選挙はお金がかかる。
参院選の選挙期間中、五反田駅で、山本太郎さんの選挙演説を聴いた。
れいわ新撰組のSNSアカウントなどでたびたびアップされているが、生で聴くのは初めてだった。政界進出から10年、ほぼ最初の頃から筋を通し続けてきた凄みを感じた。(このnoteでも書いたけれど、好き嫌いとは関係なく、乙武さんとの覚悟の違いだろうと思っている)
さて、その演説の中で、山本さんは寄付のお願いをした。「選挙はお金がかかる。入場料だけで7,000万円かかってるんです」と訴えていた。
以下の記事によると「売名目的での候補者乱立を防ぐため」ということで、選挙区は300万円、比例代表は600万円が必要らしい。
これを当たり前だと思うか、異常だと思うか。
僕はずっと「ある程度仕方のないことでは?」と思ってきたが、最近になって「選挙にお金がかかり過ぎるのは、有権者にとってもマイナスでは?」と思うようになった。「政治を変えたい、だけどお金もネットワークもない」という人の立候補が叶わないからだ。
低所得者だって、本来であれば立候補して構わないはずだ。低所得者は、低所得者の声を代弁する力を持っているかもしれない。木村拓哉さん主演のテレビドラマ「CHANGE」は、木村拓哉さん演じる主人公が当選1期目で総理大臣になるという設定だった。その中でランチ代について問われたときに「え、ランチが1,000円なんてあり得ないですよ。ふつうの人のランチ代なんて、せいぜい500〜600円くらいだと思います」みたいなセリフがあったように思う。(うろ覚えです。ドラマではこのセリフ後に、他政治家の失笑を買っていました)
こういうのが、実感を伴う庶民感覚だと思うのだ。
庶民感覚を持った政治家を国政に送り出すにはどうしたら良いだろう。
そんな課題意識を持って、政治学者の吉田徹さんの著書『くじ引き民主主義』も読んでみる。多くの人の「当たり前」である民主主義って、そもそもなんだろう。僕らの民主主義とは、民主主義の一形態である「代表制民主主義」であり、たかだが200年くらいの中で市民権を得た方法であるそうだ。代表制民主主義はさまざまな理由から制度に欠陥が生じ始めており、「新しい民主主義の形が求められているのでは?」と吉田さんは提起している。(それが「くじ引き民主主義」だ)
そんなこんな、参院選後は色々な問題意識を抱えるようになった。
知り合いの20代の方が「久しぶりに選挙に行った」「実は初めて選挙に行きました」なんてことをSNSで発信していて嬉しくなる。投票率も、ほんの少しだけど上がった。
そういう小さな動きを、大切にしたい。
終わりじゃない、これからが始まりなのだから!
──
上述した吉田徹さんの著書、新書でとても分かりやすいです。
「くじ引き民主主義」というアイデアは奇抜に思えるかもしれませんが、実は国内外で注目されている手法です。
民主主義そのものに関する歴史や現在の課題などにも言及されている本でもあるので、参院選をきっかけに政治について関心を持った方は、ぜひ手に取ってみてください。
*Podcast*
吉田徹『くじ引き民主主義』の感想を、読書ラジオ「本屋になれなかった僕が」で配信しています。お時間あれば聴いてみてください。
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