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私の使命

「多臓器不全です」
「救命できないかもしれません」

これは私の弟が母を迎えに行った際に自損事故を起こしたときのことを書いてあります。

死ぬということを病院では
「救命できないかもしれません」と言うのだな、と担当医の説明を聞きながら思いました。

弟は以前からアルコールをたくさん飲んでいたようでした。
肝臓の数値は4万を越えていて、
「うちの病院ではこれ以上の正確な数値を測れる機械がありません」と言われました。

当時、前夫と別居していた私は生活に追われていて、
一年に1度か2度くらいしか実家に帰っていなかったので、弟がアルコール漬けになっていたことには気がつきませんでした。

その日はたまたま父が晩酌をしていたので、弟が最寄りの駅まで行ったのです。

母を乗せた弟はてんかん発作を起こして気を失いました。

母が急いで救急車を呼びましたが、たらい回しになり救急車が来たのは1時間後でした。


翌日私が病院に行ったときに、弟はICUに入っていました。

身内でも10分しか入れない場所です。

その日は妹と私が面会することになりました。

弟は、


黄色く浮腫んだ顔で、お腹が腫れたように膨らんでいました。

そのまま棺に入っていてもおかしくない姿でした。

妹は弟に話しかけていました。

私は


正直言って、なぜそんなことをしたのか良く覚えていないのです。

尿が出なければ時間の問題だと聞いていたせいかもしれません。

最初に腎臓があると思われる場所を手かざししました。

時間にしたら1分もしていなかったと思います。

次に肝臓がある場所を手かざししたときに、妹が

「お姉ちゃん!おしっこが出てきてる!
お姉ちゃん!ずっとここにいて!」と
泣き叫ぶように言ったときに我に返りました。

看護士さんは「先生を呼んできます!」と走って行き、病室の外で待っていた両親が呼ばれ、先生はテキパキと処置を始めました。

何度も何度も言われ続けた


「救命できないかもしれません」は、

その日から

「経過観察」に変わりました。

1週間後に弟はICUからCCUに移り、

HCUから一般病棟に移りました。


退院したのは、


あの事故が起きてから2ヶ月半というスピード退院でした。


私は母が後悔していたことを知っていました。

私が迎えに頼まなければこんなことにはならなかった。

母は一晩で髪の毛が真っ白に変わり、
一回り小さく縮んで見えました。

もしも、弟が死んだら


母も死んでしまうと思いました。

絶対に弟は死なせない!


そう思ったことが、

たくさんの患者さんを診てきた先生を
「学会発表ものです」と驚愕する程に回復した弟の話です。

アルコール依存症だった弟は、現在は全くお酒の類いを飲んでいません。

肝臓の薬も飲んでいません。

脳に血液が行かない時間が長かった為、高次機能障害という障害が残りましたが、

弟が飲んでいるお薬はてんかんのお薬だけです。


私が生きているうちにしなければならないことは、


これなのです。



最後までお読みくださり、ありがとうございました。


⚠️「手かざし」は医療行為ではありません。
人によっては時間が変わります。


写真は「写真ac」様からお借りしております。


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