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ネコと子供の物語

子供が大きくなって、家が手狭になったので引っ越しをしました。


そして暫くしたら、

マンションの外に、

一匹の野良ネコが出歩くようになりました。

不思議なことにそのネコは、マンションの敷地の外には出て行かないのです。


その頃、子供はマンションの敷地内に縄跳びの練習をしに行っていました。

前に住んでいた場所では、なかなか練習できる場所がなかったので、
子供はとても嬉そうでした。

ところが、


家で飼っているネコの餌の減り方がなんとなく激しいのです。

気のせいかと思っていましたけど、

玄関に一粒餌が落ちているのを発見してわかりました。


(子供が餌を外に持って行っている)

だけど、そのことには触れずに暫く様子を見ることにしました。

ある時、マンションの管理人が物凄く怒って家にやってきました。

聞くと、
「お宅の子供が野良猫に餌をやってるから止めさせて欲しい」とのこと。

心の中では、やっぱりそうだったのか、と思い
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」と謝りました。


ですが、管理人の次の言葉に腹が立ちました。

「あのネコの腹を蹴り飛ばしてやったんだが、
いなくならないのはお宅の子供が餌をやってるからだ」と。

そして、

「今度見つけたらぶっ殺してやる」と。


管理人の方、普通にシルバー人材の方で、私よりも年上なんですけど、

言葉の使い方が尋常じゃないくらい酷いと思いました。

腹が立ったので、
「あの猫は、家が飼おうと思って餌付けしていたんですよ、警戒して中々ゲージに入ってくれないので」

そう私がいうと、

「なにー💢❗」と怒ってるんです。笑

笑、とか書いて申し訳ないのですが、
本当に笑えるくらい感情的になっていました。

「家の妹が獣医なんで、一度検査して必要なら避妊手術もするつもりだったんです」

「もう、家のネコですよね?
蹴ったり、殺したりしないでくださいね」そう言ってドアを閉めました。



学校から帰ってきた子供に事情を聞くと、


やはり捨てネコで、自分が縄跳びの練習をしてるときに
ずっと見ててかわいそうで餌を上げていたとのことでした。


そして、管理人さんから苦情が来たので、
頭にキタから「家のネコです」と言ったことを子供に話したら、

子供は文字通り飛び上がって喜んでいました。



野良猫さんだった子には、子供が名前をつけました。

妹の病院に連れて行き、検査を受け、
避妊手術もして貰いました。


妹が言うには、

「この子は昔に避妊手術を受けてたけど、
取り残しがあって復活していたからそれを取り除いた。

多分、マンションの中の誰かが新築の家を汚されたくなくて捨てたのではないか?」と。

どおりでマンションの敷地内から出て行かなかったわけです。

家にも前からいたネコがいましたが、
非常に仲も良く過ごせました。

(あとから来たネコさんが非常に頭が良かったからですが)

だけど、このネコさんは、

また家を替えることになりました。

中学生になった子供がイジメに遭い、

元夫(当時は夫)の実家から行ける中学生に転校しなければならなかったからです。

あとから来たネコは、子供にしか懐きませんでした。

寝るときも一緒でした。

子供がその子を連れて行きたいと切望したからでした。

お義母さんには迷惑がかかると思いましたが、
快く引き受けてくださいました。

そして、

子供は違う中学に通うことになりました。

お義母さんの家はとても田舎なのですが、
駅から1分の場所に家がありました。

踏切の音がすると、寝ていたネコがスッと立ち上がって、

子供が帰宅する時間に駅に迎えに行っていました。


その賢さに、お義母さんも驚きながら私に話をしてくれました。

子供が大学に入って、1人暮らしをするようになってからは、

ネコも狭いワンルームに引っ越ししていました。

今まで広い敷地内で伸び伸び過ごしていたネコには苦痛なのではないか?と思いましたが、

ネコも子供も幸せそうでした。

そして子供が就職したときにも、子供はまた違う家に引っ越しました。

またワンルームでした。

私はその家にも行きましたが、

やはりネコも子供も幸せそうでした。

私はネコをブラシでマッサージしながら思いました。

(こうして、この子をブラッシングできるのは最後かもしれない)

そして、


そのネコは、

子供の側で亡くなっていきました。

暫く泣いて立ち上がれないほど落ち込んでいた子供でしたが、

縁あってある男性と結婚することになりました。



暫くすると、

子供が妊娠しました。


生まれてきた男の子は、


多分、あのネコの生まれ変わりなのだと私は思いました。

子供もそう思っている様子でした。

子供とネコの物語は、


こうして、

まだまだ続いて行くのです。


長文を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

↓亡くなった写真ではなく、遊び疲れて寝てしまったネコさんです💦

写真は「写真ac」様からお借りいたしました。
いつも素敵な写真をありがとうございます。