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「採用ブランディング」の目指すところは、どこだ?(前編)


こんにちは。道場(どうじょう)です。今日は採用ブランディングのお話です。

採用ブランディングのお話をするに当たり、以前に記事として書いた「採用活動4.0を解剖してみた」について、是非ご覧いただけると幸いです。

今回お話しする採用ブランディングの考え方は、この「採用活動4.0を解剖してみた」を体現するためにどんな考え方が必要なのか?の視点からお届けをしていければと思います。

「集める」ばかりにフォーカスする、採用ブランディングはやめよう。

まず、本題に入る前に、企業の採用活動のゴールを考えておく必要があります。みなさまの企業の採用活動のゴールはどこでしょうか?内定?入社?それとも、もっと先の入社後の定着や活躍でしょうか?

近年、「エンプロイーサクセス」という言葉が出てきたように、求職者の入社後の定着・活躍面にまで採用時から意識するような考え方も生まれてきました。

ただ、採用人事としての評価は「今期、何名採用できたか」という短期視点の人事評価に置かれがちで、その先の教育面や活躍・定着は、入社後の教育企画部署や現場任せといった形で分断されていることも多いように思います。

これまで、様々な企業の採用ブランディング戦略の設計から実行まで取り組んできましたが、結論としてはお伝えしたいのは、「採用ブランディングは、アウターとインナーはセット」ということです。

採用ブランディングという言葉自体も広く使われるようになっていますので、いろんな使われ方がされています。しかし、短期母集団のために「アウターの見せ方だけを良くするメッキ加工」を推奨するようなシーンを見かけることも多々ありました。

企業がヒトを採用する本来の目的を改めて考えてみます。当たり前ですが、「人を採用することで企業の業績向上に寄与する」ということのはず。したがって、求職者に定着してもらい、活躍してもらうことは、企業活動にとってごく当たり前のことであり、そちらが本質のはずです。

ですが、募集団主義に陥ってしまい、「数を集める」「まず引き付ける」という方法論や小手先の見え方にばかりフォーカスを当ててしまうケースが多く、それがインナーの企業実態と異なるイメージにまで飛躍的に表現されることが目立つようになりました。

そうなると、何が起こるか。目先の数は集まるかもしれません。ですが、事実齟齬によるミスマッチが増えます。採用選考における歩留まりが低下したり、早期離職が増えたり。人に与えた期待感は落差が大きいほど、ギャップに変わります。

僕も良く例え話としてお話をするのですが、遊園地のジェットコースターも落差が大きいほど怖いものですよね。それと同じく、実態の伴わない上げ過ぎた期待値は、実は採用成功という目的、入社後の定着・活躍の観点で見ても、意に反してマイナスに働くことがあるんですね。

自社の強みの原石を磨き、「残す」にこそフォーカスを。

採用活動は、単純化すると「集める」「残す」の2つだけだと思っています。ですが、採用活動においては、「集める」ばかりがフォーカスされ過ぎています。

コロナ以前はバブル期並みの売り手市場でした。そのため、まず数を集めることに採用予算もジャブジャブ投下していた頃でした。しかし、アフターコロナ・ウイズコロナと移り変わってきて、内部・外部の環境や人々の価値観としても、これまでと同じようなことをしていては、コストがかかるだけではなく、人材採用も苦労し続けてしまうことになるでしょう。

各企業の予算の見直しを迫られ、真っ先に削減をしたのが人材採用の募集広告でした。この動きは、リーマンショックの時と同じです。

では、いま、どこにフォーカスを当てるのかですが、改めていま一度、「残す」にフォーカスを当てるべきだと思います。母集団を「集める」という目的だけではなく、選考歩留まりを高めるための「残す」。そして、既存社員などの定着やエンゲージメント向上も含めたインナーに対して、リテンションとしての「残す」の発想で。

集めるためだけの求人広告、求人票を発信するだけでは、正直、もったいない。こんな時期だからこそ、改めて、自社の強みの原石を見つめ直し、価値観を言語化し、アウターだけではなくインナーにも情報を発信し続けていく。その透明性のある情報伝達や継続的なコミュニケーションが、先ほどの事実齟齬やギャップを無くし、人が想いでつながる組織ができ上がっていくんだと思います。

これだけSNSも普及した時代です。どんなに情報統制をしようとも、求職者や既存社員の方が情報を持てる時代になっています。また、個人が自ら発信することも容易にできる時代です。企業側は、そういったユーザーサイドを馬鹿にしたり、無視したりはできないわけで、しっかりと対等な関係のもとで信頼関係を築いていくスタンスが求められていると思います。

(少し前置きが長くなってしまったので、続きは次回、後編でお届けします。)

採用戦略立案、採用マーケティング設計支援、採用ブランディング、採用広報など、インナーの理解を通じた戦略上流を中心とした支援をHRパートナーとして活動を行なっています。経営と近く、事業理解を必要とするサイズの企業の伴走型サポートがメインです。

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