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著…スリンカチュ  訳…北川玲『こびとの住む街2』

 クスッと笑えてちょっぴり怖い。

 そんな小人たちの世界を垣間見れる写真集。


 ↑前作のレビューはこちら。


 遠目から見るとごく普通の風景。

 けれど、ぐーっと近づいてみると…、そこには小人たちの人間ドラマが!

 遠距離から撮った写真と、近くに寄って撮った写真の両方が載っているので、見比べるのが楽しいです。

 何の変哲も無いように見える場所に、実はこっそりと存在する小人たち。

 小人たちは、観光を楽しんだり、蜂と格闘したり、憂鬱な気分に浸ったり、LEGOブロックを持ち上げてみたりと、思い思いに過ごしています。

 もしこの世に神様がいるなら、きっと神様は普段こんな風に世界を眺めつつ、時々は特定の人間や生き物や植物に注目して、そこにあるドラマを観察して楽しんでいるのかもしれませんね。

 神様の視点から見れば、きっと全てのものが小人のようにちっぽけなものでしょうし…。

 さて、この写真集、ブラックユーモアがとびきり効いています。

 例えば「すばらしき世界」という作品。

 一見、綺麗な桜の木の写真です。

 けれど、近くに寄って見てみると、なんとそこには、桜の木で首を吊っている小人が写っているではありませんか…!

 これに「すばらしき世界」とタイトルを付けるとは…。

 なかなかにパンチが効いていますよね。

 ゾゾッとします。

 自殺をすることによって苦しみから解き放たれたのを「すばらしき世界」と表現しているのでしょうか?

 それとも、桜の木のように美しき世界がすぐそばにあるのに自殺してしまった悲劇を表現しているのでしょうか?

 いろんな解釈が出来そうですね…。

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