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Episode 82 白紙が欲しかったのです。

高校生の時、誰もがその先の進路についてイロイロと考えるわけですが、当時の私には就職とか進学しないとかいう選択は全くありませんでした。
埼玉県南部の進学校と呼ばれる学校の生徒だった私は、周りと同じように大学に進学するという選択肢しか見ていなかったのです。

埼玉県南部と言うと都内中心部は通学圏内で、自宅から通学できる大学は星の数ほどあるのです。
でも、これがどうしても嫌でした。
地元を離れたかったのです。

小中高と毎年環境がリセットされながらも、過去の私を知る人は必ず身の回りに数人いました。
親の転勤で全く知らない土地に行っても、親や姉は必ず身の回りにいて、キレイに「ゼロスタート」出来る…というわけにはいかなかったのです。
親の扶養に入っている以上、それは仕方のないことでした。
人と環境をリセットしたい…それを実現するチャンスが大学進学を理由にした一人暮らしでした。

ひとり暮らしをするには都内の学校を蹴って、地方に行くしかありません。
でも、ありとあらゆる大学が揃う都内や首都圏近郊ではない地方の学校を選ぶだけの説得力がありません。
たどり着いた答えは「都内の私立よりも地方の国立の方が安く上がる」ってこじ付けでした。
バブル真っただ中のあの当時、国立大学の年間の学費は339,600円、学生寮に入れば都内の私立よりも安く上がる…。
都内の国立は、私の学力では無理…。

こうして高校卒業して、某県の大学に進学することになるわけです。
そして念願の完全ゼロスタートを獲得するに至ります。

今になって思えば、この進学先決定の根の部分にもASDに由来する私の思考が大きな影響を与えていたと感じます。
進学先決定の最大の理由は、完全なる白紙の獲得だったのです。
明らかに完璧主義が背景に見えているのです。

もう80歳になる私の両親は健在ですが、このことを話したことはありません。
話しても理解してもらえないと思いますしね。

旧ブログ アーカイブ 2018/12/5

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