberは下がると言うことがある。
需要供給曲線などをイメージしてもらうと分かりやすいと思うが、特定の都市でドライバーが多ければ価格が下がる、またドライバーが少なくライダーが多い場合だと価格が上昇するという制度をUberは採用している。

この制度はドライバーの収入、ライダーの支払額に影響する。
この制度では価格が上がることがあるので一見ライダーにとって嫌われそうな制度だ。しかしトータルで見ればライダーへ価格は下がる。
まずドライバーの立場で考えてみる。ドライバーにとっては、道路に出て、都市の中で最も必要とされている地域に来るという大きなインセンティブになります。そしてその地域の価格が下がるためライダーは従来より安い金額で済む。
実際、サージは超地域的に行われていて大きいイベントがあった場合にはかなり有効です。
このようにサージ・プライスは、需要を増やし、ドライバーの収益を増やすための、市場のバランスをとるメカニズムです。これがなければ、市場の一方が他方を凌駕し、下降スパイラルに陥る可能性があります。
また今後は自動運転車を使いドライバーが足りていない都市に車を送るということもあると思う。
cテイクレート
価格の低さを実現できるのは Uberの取り分にもあります。取扱高(ユーザーが支払った額)に対しての Uberのテイクレートは2020年25.8% 、2021年18.7%です。


これに対しこのデータによればタクシー運転手の取り分は60%なのでタクシー会社の取り分は40%。つまりテイクレート40%です。これを実現できるのは先ほど説明した稼働率や運用面( Uberはドライバーを個人事業主と見なしているがタクシーは社員として扱っていること)やこの記事であげた多くの理由があります。
(これは日本のデータだが Uber登場以前のアメリカだと考えれば有意)
 Uberはタクシーよりも価格がかなり低い。日本だと Uberは使えないため外国人からしてみれば日本の日本はなぜこんなにもタクシーや移動手段の交通費がこんなにも高いのか理解できない。
 そしてUberの流動性が高まるにつれて、ドライバーの利用率はどんどん高くなっていきます。(ドライバーが働いている時間と待っている時間の割合を示す指標です。)

これら1から5が Uberがタクシーよりも10倍優れている理由です。
このように従来のプロセスから、時間のかかる不必要なステップを取り除くことができたことはUXの向上に繋がる。そしてそれがタクシーではなく Uberに乗る理由になった。
そしてダモダラン氏が指摘していた「tam(Total addressable market)が過去と変わりなくそのtamが小さいこと」に対しては1から5から分かる通りtamは過去よりも大きくなるというと。
そして2つ目のtamの中での 「tamの中でのUberのシェア」に関して回答するならばシリコンバレーにある一つの格言として「私たちはこの大きな市場の中で小さなシェアを獲得すればいいのです」という言葉を言いたい。
また「tamの中でのUberのシェア」に対しての回答ではないが誰しもがモバイルを所有する時代に必要な時に必要なだけ車を呼ぶというサービスは大きい金属製の箱に何万ドルも支払うと言う考え方よりも格段に良い。そして「パックがある所ではなくパックがあるであろうところに向かってスケールするべき」という考えも付け加えておく。
そして冒頭でも説明したが新しい機能や特徴、体験、価格を生み出し新しいユースケース(使い方)を可能にすれば市場が拡大できると言うことをもう一度頭に入れて次の章を読んで欲しい。
ここからはこれらの特徴をもとにどのように Uberがタクシー業界のみならず他の業界にも足を踏み入れ、私たちの生活をどうより良くしたかについて解説します。

新しいユースケース

都市部以外での利用
 Uberは分散したドライバーを効率的に乗客に届ける能力を備えているため、タクシーを密集して供給することが意味をなさなかった市場でも効果的に運営することができます。Uberはサンフランシスコ以外の郊外の多くの地域で、10分以内に迎えに来てくれるなど、劇的な効果を発揮しています。これにより、従来のモデルとは異なる新たなユースケースが生まれています。

