【耳鼻科医考察】土曜プレミアム映画『キングコング:髑髏島の巨神』の最後の戦闘シーンでスカル・クローラーの舌を引き抜いた時ついてきたものは何か考察してみた。

迫力ある戦闘シーンでしたね。

そんな戦闘の終盤、キングコングがウィーバーを握りながら、その腕をスカル・クローラーに飲み込まれた後、舌ごと引っこ抜いた時に何かついてきたので、それが何なのか、あのあたりの専門である耳鼻科医、法月ロイが考察してみます。

YouTubeもやってるので是非のぞいてみて下さい。

サークルもあるので、興味ある方は覗いてみてください。

宣伝でした。

そもそもスカル・クローラーがどんな種類の生物なのかはよくわかりませんが、獣医師ではなく、ヒト、ホモサピエンスの医師なので人間の解剖から考えてみます。

爬虫類か、両生類辺りなんですかね? そのあたりの頭頸部の解剖に詳しい方、もし間違ってたら教えてください。 合ってても教えてください(?)。

では参りましょう。

舌を引っ張ってついてくるなら絶対ついてくるものは?

 基本的に舌に引っ付いている構造として、まずは舌骨というそもそも舌の生えている元の骨があります。
要は大胸筋と胸骨のような関係です。
この舌骨と舌の結びつきはかなり強いものなので、舌が途中で途切れない限りついてくるものと考えられます。

その他の周りの組織

それ以外の部位と直接ついているのは、口腔底といって、舌の裏側で頸部と口腔内を隔てる構造です。
これも直接表面でくっついているので、ついてきてもおかしくはないですが、口腔底自体が舌の上皮ほど強くないのですべてがついてくるとは思えません。
おそらく、途中でちぎれて一部ついてきたレベルでしょう。
また、その下に舌下腺や顎下腺など、見た目がまさに臓器っぽいものがありますが、口腔底は粘膜上皮の下も疎な組織なのでついてくることは考えづらいです。
舌下腺や顎下腺などは唾液を出す組織なので、口腔内に管がつながっていますが、これもそんなに強い組織ではありません。
おそらく、粘膜・粘膜下組織がまずちぎれ、この唾液を運ぶ管だけになり、そうなると管だけで舌下腺や顎下腺を引っこ抜くだけの力に耐えられずちぎれるものと思われます。

以上より直接くっついてくる組織としては、舌骨・粘膜と粘膜下組織の一部・ワンチャン舌下腺や顎下腺までと思われます。
おそらく舌と出口の間の口腔底粘膜が避けると思いますが。
舌下腺や顎下腺についてはその先はこれも疎な組織でしか周りとくっついていないので、ついてきても栄養血管の一部くらいなものでしょう。
これの大本はもちろんどんな血管でもそうですが、どんどん太くなっていくのでひっこ抜くのは至難の業でしょう。

しかし、骨だけには見えなかった

すると、その先でくっついてくるものがあるとすると、舌骨の先のものですね。
舌骨には舌だけでなく、多くの筋肉がついています。
肩甲舌骨筋。
顎二腹筋。
顎舌骨筋。
胸骨舌骨筋。
甲状舌骨筋。
挙げだすとキリがないですね。
ただ、これらの先についているのは名前の通り肩甲骨・顎骨・胸骨・甲状軟骨・側頭骨・甲状軟骨からその先は輪状軟骨・気管となっていきます。

このような構造物がついてきたようには見えませんでしたし、これらが抜けた場合、明らかに骨格・体系が変わりますが、そのようには見えなかったので、さすがに抜けていないものと考えられます。

そもそも、これらのものは舌を抜いてついてくるほどもろい構造でもないですしね。

しかし、それではあのシーンのように長くついてくるようには思えません。

それでは何がついてきていたのか

おそらく、上に挙げた舌骨についている筋たちではないかと思っています。

舌骨付着部は、どんな筋肉でもそうですが、腱であり、筋より強い構造となっているので、筋腹といって、筋の途中で切れるはずです。

上記の中で、特に尾側に伸びる筋は距離が長く、あのシーンくらい伸びてきてもよいかなという印象です。

ついてきた(と予想される)ものたち、実は日常生活で役立ってます

ちなみに何気なくさらっと名前を挙げた舌骨についている筋たちは、飲み込む時や、声の調節に大事な筋肉たちです。
高い声・低い声をきれいに出すトレーニングをして鍛えられる筋肉も入っていますし、嚥下のリハ・トレーニングをして鍛えられる筋肉も入っています。

特に嚥下に関しては、舌骨含めて、もう少し尾側の軟骨を筋肉が引き上げることによって誤嚥がおきづらくなっているので、この辺りがダメになってしまっている方は我々耳鼻科医が手術でこの辺りの構造を吊り上げるという手段もあるわけですが、この辺りの話をし始めると、無限に話せるのでまたの機会に記事か配信にします。

まとめ

以下、私の考察のまとめです。 投げ銭感覚でお願いします。 と言いながら、追加考察もつけておきました。

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