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太陽で目洗ってから、月にウィンクした方がいいよ。

ここは東京三鷹市の文化住宅。
周りは田舎臭い風景が広がっていて空が広い。
割と気に入っている、と言っても住み始めてまだ4ヶ月ちょっと。
外に出ると私の端部屋の横に広めの広場がある。

月が最近綺麗だ。そして肌寒さもちょうど気持ちいい、秋の終わり頃。

おでんを1時間ほどかけて作って食べた後、引っ越し祝いにと最近友人に贈ってもらった「captain morgan private stock」という私の大好きなラムを、大阪を出るときにおじいちゃんが持っていけ、とくれた渋いサントリーのロックグラスに注ぎ、ガットギターと椅子を持って、その広場へ出た。

フジファブリックが東京の空の星のことを歌っていたよなと、東京の夜空を見上げるたびに思うのだが、まあ確かに思っていたより星はよくみえる。

私は月を見ると必ずウィンクをする。理由は特にない。今日も綺麗だねと、口に出さずに言っているとおもってくれ。
この日もいつも通り月にウィンクをした。
もうあと3日もすれば満月だろうか。
いやしかし今日は見事な夜空だ。

かねがねこっちに越してきてから、この広場でいわゆる「チル」したいと思っていたのだ。
だがこの日にこういうことをやろうとずっと計画をしていたわけではない。
たまたま、本能的に、この日だった。
ほぼ同時に、自然に、よしっと意気込むわけでもなく、椅子とガットギターとラムの入ったグラスを手に取り、パーカーを着ても物足りないほどの寒空に出ていた。

そして椅子を広げ、腰をかけ、月を見ながらギターをつまびく。時折グラスを月の光にかざし、クイっといく。
月を見ながらなんとなくカポを6フレットにはめて、キーはAm7でアルペジオをなんとなく弾いていた。
部屋で曲を作るときなんかは頭をかきながら随分と迷うものだが、この見事な夜空と共にギターを弾くと何を弾いても様になってしまう。
いいのか悪いのか。
そんな作り方をしていたらとうとうお月様の歌しかできなくなりそうではないか。
それでも別にいいはずなんだがね。

循環コードが定まる。ずっと空を見ながらぼんやりとギターを弾いていた。
すると、ヒュンッと一際明るい流れ星が流れた。

驚いた。なぜ驚いたのかを話したいのだ。

最後に流れ星を見た瞬間を私ははっきりと覚えている。
その時は見える気がしていた。というか見たかった。だからずっと空を見上げていた。

将来的にどうすればいいかわからない時、迷っている時、先が見えない時、今自分がどうすれば今より楽になるか、幸せになれるかという仮の答えを自問自答の末に出すことはよくあることだ。

ただ行動に移そうにも本当にそれでいいのか自信はないし、他人に相談することもしないタチだから、
私はこう思うんだけどどうだろうか、と、今思えば夜空に問いかけていたのだと思う。流れ星でも流れりゃ、そうか、そうだよな。てな具合に。

ぼんやりとそんな自分のこれからをなんとなく想像しながら夜空を眺めていたところに本当に星が流れるもんだから、その日は驚いたし、変に納得もした。なんだか安心してよく眠れた。



ここ最近、その日のことをちょうど思い返していたところだったのだ。

今思えば、あの流れ星が流れた日に思い描いた未来と、ここ3年ほどの僕の生活は、驚くほどリンクしていたよなあ、と。

そして、あの時も今のようにこれからどうしたらいいんだろうかてな具合だった。
その今、この日。

驚いたが、妙に納得もした。体が本能的に求めていたのかもしれない。
今日か、、
とも思った。

と言うのもあの時のようにこれからこうすればいいんじゃなかろうかと言う自分なりの仮の解を出せていなかったからだ。

引き続き、ギターをつまびきながらメロディにを口ずさみつつ、何も考えずに言葉を乗せてみた。

「東京で恋をして、愛を育み、女肌に埋もれたい」

だった。

ギターを弾くのをやめ、少し冷静に今でた言葉を口に出してみた。
今のが願いじゃないか。
考えずにポッと出た言葉ほど正直なものはないじゃないか。

そうか、私は彼女が欲しいんだな。

確かに、今までもそりゃあ欲しいと思ったことは何度もあるが、てかずっとなんだが、今が一番、切実かもしれない。

流れ星が気づかせてくれたんだ。今一番必要なものを。そしておそらく不意にその時が来るのだろう。あの時の流れ星がそうだったように。


そろそろ流れ星のお告げの頃なんじゃないかなーと、ほんとぼんやり思っていたんだよこれほんと。

夜空に頼らないとやってられんくらい、切羽詰まってるし、だいぶハードモードな日々を過ごしている。自分でよくやってるなと思う。ただ、そんな自分を楽しんでもいるんだが。どMかな。

そろそろ報われますかね。

まあ明日もなんとか頑張れそうだな。
月にウィンクをしてた甲斐があったのか。

空になったグラスを掲げ、月の光にかざした。綺麗だ。ご馳走様。

とその時、それに呼応するように再び一際明るい流れ星が流れた


らよかったんだけどね。


なんちゃら流星群が流れているのかもしれないな、とふと頭をよぎり、スマホで調べようとしたのだがやめた。
途端にロマンがなくなるじゃないか。
だからこの記事を書いてから調べようと思ったのだ。

ロマンをここにとどめてから、現実に立ち戻らないと、スマホにしてやられっぱなしだ。つまらないじゃあないか!

私は何も知らずに、たまたまこの時間を過ごしたんだという記録を、私のために残したのだ!

よし、調べてみよう、、

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