EC担当の僕がかつての百貨店に憧れる理由
はじめまして。きでぃーといいます。2020年3月現在、28歳です。
新卒で入社した会社では某食品企業のEC/WEB担当し、そして2社目ではWeb制作会社にてWebディレクターやSEとしてECサイト構築をはじめさまざまなWeb制作にかかわり、そして今は再び一般企業のEC/WEB担当しています。
こんなことを書くと、「理系なんですね」「学生のころからITに詳しかったんですか?」なんて周りに言われがちですが、僕は根っからの文系人間です。大学の専攻は経営学部です。だから、社会人になってからWEBを学んだ人間です。
『文系AI人材になる』という本が、ちょっと前に(今も?)話題になっていましたが、私も自分のことを「文系AI人材」の1人だと思っています。
そんな私ですが、このnoteでは、かつての百貨店の様子と、今マーケッターとして、かつての百貨店から学びたいことをご紹介していきたいと思います。
もし、タイムスリップできるなら、私は大正時代の日本橋三越か、1900年あたりのパリにある「ボンマルシェ」という百貨店にいきたいです。そこで販売員さんと喋ってみたり、どんな販売しているか観察してみたいのです。
なぜ、"かつての百貨店"に憧れるのか。。
今回の投稿では、その「なぜ」について、最初ですので、できるだけ要約して書きます。
オムニチャネル・マーケティングは「完全アナログ」でも実現できる
突然ですが、「オムニチャネル・マーケティング」という言葉をご存知でしょうか?
オムニチャネル・マーケティングとは、
「実店舗だとかカタログだとかWEBだとか、そういったチャネルにとらわれずシームレスに、消費者が(潜在的に)望むタイミングで(潜在的に)望む情報を消費者にご案内し、行動を促すこと」
だと考えています。
よく、「オムニチャネル」イコール「顧客IDのシステム統合」というふうに理解されがちですが、それはオムニチャネルマーケティングを実現するための代表的な手段であって、目的ではありません。
極端な話、店員が完璧に顧客の情報や購買履歴を覚えていて、その記憶に応じて店員独断で割引特典を行ったりDMの送付を行ったとしたら、それは立派なオムニチャネルマーケティングです。たとえシステム化できていなくても、その分をスタッフの能力でカバーできるんだとしたら、それは立派なオムニチャネルマーケティングです。
繰り返しになりますが、
”たとえシステム化できていなくても"、システム化とは別の手段で目的を達成できれば良いわけです。
全部がアナログだっていいわけです。スマホアプリもポイントカードもPOSシステムも、レジもバーコードも計算機も、マーケティングの観点でいうと必要条件ではないわけです(理論上は)。
世界初の百貨店『ボンマルシェ』が発明したもの
世界で最初に誕生した百貨店は、
フランス・パリの『ボン・マルシェ』という百貨店です。(今も現役で営業しています)。
ボンマルシェのどの時点から百貨店と呼ぶかは難しいですが、ひとまず、スティッド・ブシコーがボン・マルシェの経営権を獲得した1852年としましょう。
『衝動買い』という言葉がありますが、この人間の行動はボン・マルシェの発明といえます。また、販促カレンダーを作成しそれに応じた販促活動を行いはじめたのもボンマルシェです。また、今では当たり前の「ショーウィンドウ」、これは百貨店の原型とされる『マガザン・ド・ヌヴォルテ』と当時呼ばれた商店たち(ボンマルシェも当初はまだマガザン・ド・ヌヴォルテにカテゴライズされる1つの商店でした)が発明したものです。
そして「オムニチャネルマーケティング」、これも1800年代後半のボンマルシェがその原型と呼んでも過言でもないであろう販売手法を行っています。(もちろん当時インターネットはないのでカタログ等紙媒体を使っての手法です)。
簡単にいうと、
「マガザン・ド・ヌヴォルテ」の登場前までは、パリの人々にとって買い物は"苦"でした(ちなみに日本は少々例外です)。しかし、「マガザン・ド・ヌヴォルテ」の登場によって、買い物は"快"となりました。
そして、「マガザン・ド・ヌヴォルテ」の商店たちが発明した販売手法を、さらに高いレベルに発展させ確固たるものとしたのが「ボンマルシェ」です。
そしてこのボンマルシェが発明した販売手法が、現在のマーケティングの原型といっても過言ではないです。
そういう意味で、ボンマルシェは「マーケティング界のビートルズ」といえるでしょう。
ちなみにですが、「マーケティング」という名詞が登場したのは1905年で、ボンマルシェが「衝動買い」という人間の行動を作り出したのは1800年代後半の出来事です。
つまりマーケティングという言葉が生まれる前から、効果的なマーケティングは実現されていたのです。(考えてみれば当たり前ですが)
マーケティングの理論を知らなくても、効果的なマーケティングを行うことは、不可能ではないのです。もちろん難易度は高いですが…。
マーケティングのフレームワークでは表現できない大切なこと
マーケティングが理論化され、いくつかのフレームワークに整理されたこの時代だからこそ、その整理の中で埋もれてしまった微妙なニュアンスのものはたくさんあると思います。
また、フレームワークを理解することと、フレームワーク(という便利道具)の正しい使い方を理解することは、まったく別物です。
その埋もれてしまったニュアンスと、フレームワークの適切な使い方、そして、どんな時代になっても不変である大事なこと、これらの大きなヒントが、19世紀後半から続く百貨店の歴史の中に、たくさん詰まっています。
このnoteでは、それらのヒントについて、ご紹介していきたいと思います。
また、断っておきたいのですが、
私は「百貨店オタク」ではありません。記憶力も高くないので、「99人の壁」のようなクイズ番組に出れるような、そんな百貨店の知識など持っていません。
あくまで、百貨店の歴史からマーケティングのヒントを得ている1人のEC担当者であり、マーケッターです。
また、IoTなりAIといった最新技術は、百貨店を発明したブシコーが理想とした販売手法をさらに高いレベルに導くために、人間の能力を拡張したりロボットが協力してくれるもの、という解釈をしています。あくまで、マーケティングの理想自体は100年前から不変であり、技術によってその理想により近づけるようになったと思っています。
また、私が参照している情報は、主に下記の2冊の本です。
正直、百貨店の歴史や当時の様子を学ぶのであれば、上記の2冊等の本を読んだほうが早いです。
ただ、このnoteでは、そこから僕なり解釈をしたうえで、令和のこれからの時代にどう応用していくか、あるいはECといったバーチャル空間を経由する販売にどう応用するのか、という僕なりの考えをご紹介していく予定です。
週に1度は投稿していきたいと思っています(がんばります!)。何卒よろしくお願いいたします。
このnoteが、激動の時代を生きるマーケッターの方、これからマーケッターを目指す方にとって、何か大きなヒントとなりますように。