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労働の効率化と人間化

前回に引き続き経営のお話

 前回は、企業がパーパス経営を軸にしていることを話した。組織として共通認識(自分達は何のために存在するのか?)を持ち、個人個人が自身を律し労働をすることが1番効率的とされてきた。つまり、組織に所属することは強制的な力を働かせている。この力は、やりたくない勉強や課題、仕事を頑張ってやり遂げるモチベーションになる。しかし、人によっては負担になりすぎてしまう可能性もある。


 ものづくりの場合、生産性を高めるために分業が1900年代から行われた。車を作るという一連の作業を分割し必要な技術や能力を減らすことができる。これは、アルバイトのようで簡単な作業回数を重ねていくうちに上手になるから誰もができる作業である。別の言葉では、標準化とも言われる。何を標準(規格)に揃えるかというと作業方式、作業時間や道具を指す。標準化によって誰を雇用しても結果は、ある程度同じになり人の入れ替えが可能となった。

 経営学の父として知られている、フレデリック・テイラーは分業や標準化のことを「科学的管理法」と論じた。また、この時代は現在と異なり物を作れば作るほど売れる時代だったから、アメリカの車会社フォードでも活用され生産が急激の増加した。

 Charles Chapline と聞いて歯車に挟まれていく彼を思い浮かべる。彼はいつも笑顔で仕事をするが彼の意思は無視されて機械の部品のように扱われている皮肉的な動画だ。
 マクドナルド化する社会」という著書が1990年代に出版された。効率化が社会に根付き店舗経営者は店員を低賃金でマニュアル通りの分業と標準化された状態で働かせている。つまり、機械化した人間だ。

 このように、経営者としてはコストを抑えて営業できることが望ましいが労働者の権利が主張され始めた。機械化した労働から人間化した労働への変化が求められている。

 従業員の仕事をデザインし、分業や標準化の緩和で職務を設計し直す企業が多い。
内容としては、職務拡大(enlargement)、職務拡充(enrichment)、チーム作業方式の3点だ。職務の幅を水平方向に広げ、計画から統制(まとまり)の責任感を垂直方向に拡大する。そして、一連の流れではなく、まとまった仕事をチーム内で完結させることだ。
 近年では、ワークライフバランスという言葉をよく耳にする。これも働きがいのある組織を作るための働きかけだろう。

 働き方を大胆に変化させた、TOYOTAとVOLVOの実験概要を紹介する。

TOYOTA U地形レイアウト


 真っ直ぐではなく、名の通りU地形にベルトコンベアを設計し作業員を囲む形を設計した。これは、1人が様々な作業を行うことを可能にしたが日本の土地面積の関係で1人1人にmこのような環境を与えるのは難しかった。

VOLVO ターンテーブル方式

 立体駐車場などで、たまに見かけるような円形のターンテーブルに車体を設置する。そして少人数の従業員が周りを囲み0から完成させる。部品しかなかったところから1台の車が出来上がることにより、モチベーションは非常に上がるが効率の悪さから実験段階で終わってしまった。

 企業の経営に携わるということは非常に難しい。経営者はコスパ良く利益を出したいが、労働者を不当に扱っていては、やる気がなくなってしまう。従業員の主体性や責任を求めすぎると方向性を失ってしまったり失敗を恐れたりするものも出てくる可能性がある。両者の意見を按配よく聞き入れる方法を導き出したい。


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