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Episode 422 上と下とは違うのです。

私には3つ年上の姉がいて、私が幼い頃はいつも姉の後をついて歩いていたようです。
ま、それも姉が小学校に上がるまでの話…1975年(昭和50年)頃の幼児教育体制と言えば、保育園に行くか幼稚園に行くかの2通りしかなくて、公団型団地暮らしのサラリーマンとその妻…という典型的な核家族だったウチの場合、「共稼ぎではない」という理由で保育園という選択肢は用意されていませんでした。
実際のところは、母親は家で婦人服製造の請負い仕事をしていたんですけどね。

何しろ「第二次ベビーブーム」なんて言葉がある時代の話です、幼稚園は受付開始日に行列を作って申し込みに行かないと近隣の園には入れないような異様な雰囲気があって、あふれる子ども達の人数に体制が整わない状況…もちろん3年保育なんてありえない、爆発的に人口が増加する東京通勤圏内にある海なし県の新興住宅地なんて、そんな感じだったのだそうです。

その頃の私にとって幼稚園の制服を着た姉は「すごく大きなお姉さん」だったワケで、「早く幼稚園に入りたがった」と、昔話で母が言うのです…覚えてませんけどね。
それだと言うのに、私が幼稚園に入る前に、姉は赤いランドセルを背負って小学校に行くようになるのです。
私はまだ幼稚園にも上がってないのに…です。
それはそうなんですけどね…姉は3つ上で、幼稚園は2年保育だったのですから。

「学年」という枠組みが緩くなるのは大学生になってからだった気がします。
私は浪人が許されなかったので、共通一次試験(だったんですよ、私の年まで)の結果を見て「安パイ」の学校を受けて合格…なのですが、大学って必ずしも現役生だけで構成されているワケではなくて、イロイロな理由で浪人・留年をされている方がいてですね…。
この辺りからですよね…次第に「学年以外の共通の幅」が広がってくるのは。
私の場合、大学1年生の時に4年生の彼女ができまして、その辺を実感したのです。
その彼女が姉と同い年だった…と気がついたのは、別れてからなんですけどね。

話がそれてしまいました…。
私は高校生ぐらいの頃まで、歳上の人が好きだったのです。
それは「恋愛対象として」も、あるのですが…男女問わずでして、それはなぜかと問えば、知的に先に進んでいる方が多かったから…と言うのが一番の理由だったのだろうと思うのです。

幼稚園や保育園も含めて高校生ぐらいの頃までは、身体的にも精神的にも人間の発達著しい時期だというのは間違いありません。
個人差はあるにしても、学年として括られる枠組みを飛び越えて上の学年の人に匹敵するような「何か」を持つ子は学年にひとりふたりくらいの「天才」で、私を含みその他大勢のみんなは学年内の標準枠の中で収まるワケです。
私の場合は、出来なくて下にハミ出すことも多々あったのですが…。

先日のブログ記事で私の認知特性は三次元映像型で、脳内の記憶ライブラリは白素材の映像だと書きました。
そしてそれは、今に始まったことではなく、私が幼かったころから脈々と受け継いていた「私のやり方」なのだということも。

この「私のやり方」という枠組みこそが認知特性の歪さという欠点であって、自分の記憶から引っ張り出した情報に適切な言葉を付けて発信することが難しい、自分が理解できるようにするために、相手から受け取った感情を含む適切な言葉から感情を抜き取り、指示としての言語に変換した上で白素材の映像にしてしまうということも説明した通りなのです。

つまりね、感情を含まない指示としての言語の理解が私が思うところの「言語理解」の全てであって、その指示ができる人は、私と同レベルでは困る…ということです。

私は姉が大好きでした。
それは、子どもの発達段階として、常に3年先を行く「追い付けない存在」だったこととの関係性を否定できません。

私には同性の兄弟はいませんし、妹もいません。
実際にいたらどうだったのかは分かりません。
ただ、ひとつ下の従弟と出会う度にイライラしていたことを思えば、自分に適切な指示が出せない年下を見縊っていたのは…きっと間違いないのだろうと思います。

これは私の経験に基づく感覚の問題で、一般論ではありません。
私がASDを抱える人で兄弟仲の話を聞いて思うのは、兄姉と弟妹では、抱く感情が全く逆になるのではないか…ということ。
それは定型発達でも似たような傾向があるのだ…と言われたとしても、相手の立場に立つという「サリーアン課題」に代表される心の理論の獲得に合わせて解消されていくのだと思います。

なぜ、私のようなASDの人は心の理論の獲得が難しいのか?
ここ数回でお話ししているように、特定の認知に偏ることで起こる弊害のひとつ…というのは、言い過ぎだと私には思えないのです。

旧ブログ アーカイブ 2020/4/8

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