Iレンタカーの代用
レンタカーの場合は、数十分かかけてレンタカーを借りる場所に行き、そこで手続きや支払いをする。
しかしUberならアメリカの郊外でも10分でドライバーが来て(1ピックアップ時間)、支払いも終わっており(2支払い)、価格面でタクシーよりも圧倒的に安い(5価格)となれば、レンタカーを使う選択肢よりも 「Uberで行こう」となる可能性は多いにある。こちらの記事では 休日はUberとレンタカーのどちらがいいのかについての考察が書かれています。
 結論として場合によるというようなことが書かれていますが今までタクシーvsレンタカーなどと言った議論は聞いたことがない。そういう意味でレンタカーではなく Uberを選択するというオプションが実際にアメリカでは出てきている。これはUberのtamがタクシー業界に留まらないことを示す大きな理由の一つだ。

II駐車場の不要
レンタカーや車を運転するより Uberに乗るべきとなれば一つ要らないものが出てきます。それは駐車場です。レンタカーを使えばどこかに車は駐車しなければならない。しかし Uberだと降りるだけ。
IIを分かりやすく捉えるために仮に世界の車での交通手段が Uberだけになったとしよう。そうなれば駐車場など全く必要がない。となれば Uberの規模が大きくなればなるほど駐車場は不要になっていく。 Uberの規模に応じて駐車場の市場が変化するなら Uberは駐車場とも競合するという考え方が可能だ。 Uberのtamは駐車場の市場も含めたものとなる。

Ⅲ子供を送る
子供を運ぶなどと聞いた時流石にそれはないだろうと思ってしまうが Uberの異なる体験をもう一度見直して欲しい。
子供を運ぶ時に一番怖いのは「一人で大丈夫?」と言ったものだろう。しかしそれは4(4信頼と安全)で解決できるのではないだろうか。
確かに何となく子供を一人で送るのは少し怖いというのはイメージすれば理解はできる。
しかしそれは私たちが実際にUberを利用したことがないからそう考えるのだと思う。実際にアメリカの親は子供を Uberで送っている。
この記事では Uberは信頼や安全があり Uberだと位置情報も分かるので Uberを使うと言っている。


Ⅳ高齢の親の送迎 
年老いた両親の面倒を見ている人の中には、夜間や渋滞時の運転に代わる手段として、両親の携帯電話にUberを入れるように主張している人も多い。Uberを使うように説得するのは、利便性、使いやすさ、社会的受容性の点で、タクシーを呼ぶように勧めるよりもはるかに簡単な作業。これも4(信頼と安全)や5(価格)の価格が安いから気軽に呼べるという効果はあるだろう。

Ⅴ バスの代わり、通勤の手段


このユースケースとして使われるのは Uberpoolというオプションだと思う。
 Uberpoolとは簡単に言えば相乗りだ。 Uberx(普通のプラン)はタクシーと同じように一人(もしくは団体)でに乗るのだが Uber poolの場合は知らない人も一緒に乗ることになる。通常のUberxの場合は図1になる。ライダーと目的地までを最短の距離で走っている。しかし Uber poolの場合は最短距離では行けないが支払い金額を乗車人数分で割ることが出来る。この2の例の場合はかなり大回りになって結局価格が下がっているのかイメージしづらいが一般的にUber poolは大通りで利用されるため価格はかなり下がる。
相乗りなので圧倒的に安い金額で大量輸送手段を補う 大量の交通機関を主に利用する人であれば、電車に乗り遅れたときや、会議に遅刻しそうなときなど、例外的にUberpool(低価格提供)を検討することもあります。

図1Uberxの例
図2Uberpoolの例


オプションによる価格


価格がタクシーより安いUberであるがそれよりも安いとなればバスと競合するという考え方も理解していただけると思う。そしてそれだけではない。1のピックアップ時間も思い出して欲しい。 Uberのピックアップ時間は大都市だと5分、郊外でも10分だ。バスの場合は乗り遅れると次の出発までは10分以上かかると思うので「この時間のバスに乗り遅れたら間に合わない」という場合は「Uberpoolで行こう」というユースケースもあると思う。


