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〜淡い恋〜
クリスマスになると思い出すことがある。
あたしは元々体が弱い子だった。風邪はしょっちゅうひくし華奢だし、風邪でも拗らせたら大変で、喘息もあるし肺炎にもなりやすい。すぐ入院ばかりしていたのだ。
あれは中2の冬、12月の初めのころだった。腹痛と熱で入院した。当時付き合っていたのは、ウチらの学年でいわゆる頭(1番悪いやつ)はってたやつだった。その彼、セイヤとは中1から付き合っていた。
セイヤが、あたしの入院中に他の中学の頭はってたヤンキー女のアカリと付き合い始めて、あたしの友達や、つるんでるやつとかにも紹介していると、情報が入ってきた。
その女、アカリが皮肉にも可愛いものだから余計に腹立つし、何よりプライドの高いあたしは、周りの目の方が気になるのだ。
哀れな女
そんなレッテルを貼られることそれが、とてつもなく不愉快で、何より、あたしと誠也のカップルは不良の中でも有名だったのに、それを知っててよくも人の男に手を出したなと、病院のベッドの上で殺意しか芽生えてなかった。
もちろん、その夜に点滴を自ら抜き病院を抜け出したのは言うまでもない。
病院を抜け出したら、友達のダイスケがバイクで待っていてくれた、なんて素敵な友達だとも思ったが、ダイスケ以外は、セイヤとアカリの中学の女たちとたむろしていて、あたしを簡単に裏切った。
ダイスケもまた、凄く悪かったが家庭の事情で土方の仕事をしていてまともに、中学にも顔出さずに、たまに溜まり場に顔出すくらいでセイヤ達とはあまりつるまず一匹狼だったのだ。
「見て傷つくならやめとけよ、ただでさえ、体調良くねぇのによ」ダイスケのケツに乗った時にそう呟かれたが「傷つかないって」そう笑い返すと、ダイスケは病院のパジャマのままのあたしに自分のダウンをかけてくれた。
「なら行くぞ」その言葉と共にもの凄いスピードで風を切るダイスケに、なんだか怒りを感じたのは気のせいだったのであろうか。きっと気のせいではなかったと思う。
*
次回へつづく→
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