2023年に読んだ書籍3選
毎年、その年に読んで印象に残った「書籍10選」をまとめています。
2022年に続き、今年も「書籍よりも映画」にフォーカスした1年になりました。「毎日映画を鑑賞する」というノルマを課し、映画を観る体力は高まった自覚はありますが、残念ながら読書体力は弱る一方でした。
なかなか読書ができなかったことで、今年は3冊の本の紹介に留めます。
もちろん10冊以上は読んでいるのですが、「100冊読んだうちの10冊」と「15冊読んだうちの10冊」とでは重みが違うもの。来年以降の戒めの気持ちも込めつつ、印象に残った3冊を紹介します。
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村上春樹『街と、その不確かな壁』
2017年発売『騎士団長殺し』から6年ぶり、村上春樹さんの長編小説です。来年1月に75歳になる村上春樹さん、もはや新作が出版されるだけでありがたいと感じる存在です。
実際、小説はどうだったか……というと素晴らしかったです。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を下敷きにしてリライトされた世界、そこだけ切り取ると「焼き直し」のように思われるかもしれませんが、魅力的な登場人物や、新しいメタファーの提示の仕方、そして冒頭のラブレターを読んでいるかのような若い文章も意外で、新鮮な気持ちで読むことができました。
実はまだ一度しか読めていないので、年末年始に再読予定です。没頭する読書を楽しみたい。
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チェ・スンボム『私は男でフェミニストです』
2023年は「フェミニズムとは何か?」について改めて考えました。
本作のタイトルにもある通り、男性がフェミニズムについて語る一冊です。フェミニズムを名乗る一部の女性たちの攻撃的な態度(誰とはいいませんが)に、反射的に拒否反応を示す方も少なくないでしょう。ですが、フェミニズムとは本来、フェアネスを志向するもの。少し前のティール組織や、リパブリックの思想にも通ずるような寛大さも併せ持ちます。
まだ僕は、自分のことをフェミニストだと宣言するのは憚られます。もっとフェミニズムについて理解を深め、堂々とリベラルを語れるようになりたいです。
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小川哲『地図と拳』
直木賞受賞作ということでずっと気になっていたのですが、ようやく読むことができました。初夏には村上春樹、晩秋に小川哲と、それなりに没頭できる読書を経験できたのは(数は少ないものの)良かったなと思います。
『地図と拳』は、日本、中国、ロシアを巻き込む壮大な戦争絵図を描いたフィクションです。その中には目を覆いたくなるような残酷な描写もありますが、小説だからこそ表現できる「絵」なんだなと感じます。
小説って、やはりすごい。
映画をずっと観てきた1年でしたが、改めて小説の面白さを感じることができた一冊です。
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今年は読む本が少なかったこともあり、ピックアップした書籍が全て男性作家のものになってしまいました。
大いに反省して、来年の読書に向き合います。
まとめ(紹介した3作品)
・村上春樹『街と、その不確かな壁』
・チェ・スンボム『私は男でフェミニストです』
・小川哲『地図と拳』
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昨年までのエントリは以下をご参照ください。
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余談ですが、このnoteで連続1,000日更新となりました。
「あんまり本を読むことができなかった」という反省が節目となるのも、ある意味で自分らしいことだと感じています。
2024年は、少しでも編集者として成長できるよう、少なくとも年間100冊の書籍を読み通そうと思います。時間は有限、1日たりとも無駄にしないぞー!
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