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頭のおかしな昭和のパワハラ体質と日本の創作業界の「これから」について

なんかここ数日ずっと庵野監督のことばっかり話題にしているみたいだが、否が応でも彼の情報をマスゴミが垂れ流してしまうから無視を決め込むわけにも行くまい。
『シン・仮面ライダー』のドキュメンタリーがNHKで放送されたのだが、そこで庵野監督のパワハラ体質な制作体制がSNSで話題となっているようだ。
私としては正直複雑な気持ちであり、半分は「今の人たちはこんな程度の圧にも耐えられないのか」であり、もう半分は「まあ今の時代に合ってないよな」である。
だが、時代の流れを踏まえるとやはり後者の見方が正しいということになるわけで、今こんな昭和方式の体育会系パワハラは通用しなくなってきた。

東映といえば、1年くらい前にそのブラックな労働が社会問題として扱われていたが、これは何も今に始まったことではない。
そもそも東映に限らず松竹にしろ東宝にしろ円谷にしろ、映画を作っている会社なんてそれぐらいトチ狂った倫理観でやっていたのである。
今みたいに映像製作の技術が発達しておらず恵まれた環境ではなかったから、全員が一丸となってチームワークで乗り切るしかなかった。
しかし、今はパソコンと携帯1つあれば簡単に面白いものが作れてしまう時代であり、YouTuberやTik Tokerなんてその典型だろう。

散々言われているように、庵野監督のやり方はもはやDV夫・毒親のそれでしかなく、先人の真似してはいけないところばかりを受け継いでしまったようだ
制作現場に敢えて指示を出さず一通り撮影させ、完成させたものを見て容赦ないダメ出しをしていくって、お前は宮崎駿かよ!と言いたくなる。
宮崎駿のあの方式が通用したのは宮崎駿が百年に一人の逸材だからであって、彼に匹敵するレベルのクリエイターは実際ジブリにはいなかった。
だが、そんな宮崎駿のワンマン経営が何を引き起こしたかというと「業務の属人化」であり、まともな人材が育たず名作もできなくなった。

庵野監督だって似たようなものだろう、「トップをねらえ!」も「エヴァ」も実質彼のワンマン経営のせいで、下が育っていない。
そのことを分からずにやっていたのだとすれば単なる老害でしかないし、わかってやっていたとするならば救いようがないだろう。
大体厳しくするのだって「良い作品」「面白い作品」を作ることがゴールなのであって、出来上がったものが見る側にとっては全てである。
だから現場のゴタゴタなんて視聴者は知らなくてもいいことだし、むしろ「シン・仮面ライダー」はそんな無茶苦茶なやり方だからあんな駄作しかできなかったとしか思えない。

一番気持ち悪いのは今回の話を美談として受け止めるファンがいることであり、日本人はつくづく苦労話が大好きな人種なんだと呆れる他はない。
別に厳しくするのも構わないしいい作品が出来上がるならいいと思うが、必要最低限「こういう作品に作りたいからこう作って欲しい」というロードマップは示さないとダメだろう。
「察せよ」の文化が通用したのは1つの価値観で生きられ上意下達の文化が土壌としてあった昭和時代だから通用したことであり、価値観も生き方も多様化した今通用するわけがない。
ましてやコンプライアンスも厳しくなっている今、かつてやられていた昭和方式のパワハラは真っ先に摘発の対象にされてしまう危険性があるのだ。

もっとも、庵野監督に限らず東映自体がそうやって働き手を大切にしない会社なだけあって、近年は本当に中身スカスカな薄っぺらいものしかできていない
それどころか人気も含めてネットのインフルエンサーに負けてしまっているのが現状であり、かつての子供たちをときめかせ沸かせたヒーローの文化はもうないのである。
昔はそれでもまだ腕のある職人気質の人たちがいたと思うが、その人たちももはや全盛期の力は失われているし、庵野監督もとっくに全盛期を過ぎてその才能も枯れ果てた。
空っぽの雑巾を絞るようにして作り上げた今回の『シン・仮面ライダー』の失敗は作り手の働き方改革を考えさせるという意味でも反面教師であろう。

ここ数年で「働き方改革」が叫ばれるようになって久しいが、日本の創作業界の「これから」を鑑みると、それこそまずは「働き方」から変えなければいかんのじゃないか
宮崎駿は虫プロの手塚治虫の経営方針を批判していたが、その宮崎駿だって「業務の属人化」で下がまともに育たなかったのだから経営者として優秀とはいえないだろう。
いい作品を作りたいが為に夜を徹して厳しくストイックに作るのは構わないが、それを自分だけならともかく他者にまで押し付けてはならない。
ただでさえ今の若い人たち(というと老害っぽいが)はそういうわざとらしい昭和の根性論なんて大嫌いで、スマートに距離を取りつつやりたいのだろうから。

大体自分の思い通りにならないから容赦ない搾取をスタッフに強いて、それでスト起こされたから謝罪って碇親子かよお前は!
まず自らがスタッフに良い作品を作ってもらえるよう目配り・気配り・心配りといったコミュニケーションすらまともに取っていないというのに。
プライベートの関係性がない赤の他人ならそれでもいいかもしれないが、仕事仲間という利害が発生する関係性でそのやり方は通用しない。
いい作品を作るのは大事なことだが、それと同じくらい作り手側の人間関係を円滑にして働きやすくすることもまた大切である。

オタクに対して偉そうにご高説垂れる前に、まずはご自身の人間性や対人関係のあり方、働き方を庵野監督は見直されてはどうか
頼むからそのクソみたいな老害思考と働き方をスーパー戦隊シリーズにまで持ち込まないでいただきたい。
間違えても「シン・ゴレンジャー」なんて作るなよ。

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