【星のアダム 第4話 -人類最後のアダム-】
「ほー!こんな可愛らしい機械もあるんやねえ!」
「お褒めに預かり誠に恐縮です。」
「かー!おまけに礼儀もええとか完璧やん!あんちゃんもそう思うやろ?」
僕はその光景をただ黙って見ていることしかできなかった。
当然だ。
いくら記憶がなくても、訛った言葉使いで話す一つ目の軟体生物と機械が楽しく会話している光景は異様だと分かる。
というかこの生き物は何なんだ。
肌は人間と変わらない色合いだけど、質感はまるでタコのようにプルプルしている。
明らかに人間とは思えない風貌だが、顔以外は人間と同じ体つきをしている。
人間ではないのなら他の生物ということになるが、こんな生き物は見たことがない。
いや、正確には記憶がないから見たことはないだろうけど、こんな生き物が地球上にいないことは分かる。
そう言った一般的な知識は記憶に残っているようだ。
そして、ちょっと間抜けな質問をしてしまう。
「えっと、何ですかあなたは?もしかして…宇宙人?」
聞かれた宇宙人(?)はきょとんとした顔をする。
「宇宙人?あーなるほど地球の生きもんからしたらわいは確かに宇宙人かな?でもそんなこと言ったらあんちゃんやて、わいから見たら宇宙人やで?」
なるほど確かにそうだ。
でもまずはこの質問をしないと何も始まらないと思って、自分でも間抜けな質問だと思いつつも口に出したのだ。
「そうさなあ…わいは地球の発音でいうなら『オクトパール』ゆう星の知的生命体やから、オクトパール人と言えば話が早いかな?」
なおさらタコっぽく思えてきたのは気のせいだろうか。
「で、わいの個人名称は…地球の発音だとどうなるんかいな?えーと…多分『ヒトデラー』だと思うわ!よろしゅうあんちゃん。」
いや、今度はヒトデかよ!
「そんで、あんちゃんは何て呼んだらええか?」
「僕の名前は…」
一瞬ためらう。
そもそも記憶喪失の僕は名前も知らない。
だから偽名でも話してしまおうかと一瞬悩んでしまったのだ。
しかし、思わぬ方向から助け舟が来た。
「彼は『アダム』と言います。」
AIのアペカが機転を利かせてくれたのだろう。
そう思っているとアペカは思わぬ言葉を口にした。
「彼はこの星地球で生き残った最後の人類です。いわばこの地球という星の代表と思ってお話ししていただければ幸いかと。」
【次回はこちら↓】
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