武蔵野美術大学 クリエイティブイノベーション学科 岩嵜研究室

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武蔵野美術大学 クリエイティブイノベーション学科 岩嵜研究室

武蔵野美術大学 クリエイティブイノベーション学科/クリエイティブリーダーシップコース 岩嵜博論研究室のnoteです。

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『多元世界に向けたデザイン』 終章

岩嵜研究室で輪読している『多元世界に向けたデザイン: ラディカルな相互依存性、自治と自律、そして複数の世界をつくること』(アルトゥーロ・エスコバル著)の結論の章について、概要、ゼミでの議論、感想をまとめます。(文責:M1 星野) 結論 P336〜 多元世界を完全に具現化した社会も、完全なトランディション・デザインも未だ無いが、出現しつつあるトランディションを礎に構築し促進することができる。 【トランディション・デザインの原則としての母なる大地の解放】 P338〜 すべ

    • 『多元世界に向けたデザイン』 第6章

      岩嵜研究室で輪読している『多元世界に向けたデザイン: ラディカルな相互依存性、自治と自律、そして複数の世界をつくること』(アルトゥーロ・エスコバル著)の第6章について、概要、ゼミでの議論、感想をまとめます。(文責:M1 星野) 【前書き】 P278〜 本章ではラテンアメリカにおける「アウトノミア(自治)」の概念とそれに並行する概念「コムナリダ(共同性)」あるいは共同的なものが、デザイン思考の基盤として捉えられるかを問う。 ブエン・ビビール、ポスト採取主義へのトランジション

      • 『多元世界に向けたデザイン』 第5章

        岩嵜研究室で輪読している『多元世界に向けたデザイン: ラディカルな相互依存性、自治と自律、そして複数の世界をつくること』(アルトゥーロ・エスコバル著)の第5章について、概要、ゼミでの議論、感想をまとめます。(文責:M1 中田) 【前書き】p.236- 第5章では、現代社会が直面している文明的な課題に応答するためのデザインの役割について焦点を当てている。この変化は単なる技術的な問題ではなく、存在論的な課題に根ざしており、資本主義や近代の枠組みから解放されるための新しいビジョ

        • 学部4年生ゼミ展「THE DAWN OF LIFE PROJECTS」を開催しています

          2024年10月10日(木)〜15日(火)の日程で、学部4年生のゼミ生による卒業制作の過程の一部を、武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス2階で展示しています。 展示のタイトルは「THE DAWN OF LIFE PROJECTS ライフプロジェクトの夜明け前」です。 ライフプロジェクトは、デザイン研究者のEzio Manziniの言葉です。デザインの役割は、作品をつくることから、社会に働きかけるプロジェクトを仕掛けることに変わりつつあります。クリエイティブイノベーション学科の学生

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        • 『多元世界に向けたデザイン』輪読会
          7本
        • ゼミ生研究内容紹介
          5本
        • 『意味論的転回』 輪読会
          9本
        • 『コモンズ思考をマッピングする』輪読会
          10本

        記事

          『多元世界に向けたデザイン』 第4章

          岩嵜研究室で輪読している『多元世界に向けたデザイン: ラディカルな相互依存性、自治と自律、そして複数の世界をつくること』(アルトゥーロ・エスコバル著)の第4章について、概要、ゼミでの議論、感想をまとめます。(文責:M1 百瀬)   第4章;存在論的デザインの概要(An Outline of Ontological Design) 本章では、「存在論的デザインの概要」について説明している。「存在論的デザイン」とは、テリー・ウィノグラードとフェルナンド・フローレスによって提唱され

          『多元世界に向けたデザイン』 第3章

          岩嵜研究室で輪読している『多元世界に向けたデザイン: ラディカルな相互依存性、自治と自律、そして複数の世界をつくること』(アルトゥーロ・エスコバル著)の第3章について、概要、ゼミでの議論、感想をまとめます。 文責:M1 加藤   第2部デザインの存在論的再定位(The Ontological Reorientation of Design) 第2部では、デザインの社会的背景を存在論的に読み解き、デザインへの存在論的アプローチを概説する。   第3章 我々の文化の背景にあるもの

          『多元世界に向けたデザイン』 第2章

          前週に続き、岩嵜研究室で輪読している『多元世界に向けたデザイン: ラディカルな相互依存性、自治と自律、そして複数の世界をつくること』(アルトゥーロ・エスコバル著)の第2章について、概要、ゼミでの議論、感想などをまとめます。(文責:M1 森本) 概要本章では、前章までの議論を発展させ、デザインを存在論的に捉える場合に直結する分野から生じる複数の動向について考察する。 本章は以下のように構成されている。 第一パート 人類学とデザインの間の多様な関わりに焦点を当て、実践的なデザ

          『多元世界に向けたデザイン』 序論と第1章

          岩嵜研究室で輪読している『多元世界に向けたデザイン: ラディカルな相互依存性、自治と自律、そして複数の世界をつくること』(アルトゥーロ・エスコバル著)の序論・第1章について、概要、ゼミでの議論、感想などをまとめます。(文責:M1 高田) 概要序論 序論では、本書の各章で取り上げるテーマを紹介する。本書の中心的なテーマは、資本主義と近代化に対する批判であり、デザインの偏在性や社会的文脈、文化的意味の生成に関する考察を展開する。デザインは、単なるモノ作りではなく、社会変革のツ

