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社屋建設の想い 対談者:福永博建設研究所 所長 福永 博様

皆さまこんにちは!ヒューマングループnote 編集担当 朝永です(^o^)

今回のヒューマントーク ゲストは福永博建設研究所 福永 博様です!福永様には現在のヒューマンスクール早岐の社屋を設計していただきました。

早速、弊社社長 内海と福永様の出会いからご覧ください!

福永さんとの出会い

35年前に、早岐校の社屋建設のプロジェクトがスタートしました。
感性ある建物をたてる為に必要な設計をどこに頼むか?

早速九州内の教習所をみてまわりました、鳥栖自動車学校の社屋を見学した時・・・これだと思い設計事務所を紹介していただきました。アポをとりお会いしたのが福永博所長。

お会いしてお話を聞き、そして所長が設計された建物を見学して即断で社屋の設計を依頼しました。
福永所長とはそれからのお付き合いです。

仕事をとおして、今日まで家族同士のお付き合いをさせていただいています。出会いはすばらしい!

※対談の本文は、2006年6月にヒューマンニュースレターに掲載したトークを当時の文章で掲載いたします。

社屋建設の想い

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<ヒューマンニュースレターVOL.26(2006年6月発行)より転載>

福永博建設研究所 所長 福永 博 様
ヒューマングループ 代表取締役 内海 和憲

今回のヒューマントークは、ヒューマンスクール早岐の校舎を設計していただきました福永博建築研究所所長 福永博様にご登場いただきました。

内海:19年前、弊社の建物を福永先生に設計していただいたのですが、そのころの事は覚えていらっしゃいますか?

福永:はい内海さんが、あちらこちらの自動車学校の建物を見学され、鳥栖の自動車学校の建物を気に入られて、私のところにお願いに来られたんですが、私が携わった建物を気に入ってもらえたということが、建築家として非常に嬉しかったですね。
最初来られたときは、コースの横に建物を建てるスペースの幅がとても狭いし、限られた予算で、果たしてそれで建物ができるものかと非常に気にされていたのが印象深いですね。自動車学校を初めて見学させていただいた時が、ちょうど桜の時期だったのですが、模擬運転教室から見える石垣の向うに咲いている桜がとても綺麗で、この桜を全体で生かした設計をしたいと思いましたね。

内海:先生と出会って20年経ち、今年もきれいな桜を見ながら仕事ができるのを感謝しながら、今一度、社屋を建てるときのあの頃の思いとかそういうのをスタッフやお客様にメッセージとして残したいと思いまして、本日は先生のところにお邪魔しました。設計をお願いしたころの先生の思い出話しを聞かせていただけますか?

福永:建築というのはその方がもっている人柄とかしくみが設計の中心になるんですね。内海さんがもっている気遣いとか人に対するやさしさや思い入れというのが、やわらかい雰囲気ですがものすごく伝わるんですね。そこに先代のお父様がもっている経営者としての堅実性を融合させていくと、二つ見えてくるわけです。

お父様の方はとにかく費用がかからずにそこそこいいものを造ればいい、しかし息子のために何か残したいという思いが話しの中から伝わってくるものがありましたね。建築というのは施主の人となりが自分たちに伝わってきて、それが建物のエッセンスとして表現されていく。感じ取れれば形ができるわけです。そして次に知性的な内海さんの奥様の舞台雰囲気をつくらないといけない。お父様が持っている堅実性と予算性、内海さんがもっているおもしろさとか人に対する温かさとかを、空間の中でやらなきゃいけない、でも奥様が持っている美しさとか振る舞いとかとはまたちょっと違うから…等々。それが最初のアプローチ段階での特徴です。

アプローチのところは“奥様が似合う場所”なんですね、割と冷たいけどモダンな、例えば天井にきれいに切れ込みが入っているところなどですね。そしてお父様の経済性はどこに出たかというと、サッシですね。サッシを使うとお金がかかるから、硝子のままでサッシはないんですよ。羽目殺しの窓にして、コンクリートがサッシになっているという形になったわけです。

内海:そこまできめ細かくなっているとは知りませんでした。

福永:一番困ったのが今まで使わなかった色、緑を使ったんですね。深い緑は好きだけど、鮮やかな色、歯磨き粉的な色はあんまり好きではなかったんですね。でも、全体のヒューマンというハートのロゴの赤が内海さんの自慢のマークだったので、それにあわせるとすれば、薄いヤンググリーンの色だったわけです。
アプローチから玄関へ入るときに、桜とかもみじとかが見える、そして玄関から帰るときに目の前にアメリカ楓の壁を作りたいという希望がありまして、なぜアメリカ楓かと言うと、ものすごく一瞬彩りが映える時期があって、人の人生もそうですが、その鮮やかな彩りを見てもらいたいと思っていたんですね。地元の植木屋さんは一生懸命されるのですが、薦められる植木が、イメージにしっくりこないので、ちょっと困ったこともありましたね(笑)でもその代わり、アメリカケヤキは、少し曲っていた木だったのですが、すごく安くしてもらえたんです。予算の都合もあり、大変ありがたかったですね。

内海:以前は道路の裏側の社屋の窓硝子はスリガラスにしていたんです。見られるのが嫌で遮断していたのですが、でも先生は、窓から見える石垣がきれいだし、桜がきれいだし、山の緑がきれいなので、これを活かさない手はないよと、1階から3階全部が山や石垣を見れるように作ってくださいました。今では、四季を感じさせていただいて、春になると山桜がとにかくきれいに咲くので、見ながら仕事ができるというのは本当にありがたいなと思ってます。