Ⅵ自動車保有の代替手段としての Uber
NADAレポートによると、ディーラーの売上総額(サービスを含む)は年間約7300億ドル。しかし、車の買い替えはそれだけではありません。車の買い替えには、車の購入だけでなく、保険、DMV登録、駐車場、ガソリン、修理、オイル交換など、車を所有するために必要なすべての費用が含まれます。そして車を所有するための年間平均コストはAAA社の試算によると約9,000ドルだと推定しています。
この数字をUberの平均料金で割ると、年間に乗れる回数が計算でき、それを必要な分と比較することができます。多くの人にとって、この計算では Uberを使う方が価格が安いとされている。
またさらに重要なのは、アメリカの若者が車を所有することに愛想を尽かしていることです。Edmunds社によると、18〜34歳の自動車保有率はここ数年で30%も低下していること。

Ⅶ記念やお金持ちの人が使うUber black
元々 Uberがなぜ創業したのかと言うと Uber創業者のお金持ちの友達は自分専用のドライバーを雇っていた。しかしそのドライバーは余りにも時間を持て余していた。そこで創業者はにもこれが無駄だと感じてUberを創業した。(タクシーのサービスが悪かったということも理由にあります)
そして Uberはもともと富裕層向けの Uber blackをローンチしたがその後 Uberエックス、 Uberpoolと言う風にに徐々にマーケットを広げていった。
話を戻すとUber blackとUberxの違いは高級な車種であるかどうかに違いがあるがお金持ちは Uberblackを使っている。だが Uberblack=高級と人々に思われ出すと新しいユースケースが出てきた。例えば結婚式で新婚がワインを飲んだ後、他の場所に行く時に Uberblackを使うなどだ。他にも記念の時に Uberblackを使うということがある。

ネットワーク効果

ネットワーク効果について簡単に解説するとそのプラットフォームを利用するユーザーが増えていくことに相関しそのプラットフォームの価値が上がっていくこと。LINEなどで考えれば分かりやすいがLINEはみんなが使っているから使うのでありLINEを誰も使っていなかったらLINEを使うことはない。
なぜLINEを使うのかというとみんなが使っているからつまりネットワーク効果があるからだ。そしてこのネットワーク効果は企業が競合優位性を考える点で最も重要な要素だ。ブランド、スケールメリット、エンべッティングなどが競合優位性を考える点では重要だがその中でネットワーク効果は最も重要な要素だ。

Uberのフライホイール



一.ピックアップ時間
Uberが市場で拡大し、需要と供給の両方が増加すると、ピックアップ時間が減少します。ピックアップ時間が短くなるということは、信頼性が高まり、潜在的な使用例が増えることを意味します。Uberを利用する人が多ければ多いほど、各地域での集荷時間は短くなります。

ニ. カバレッジ密度
Uberがある都市で成長するにつれ、サプライヤーの流動性の地理的な外側の範囲がどんどん広がっていきます。もう一度言いますが、Uberはちゃんとサンフランシスコでスタートしましたが今はアメリカの多くの都市をカバーしています。Uberを利用する人が多ければ多いほど、カバー範囲は広がります。

なぜドライバーになるのか

ここまで Uberのライダーにとってタクシーよりも良い理由を並べてきただが、タクシーのドライバーではなく Uberのドライバーになる理由をここからは述べていく。
まずアメリカのほとんどの人々が、お金と時間が少なすぎると言っていることです。
労働統計局の推計によると、2,000万人の米国人が、育児や教育といった「経済的でない理由」でパートタイムの仕事をせざるを得ない状況にあります。また、米国では47%の人が、予期せぬ400ドルの請求に対応するのに苦労すると答えており、そのうち3分の1は借金してでも支払わなければならないと答えています。
その点働き方が柔軟で隙間時間に働けるUberは非常に魅力がある。
また車は、一般的なアメリカの家庭が購入し維持する最も高価な資産の1つであるにもかかわらず、96%は使われずに放置されています。私たちが車を使っているのは4%にすぎないのです。こんなに使われていない高価なアイテムは他にはない。
Uberで運転することは、人々がこの高価な資産からより多くの価値を得られることを意味します。つまり、車を収入源に変えることができるのです。

