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2023年2月の記事一覧

作家業とチョコレート

 作家、なんて職業をしていると、そこには必ず締切というものが存在している。
 締切というものが存在していると、その直前にはいわゆる修羅場というものも存在していて、よほど特別な作家でもない限りはそれに追われる生活をすることになる。
 当の私はと言えば、自分で言うことでもないが、色々な面でそれなりに優秀な方の作家であるのだと思う。
 大抵の場合、締切というものには作家の尻を叩く意味もあっていくつかのラ

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唐突

 「よう、宇野。久しぶりだな」
 目の前には玄関を遮る様な長身の男がいた。
 そういえばこの人との出会いは、確かに突然だったなと何処か冷静に働いている頭で思った。
 実感を持って思い出す、ということは今の俺には出来ないのだが、俺の身体はそれを確かに憶えているようだった。
 そんなことをぼうっと考えてしまう程度には状況を飲み込むことが出来なかった。
 何せ唐突だった。

 クリスマスも年末年始も過ぎ

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旧友 2

 「は? ライブ?」
 「そう、ライブ!!」
 彼はにこやかに、そして自信満々に言った。
 ライブ、というのは恐らく音楽ライブのことだろう。
 俺と彼が未だに時折連絡を取り合うのも、お互いに音楽が好きだからというのが大きい。
 そういえば、確かに目の前の彼は高校に入学して軽音楽部に入ったと言っていたことを思い出した。
 「な? いいだろう?」
 彼は俺が断るとは思っていないのだろう、ニヤリと口角を

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旧友 1

 「頼むっ!!」
 言葉と共にパンッという手を合わせた音が、決して広くない部屋の中に響いた。
 俺は仕方なしに目の前のモニターから目を離し、座っているデスクチェアをくるりと回して、この部屋の来訪者の方へ向き直った。
 「……で、なんだって?」
 「聞いてなかったのかよ!?」
 相手の大袈裟なリアクションを見ながら、俺は付けていたヘッドホンを頭から外した。
 「急に家に押し掛けられて、急に部屋に上が

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時に雨は降る 13

 「……ん」
 自然と開いた瞼の隙間に、滑り込むように穏やかな光が飛び込んできた。
 部屋の壁に沿うように置いてあるベッドの上で眠っていた錬樹はゆっくりと目を開け、緩慢な動作で上体を起こした。
 「ふぁ……」
 大きな欠伸を一つ。
 半ば自動的に吸い込んだ酸素は脳へと巡り、覚醒を促す。
 動き始めた意識を持って、部屋の窓の方へ目を向ける。
 カーテン越しでもわかるぐらいに外は明るい様だった。
 そ

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