心地よさというのは社屋もそうですけど、周辺の四季を感じられるということですね。そういう意味では社屋を建てて本当に良かったと思います。今でも福永先生のスピリットや、我々のスピリットが結集として出来上がったとひしひしと感じますね。
冬の季節になってアプローチの植栽の葉が落ちてしまうと、毎年イルミネーションをつけるのですが、意外と皆様方が見てくださっていて、「ここは何だろうと思ってました。自動車学校だったんですね」とよく言われますね。

福永:今度、ある倶楽部で話をするのですが、テーマが「次の世代に何を伝えるか」ということなんですが、そのテーマを考えると、伝えていくものはヒューマンで表わされるものの形、それに伴う行動や人柄、そして残したものから次の新しいものが生まれていく伝え方、伝わりにくいけど、“芯”になるものを残せばいい。

その芯になるものっていうのがお父様や内海さん、奥様であり、そこから私たち設計者は、感じるものを単純に建築にするということです。それを喜んでいただいて、受け入れてもらえるように。ただ、わからない人たちに対しては建築は作れないんですね、間取りとかも。花や“モノ”が嫌いな人はなんの興味もしめさないんですよ。不思議と…。数万円のバイクも一千万円のバイクも同じバイクなんですよ。たぶん自転車もそうだと思いますよ。だから、「これはこんなに素敵なバイクなんですよ」と言われても「そうですか!」しかないんですよね。これに乗ったら怖いとかそういうのはないんですよ。寒いとか…も。興味のない方には影響力はないということですね。

多分残すものが伝えるものでしょうから、普通は伝統とかの話しになるのですが、先代の社長が、誰でも早く学習できるようにと、実際の車を動かさずに、当時としては珍しい模擬運転ができる機械3台を、トタン葺きの整備工場みたいなところに置いて、訓練する場所を作っておられましたよね。そのような創意工夫が、教習に来られた人たちのために何をするかという想いを残していく。それを今度は形を変えたところで受け継いでいけばいいのではないか、そういう風に思いますね。

内海:先生の300年住宅というのもそうなのですが、何年も何百年も先のことを見据えていらっしゃるという感じですが、これから先、先生が何をされるのかとすごく楽しみにしています。

福永:作家じゃないんですから(笑)家を造るということは相手の景色をよく見て内海さんを描くということですね。一番大事にしてあるマークが一番綺麗に目立つように、またそのことに対して品があるようにということだけのことですね。

内海:作家じゃないといわれてましたが、先生は芸術家なのに作家みたいな感じですね。

福永:作家は自分のやりたいことを究極まで突き詰めないといけない。誰が何といおうと。自分が心底考えたそういうものをみんな作家は見せてしまうじゃないですか。あからさまに、そして自分の中に納まらないものを出していく、それと私たちは違うということなんですね。建築は人が生活する器だから。それが作家になってしまうと相手に押しつけてしまうんですね。主は内海さんであり、相手の生き方であり、そこにおられる子供たちなんですね。内海さんが話す言葉言葉で、私たちはシナリオを作り小さな場面場面を描いているだけなんですね。だから環境が主になれば、桜が中心になったりしますし・・・建築で多面的なしくみを勉強させてもらえますね。

内海:先生は常に相手の人を見ていらっしゃるんですね。

福永:何をしなければならないかヒントをいただいているんですね。これを単純に組み合わせれば内海さんに喜んでいただけるんじゃないかとか、教習生が喜ぶんじゃないかとかいうのがあるんですね。ただ300年とか言うのは目標であって、自分の主張はこうしますよと言うことになっていくわけです。

内海:予算内で建てるのはこれは至難の業で必死でしたね。本当に私にとっては思い出がいっぱい詰まった2年間でした。
校舎が出来た時、夜にライトをつけたんですね。家族全員で見て、こんなに綺麗なのかととても感激して、涙が溢れてきて止まりませんでした。最近よく「建築されて何年経っているんですか」と聞かれますが、「19年です」と言うと、皆さんが「エー全然そう見えないですね」と言われますね。高校生の生徒さんは、居心地がいいのか、卒業されても、週に2-3回は遊びにこられますね。そういう風景を見ると福永先生の偉大さを感じます。春、3Fから見える桜は本当に最高です。風が吹いて花びらが舞い散る風景がとてもすごくいいですね。3Fで仕事しているスタッフが本当にいい顔して仕事しています。

福永博様プロフィール
●福永博建築研究所所長 歴史や文化・伝統から学び、理解したものを継承しながら社会や地域に必要なことが何かを考え、その上で、住む人、使う人の立場に立った「建築と街づくり」を実践している。
生け花の師範でもあり、100項目を超す特許も取得している。マンションの革命ともいえる超長期耐久マンション「300年住宅」を提唱し、建物を実際につくることで証明している。

●主な業務実績
シャトレけやき通り・赤坂(第一回都市景観賞受賞)、西大谷団地(第七回福岡県建築住宅文化賞大賞)、ガーデンヒルズ浄水(福岡市緑の街づくり協議会プライベートグリーン設計賞)他多数

朝永のつぶやき

最後までご覧頂きありがとうございます!ここからは、担当がトークを読んだ感想をまとめたプチコーナーです(^-^)

今回のトークでは、福永様が社屋設計に込めた様々な想いを知ることができましたね!

実際にこの社屋で業務をしていると、窓から桜の木や枇杷が実っている様子、梅の花など自然の移り変わりを近くに感じられてとっても居心地がいいんです(*^-^*)

晴れた日には大きな窓いっぱいに、日の光が入ってきて清々しい気持ちになります♪

建築や設計のことはあまり詳しくないですが、建物ひとつひとつにそれぞれの想いが込められていると思うと普段目にしている建物も見え方が変わってきますね!


それでは今回はこの辺で!また次回お会いしましょう(^o^)/


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