仕事できる人の特徴は、小説好き、本好き説。歩く〇〇と言われた同期Nの話。

入社式を終えるとそのまま新人研修を行う企業も多いでしょう。半年以上かけてやる会社もあるそうで、おそるべき体力ですね。新人研修に限らずいつ辞めるかもわからん社員たちの教育に、たっぷりお金を使ってくれる会社こそ本当の意味でのホワイト企業だと思っています。

もちろんネコダも新人研修なるものに参加しました。内定者顔合わせ直後の飲み会で、同期女性全員のLINEを聞き出し、1人残らずデートに誘う強者同期Nくん。もちろん女性陣グループの中で、彼からどんな文章が届いたのかすべて共有されていて、文面は名前の部分以外はほぼ同じだったそうです。でも特別かわいいと評判だった女性には相当に気合いの入ったオリジナル文章を送っていたそうで、見事白日の元に晒されました。とはいえNくんは憎めない性格で、人気者。
仕事で落ち込む同性の後輩を元気づけようと、おっぱい。とメールを送ったら、それが会社のグループアドバイスで社長にも届くこととなりました。その1分後には、メッセージが削除され、とても1分で書いたとは思えないほど長い謝罪反省文が送られてきました。もちろんあだ名は『おっぱいの人』です。
先輩からも後輩からも慕われそうな雰囲気が伝わってくるんじゃないでしょうか。

彼はいわゆるお勉強は苦手で、スポーツが大好きでした。頭のいい友達と素早く仲良くなって、宿題は写させてもらうタイプ。
スポーツとナンパで鍛え上げたメンタルと自信で対人関係にめっぽう強く、同期の中でも頭1つ抜けて目立つ存在でした。
Nくんが1人暮らしをしていた頃。彼と一緒に呑んだが最後、2人と目ベロベロに酔っ払ってしまいました。
俺の家はすぐそこだから泊まってくれよ。タクシーで行こう、と提案してくれました。
で、実際にはタクシーに1万円近く払ったので、彼のケツを思いっきり蹴り上げたことを今でも覚えています。

部屋に入るや否や、うちのトイレで大便とゲロだけは絶対にするなと通達。その直後、彼から最初にトイレで吐き、私も後に続きました。

呼んでおきながらスペアの布団もないので彼から剥ぎ取って寝ました。当時は本気でムカツきましたが、今となっては良き思い出です。

さて、翌朝。寒すぎて目が覚めました。
あらためてじっくりと彼の部屋を見渡すと、小説が天井に届くか、よく積み上げたなという勢いで部屋のあちこちに積まれていることに気づきました。どうせ引っ越すし、大きな本棚買うのが嫌だったんでしょう。

大変失礼ながら、当時の私は勉強しない人=本嫌いな人と思い込んでいたので驚きました。

彼の部屋が寒すぎたので、さっさと最寄駅に向かいます。途中にあった牛丼チェーンで2人で朝食をとることにしました。

小説好きなんだね

と切り出すと、すごい熱量で推しの作家や作品のことを語り始めました。

なんで小説が好きなの?

色々な人の人生や考え方に触れられるから

Nくんがナンパや口説くの上手なのも、すぐワンナイトしちゃうのも小説の力?

うん。ぜんぶ小説のせい。

入社数年くらいではスキル面ではたいした差はつきません。なにが仕事の出来不出来に直結するかというと、相手の気持ちに立って、行動するかどうか。これが大きいのです。信頼や可愛がられ力の根源になるから。
彼は営業成績が伸びない後輩に寄り添い、小説で得た知見を使い、相手の反応をしっかりみること。それにあわせて対応を変えることを丁寧に教えたそうです。

彼の上司は、精神病院送りの鬼軍曹と呼ばれる女性でした。信じられますか?つい10年くらい前までは、いかにメンタルを踏み躙ろうが、営業成績をあげていれば『優秀社員』として会社をあげて持ち上げられていたんです。そういうことにタブーや意識が芽生え始めてダメだよねってコンセンサスができたのは、本当にここ最近の話です。短期間でも時代は変わるんだなって思いました。
当時出世頭と言われていた方々は、武勇伝のように語られ隠すこともなかった異性関係の不義理やパワハラで次々と断罪され、会社を後にしました。見事にいい人にキャラチェンして首を垂れて生き残った人もいます。当時この人が役員になるだろうなんて下世話な予想をしていましたが、1つも当たりませんでした。そういうもんです。

話はそれましたが、鬼軍曹と対峙したとき、彼を守ったものはやはり小説でした。もちろん病院送り寸前になったそうですが、理不尽なことも小説の世界の奇妙さと比べたら、些細なことと思えたそうです。いつもどこかに冷めている自分がいるらしく、この鬼軍曹の人生を描いた小説を読んでみたいなと思っていたと。
彼は営業成績を維持し、伸び悩む後輩をかばいながらなんとか異動まで持ち堪えました。珍しい生還者として、彼の名は社内に広がるわけです。(色々な意味ですごい時代だった)よく帰ってきた!じゃねーよ!ってのが今の感覚ですよね。組織って怖いですよ。それを構成する人も。だから面白いともいえますし、様々な小説が生まれるのでしょう。現実は小説より奇なり
彼は小説の多読を通じて、色々な心の機微に触れていました。語彙力も高くなれば、おのずと表現方法も豊かになります。 

ギャップもいいじゃないですか。
ただのヤリチンだと思って家について行ったら、読書家だったという。
実際、彼はこの効果で結婚しました。

N君の奥様いわく、
チャラチャラしていて結婚はないなと思っていた。でもブックオフに立ち寄ったとき、彼のテンションが上がって、少年みたいにキラキラしていた。それで結婚しようかなって気持ちになった。

冷静に考えると、因果関係がよくわかないのですが、いいんです。惚れたわけです。

さんざん遊びつくしたNくんは、女遊びをきっぱり辞め、今は愛娘を可愛がるお父さんになりました。

私のほうで調査すると、体力が落ちて口説く前に酔っ払って寝てしまう。が真相のようです。

酔い潰れて自分の部屋でおしっこをして爆睡。朝起きて、愛娘の仕業だと思い込み、困ったと妻に相談したそうです。

1歳半の娘がどうやって、この部屋まで移動して、この重たい扉を自分であけられるのよ?!あなたのでしょ!!!怒

マルジェラのタビブーツで許しをこい、
現在は、心を入れ替え、禁酒と向き合う日々とのこと。

ビジネス書もいいけど、小説や漫画など、人の心を扱う作品にはたくさん触れておくと、ああこんな人もいるよね、って寛容になれるといいます。  

就活の息抜きがてら、移動中に気になる本を読み進めてみる。気になるあの人におすすめの本を聞いてみる。なんなら貸してもらう。
なんなら一緒に本屋デートする。

なんと羨ましい!
色んな意味でおすすめです!

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