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R. Rorýs
2020年7月5日 02:59
鳥が羽ばたく丸まった手の中からふぁさふぁさふぁさふぁさふぁさふぁさやってきたことを思い出す鳥が羽ばたく閉じられた目蓋からふぁさふぁさふぁさふぁさふぁさふぁさすべてだったことを知る鳥が羽ばたく窪んだ胸元からふぁさふぁさふぁさふぁさふぁさふぁさやがて全部忘れてしまう
2020年7月2日 07:47
太陽が地平に近づいたら アマツバメの宴がはじまる疾風のようにやってきて 瞬く間に彼方へ飛んでいくたちまちのうちに高く昇って くるくる回って呼んでいるぴぃぃぃ ぴぃぃぃぃ ぴぃぃぃ ぴぃぃぃぃぴぃぃぃ ぴぃぃぃぃ ぴぃぃぃ ぴぃぃぃぃおなかの中が熱くなって 躰がぶるぶる震えて止まらない輪郭がさらさら崩れ落ちて 風の中へ消えてしまういつの間にか龍になっている 鼻先でツバメたちが遊ん
2020年7月1日 08:28
躰の中から鳥がはばたくひらりと飛んで風にのるおなかのあたりの鳥だまりから夜ごと一羽ずつ飛んでいく液状の鳥が詰まった池にはまあるい月が映っている夜になるとゆらゆら揺れて緋色の鳥がしゅっと飛び立つどんどんどんどんはばたいてやがて空っぽになるだろうそしたら全部ひっくりかえってアークトゥルスにかえるんだ
2020年6月30日 09:53
池の周りに河童が数匹何をしているかしらないがみなめいめいに働いている河童の躰には贅肉がなくその動きには迷いがない池の向こうから男が一人釣竿を肩にかけている河童がすばやく男を捕らえ池の中へ引きずり込む男は声すら上げられない完璧だった一瞬だった天晴だった恐ろしかった男の体は河童に喰われ河童を作る材料になる河童になる河童になる
2020年6月28日 02:18
気づいたら川沿いの道を歩いていたゆったりと流れる大きな川は濁った青緑色向こう岸には深緑の森が広がっている誰もいない とても静かだぽつんと小さな魚屋があるのを見つけた陽はまだ高いがもう店じまいをしている発泡スチロールの上に置かれたホタテ貝乳白色の立派な貝柱に引き寄せられるまだホタテ貝はありますかと尋ねた水を撒いていた女性が無言でうなずく六つ、七つ、いや、九つくださいとお願いす
2020年6月28日 10:21
木で組まれた簡素な小屋で男が最後の飯を待っているどんな罪を犯したのかこれから死ぬことになっている料理係は浅黒い肌の女がっしりと豊満な体つきいとも長閑やかな動きで四角い膳に飯を載せる小屋の中には骸骨が一体過去に処刑された者らしい男は骸骨に見つからぬよう柱に隠れて食わねばならない熱帯樹の枝の上では極楽鳥が下界を見ている骸骨が飯の匂いを嗅ぎかたかたぎこちなく動いている女は