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093_『Citrus』 / Serph

093_『Citrus』 / Serph

「耽溺する」とはこのことで、渋谷のタワーレコードの試聴機で紹介されていたSerphの『Heartstrings』の一曲目 "Luck" の音がヘッドフォンから鳴り始めたその瞬間から、その音の虜になった。

過去のアルバムを遡り、そして新譜が出る度に貪るように聴いていて、振り返ると、最初の出会いからはもう10年弱。

音楽そのものは決して色褪せることはないのに、人は、音楽を繰り返し聴く度に、その彩り

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088_『Love is Over』 / chelmico

088_『Love is Over』 / chelmico

原則、今月はまだ在宅勤務。
ただ、先日、野暮用で数ヶ月ぶりに出社。

片道45分。特筆すべきような外出といった外出ではないものの、外出するということ自体が、これまでより少しだけ、特別に感じられた気がする。

滞在は、時には停滞。
思考はそこにあるものの、前進せず。

停滞から何も生まれるはずもなく、Stay homeという言葉にすっかり心身を委ねてしまっていて、唯いたずらに生きていただけかもしれな

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083_『Motion Sickness』 / Phoebe Bridgers

083_『Motion Sickness』 / Phoebe Bridgers

6/19の新譜が楽しみでもある Phoebe Bridgers の曲の中で、いまでも頭の中を浮遊するかのように過ぎるのが『Motion Sickness』という曲。

直訳すると「乗り物酔い」。

ただ、曲中では『I have emotional motion sickness』と歌われていて、その語感のセンスもさながら、それにより生成された「Emotional motion sickness」と

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080_『Color Theory』 / Soccer Mommy

080_『Color Theory』 / Soccer Mommy

テネシー/ナッシュビル生まれのシンガーソングライター Soccer Mommy。

2月末にリリースされたアルバム『Color Theory』が、今になって、響く。音数の少なさが、曲の力強さを際立たせていて、シンプルなメロディとリフが、いつまでも頭の中をリフレインする。名盤として、残るであろう作品。

特に3曲目の『royal screw up』。歌詞が不思議。まるで合わせ鏡の間にたってしまったか

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066_MUSIC UNITES AGAINST COVID-19

066_MUSIC UNITES AGAINST COVID-19

今でも明瞭に、脳裏に焼き付いているライブの風景というものがあって、自分にとっては、それは、2003年2月8日の新宿リキッドルーム。

まだリキッドルームが新宿にあった頃。

clammbon / mono / toe の3バンド。

初めて観たtoeのライブは、インストなのに、どこまでもメロディ/演奏が、唄い/叫んでいて、その時の自分にとっては、衝撃という言葉しかなかった。

17年経った今でも、

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033_『Charlie』 / Mallrat

033_『Charlie』 / Mallrat

Tame Impalaがパース出身なら、こちらはブリズベン出身のオーストラリア人アーティスト、Mallrat。

とてもポップだけど、曲全体に流れる穏やかなトーンは、どことなくオーストラリアだなと思わせる。

それにしても、良い声をしている。

034_『DANCE MONKEY』 / Tones And I

034_『DANCE MONKEY』 / Tones And I

オーストラリア音楽のおすすめ。最後は2019年を彩ったこのアーティスト。2019年のオーストラリア音楽と言えば、もう、これしかない。

Tones And I の一度聴いたら耳から離れない歌声。この『DANCE MONKEY』はその歌唱の魅力が一層格別に発揮されている一曲。アーティストというより「パフォーマー」という肩書きが似合う。昨今のアーティストはYouTubeのような広がりを体感しているのか

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035_TAWINGS / 1st Album Release Party

035_TAWINGS / 1st Album Release Party

TAWINGS 1st Album Release Party ''Chocotto Love'' @Shibuya WWW

ゲストアクトは、MIHO HATORI (NEW OPTIMISM | Ex Cibo Matto)。そう、あのCibo Mattoの!

会場にはBuffalo Daughterのシュガー吉永さんと大野由美子さんもいたりと、個人的にはあらゆる面で贅沢の極み。

ライブは

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038_『Sugar Water』 / Cibo Matto

038_『Sugar Water』 / Cibo Matto

技術の進歩で映像表現の幅が広がったのは間違いないけれど、自分にとって、MVに関して言えば、やっぱりミシェル・ゴンドリーのものが最高。

先日のTawingsのライブのゲストアクトに出た、MIHO HATORIがやっていたCibo Mattoの『Sugar Water』も大好きなMV。

インタビューを読んでみると、ミシェル・ゴンドリーの方から「MV撮りたい!」って話をしたそうな。90年代のCibo

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051_カネコアヤノ LIVE

051_カネコアヤノ LIVE

カネコアヤノはバンドセットで観てこそ。この屈強な大人達に囲まれた少女のあどけなさの中に迸る光。

3/21までアーカイブ公開中。

そして「光の方へ」はいつ聴いても眩い。人生には悩むこともあれば路頭に迷うこともある。それでも、できるだけ、光の方へ。光の方へ。

053_『30』 / YeYe

053_『30』 / YeYe

YeYeのニューアルバム『30』。前作より更に上質感が極まった印象。しっとりとした曲調でありつつも、アレンジとバックバンドの演奏にグルーブ感もあり、アーティストらしさが凝縮された36分。

ソロのアーティストが時にはバンドセット、時にはアコースティックで演奏をするスタイルは自由で広がりもあり、時代に似合っている。そのようなアーティストが最近は増えていて、聴く側にも広がりを生み出していて良いなと思う

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056_Radiohead / 2017 Best Kept Secret Live

056_Radiohead / 2017 Best Kept Secret Live

不要不急の外出の定義が個々に解釈を委ねられている時点で、もう事態はアンコントローラブルになっていることは明白で、一方でマンションのガラス越しに外を眺めれば、駅前に行き交う大勢の人々がいて、個々の意思が全体の確固たる意思に連なるのはとてもむつかしいのだなと思う。

こういう週末は映画だったり、音楽だったり、本を読むにはきっと、うってつけで、その週末の雰囲気を作るには、やはり音楽が大事。

Radio

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058_『ニホンゴ』 / ASA-CHANG&巡礼

058_『ニホンゴ』 / ASA-CHANG&巡礼

これは文字通り、事件。

ASA-CHANG&巡礼のニューアルバム『事件』が発売。

個人的に90年代の日本における最高峰と信じている楽曲『花』のような雰囲気。この唯一無二の世界観。

あらゆる時代に通じる音楽性。聴け!と言いたい。

060_『The New Abnormal』 / The Strokes

060_『The New Abnormal』 / The Strokes

今年のフジロックのヘッドライナーに決まった、The Strokes。これは幸運とも呼べるタイミングではないかと思うくらい、この新譜が良いです。

今作について言えば、良い意味で力が抜けていて、最小限の労力で最大限の結果を出したという感じ。

The Strokesの良さが純度高く作品として形になっているというか、

相変わらずの艶のあるボーカルはもちろん、音数が少ないのが良い。このシンプルなのに

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