          『多元世界に向けたデザイン』 序論と第1章

          産学プロジェクトが始まりました

          武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科/クリエイティブリーダーシップコースでは4つの学期のうち9月〜10月の第3タームに産学プロジェクト実践演習/研究というプロジェクト型の授業を行っています。この授業では教員が中心になって組成した十数個のプロジェクトに学生が分かれて参加する形式を取っています。学部生は3年生を中心に必修の授業、大学院生は選択となっています。 岩嵜は、今年は3つのプロジェクトを企画しました。2つは昨年からの継続、1つは新規のものです。継続して実施するの

          DRS2024に参加しました

          ボストンに集結したデザイン研究の最新形 アメリカのボストンで開催されたDRS(Design Research Society)のカンファレンスであるDRS2024に参加しました。DRSのカンファレンスは2年に1度開催されていて、前回は2022年にスペインのビルバオで開催されました。DRSへの参加は今回が初めてとなります。 今回はこの後シカゴに移動するため、大学の授業との関係でDRSへの参加は後半の2日間のみとなりました。それでも、デザイン研究の最新のトピックに触れることが

          ゼミ生研究内容紹介「実践コミュニティの自律的維持の研究」高田紀子

          自身のコミュニティ体験からの研究動機 私は社会人として働きながらも、所属する組織や組織外の勉強会、ネットワーキングに数々取り組んできました。共通テーマを探求する集まりや、新しい技術やフレームワークを議論する仲間との時間はとても楽しく、有意義に感じています。このような集まり「実践コミュニティ」は有志の自発的なものであり、強制も責任もありません。立ち上げ当初は熱量高く盛り上がるものの、時が経つと自然消滅する残念なことも多く経験しました。個々のライフステージや様々な要因からコミュ

          ゼミ生研究内容紹介「実践コミュニティの自律的維持の研究」高田紀子

          イリノイ工科大学Institute of Designからゲストを迎えて「EquityとSustainabilityをデザインする」というイベントを開催しました

          3月26日に武蔵野美術大学ソーシャルクリエイティブ研究所主催のイベントとして「EquityとSustainabilityをデザインする:フードロスを防ぐためのシステムデザイン」を開催しました。 アメリカのシカゴにあるイリノイ工科大学Institute of Design(通称IIT ID)からDean(学部長)のAnijo MathewとIIT IDの研究プロジェクトであるAction LabのディレクターであるMaura Sheaを迎えて、フードロスのシステムデザインをテー

          イリノイ工科大学Institute of Designからゲストを迎えて「EquityとSustainabilityをデザインする」というイベントを開催しました

          『意味論的転回』第9章

          研究室で輪読を行っている『意味論的転回―デザインの新しい基礎理論』の第9章「ウルム造形大学のルーツ」について、全体のサマリ、ゼミでの議論内容、読んだ感想をまとめていきたいと思います。(文責 M1 久永) サマリ第9章の大枠 本章の冒頭でクリッペンドルフは、「起源を明らかにするのは難しい」と述べ、ウルム造形大学と意味論的転回との関係を解き明かすことが困難な理由を、次の3つを挙げて説明します。それは、工業からポスト工業にシフトしていく時代背景、実証主義ではなく科学を素朴に信じ

          『意味論的転回』 第8章

          現在、岩嵜博論研究室で輪読を行なっているクラウス・クリッペンドルフの『意味論的転回 デザインの新しい基礎理論』の第8章について、全体のサマリー、ゼミでの議論の内容、読んだ感想をまとめます。(文責 M1 河合) サマリー本章では、意味論的転回と他の分野のアプローチの差異について述べています。 8.1 記号論 8.1では、記号論と意味論的転回の違いについて、以下の5点を挙げています。 記号論は2つの世界の存在論に基づいている 記号論は、意味を想像する際の、人間の行為を除

          『意味論的転回』 第7章

          研究室で輪読を行なっている『意味論的転回―デザインの新しい基礎理論』の第7章「デザインのための手法、研究、科学」について、全体のサマリ、ゼミでの議論内容、読んだ感想をまとめていきたいと思います。(文責 M1 テツ) サマリ第7章の大枠 意味論は以前無視されていた領域の探索を奨励し、新しい領域の探求に物品の意味、インターフェース、ユーザーモデル、関連するユーザーなどの新しい記述方法を提供する。デザイン意味論は新しいデザインの対話を提案し、科学者だけでなく、デザイナーにも新た

          『意味論的展開』第6章

          研究室で輪読を行なっている『意味論的転回―デザインの新しい基礎理論』の第6章「人工物のエコロジーにおける意味」について、全体のサマリ、ゼミでの議論内容、読んだ感想をまとめていきたいと思います。(文責 M1 福原) サマリ第6章の大枠 第6章では、人工物がお互いにどのような意味的関係を持つのか、人間が人工物をどのようなものと考えるのかによって、その人工物の相互作用は何であるのかということを「エコロジー」という概念を用いて説明しています。 人工物の種は人間の言葉によって相互