最終的な考察

ニューヨークのタクシーとライドシェアのI日の乗車数

タクシーとは異なる体験を作り新しいユースケースを作り上げた。その結果がこのグラフを表れている。このグラフはコロナウイルスによる業界への影響についてのものだが10年のデータがあるので業界についての解説にもなる。
ニューヨークタクシーはここ10年間下がりトレンドが続いている中 Uberは3年でニューヨークタクシーを追い越した。 Uberの競合であるLyftも Uberほどではないが2020、21年ではニューヨークタクシーを追い越した。これがニューヨークのみならずアメリカ、そして世界で起き2010年代の世界を代表するスタートアップ企業となり、2019年に9兆円(800億ドル)で上場した。(当時1ドル110円)
10年でこの規模になる会社は歴史を見ても Uber上場以前ではFacebookくらいだ。


ここまで読んで頂いた方には Uberの凄さについてご理解頂けたと思う。
だがここまで賞賛しておいて、自分で書いていてなんだがこの記事の構成は何かを批評する際に良いアプローチを取っていないと思う。そして不完全な記事だと個人的には思っている。それは批判が全くないという点だ。例えば物理や化学、数学の世界を見た時に「〜〜だからこれは正しい」と言ってもそれらは発展しない。勿論正しいと言う意見によりそれらは発展すると思うがその1つの正しいと言う意見の裏には100の否定がある。
どういう時に発展するのか?
それは否定した時だ。物理や化学、数学は否定の連続だ。そしてその否定により一つずつその考え方が消去され少しずつ発展していく。その点でこの記事はそれが少なかったと振り返って思うし私自身楽観的な事を言うだけの人間にはなりたくないと思っている。
そして今私はUberについての否定も持っているしUberが真の意味で最強の会社だとは全く思っていない。
例えばスケーラビリティに関してだ。
スケーラビリティとはその事業がいかに大きくなれるか、大きくなれやすいかについてだが、Uberは新しいマーケットに参入する時に毎回莫大な顧客獲得コストを払っている。
 Uber eatsを例に説明するとUber eatsが東京に参入して東京でサプライ(お店)を獲得するのに多くの広告費がかかる。その後デマンド( Uber eatsを頼む人)を集めることができ、東京では儲かる仕組みを作れたとしよう。
 しかし次に神奈川県に参入しようとした時にはまたサプライを獲得するのには顧客獲得コストがかかる。そしてそれはデリバリー事業もライドシェア事業も同じ。
 そして問題なのは顧客獲得コストの金額全くといって良いほど変わらない点だ。
 これはスケーラブルとは言い難い。本当に良いビジネスの場合、顧客獲得コストはもっと抑えられる。
 また時価総額/累計調達額で Uberを見た時に Uberは2から3倍だ。これは先ほど説明したように新しいマーケットに参入する時に毎度顧客獲得コストを支払わなければならないことにより多くのお金が必要としたことが主な原因だが、ここも本当に良いビジネスなら9から10倍ある。
 そしてシリコンバレーではこの2010年代を代表する革新的な企業 Uberよりも100倍優れているという企業がある。それはAirbnbだ。Airbnbは Uberと同じく2010年代のシリコンバレーを代表する企業の一つだがスケーラビリティ、防御力などの多くの点で Uberより優れている。
 次回はそんなAirbnbについてとUberとAirbnb比較です。比較の部分ではUberの脆弱や競合であるLyft、Uberのネットワーク効果について今回の記事ではほとんど触れていないのでそれも含め包括的に解説します。是非見て頂きたいです。

そして今回の記事を最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。
この記事は13000文字あるので20分くらいはかかったと思いますしここまで読んで頂いて本当に感謝しています。
文字を読むというのは疲れるので最後に Uberに関する最高の動画で締めたいと思います。この動画は Uberの良いところが多く詰まっています。是非ご覧ください。

このnoteではテクノロジー、スタートアップ、シリコンバレーを含むc向けのサービスにについて発信していきます。今後もよろしくお願いします。

参考文献
https://stratechery.com/2019/uber-questions/

https://medium.com/@zacharymtaylor3/business-lessons-from-peter-thiel-92bbd0be35b3

http://abovethecrowd.com/2014/07/11/how-to-miss-by-a-mile-an-alternative-look-at-ubers-potential-market-size/

https://andrewchen.com/why-uber-for-x-failed/





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