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昼月まひる
2021年8月4日 16:46
先が、長すぎる。 いや、「先」なんてものを考える余裕がないくらい、不確実なことが多すぎる。あまりにも謎だらけで、だからこそ神秘的で、これはもはや、宇宙や地底の全貌を解明するのに匹敵するくらいのことなんじゃないかと感じている。 妊娠が、継続していた。 最初にことが動いたのは、胚盤胞まで育った受精卵を子宮に戻してから1週間後の、いわゆる判定日。不妊治療7年目にして、初めての妊娠判定を受
2021年7月27日 19:45
今日、「胎嚢」という赤ちゃんを包む袋のようなものが子宮の中に見えたら、私たち夫婦の希望は、また少しだけ前進することになる。 着床を確認してから10日、運命の分かれ道になるかもしれない検診日。 この7年間で一度も経験できなかった、正確に言うと血液検査の数値的に「かすりはしたかも」のときが1回だけあったのだけれど、しっかり受精卵が子宮に着床したと「妊娠」の陽性判定がもらえたのは初めてのことだ
2021年7月23日 19:44
「12時40分から飛ぶらしいよ、ブルーインパルス」 ベランダの掃き出し窓をがらりと開け、洗濯ものを干していた私に夫が言った。「えー、どっち? どっちの方向?」「たぶん、あっちかな」「見えるかなぁ」 ふたりで空を見やる。濃い青色をした夏空は、雲ひとつないとはいかずに、ところどころにわた雲が浮かんでいた。 今日は東京オリンピックの開会式だ。夜8時からの式を前に、ブルーインパルス
2021年7月21日 19:19
腹の奥底のほうが、ズキリとした気がする。 嘘だ。たぶん、いつもの思い違い。妊娠の可能性などまったくない、なんでもない日にもときどき起こってきた違和感。妊活であろうが、不妊治療であろうが、自分の子宮を常に気にしてしまう生活をしたことがある人なら、たぶん経験者は多い。 不妊治療を始めて7年目となる今年、奇しくも大波乱の東京オリンピックが開かれようとしているその直前に、私は初めて着床に至った。