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著…ジェイムズ・ランフォード 訳…千葉茂樹『グーテンベルクのふしぎな機械』

 「いったい、なんだと思う?」とクイズ形式で答えを想像しながら、初期の印刷機の成り立ちについて学べる絵本。

 紙、革、金箔、インクといった物を作る方法も紹介されているので、「紙って昔はそうやって作っていたの!?」と驚かされます。

 色に関しては、赤色はアカネの根から、青色はラピスラズリから、黄色はサフランのおしべから作っていたそうで、試行錯誤の努力が伝わります。

 きっと、手書きの写本が主流だった頃は大量生産が出来ない分、本は高価でなかなか庶民には手に入れにくかったと思います。

 しかし、印刷機が発明されたことで沢山の本を刷れるようになりました。

 そのおかげで現代人が気軽に読書を楽しめるようになったことを思うと、先人たちに対して感謝の念が尽きません。

 P26には、グーテンベルクが作ったという聖書の写真が載っていて、その美しさに驚かされます。
 字も絵もくっきりしていて鮮やか!
 どうやって作ったのか興味を惹かれます。

 今、出版業界は紙から電子への過渡期にあり、わたしは紙派なので寂しさを感じているのですが、この本の訳者があとがきに書いている、

 「もしグーテンベルクがいまの時代にあらわれて、電子書籍の端末を手にしたらどう思うんだろう? グーテンベルクなら、きっと、自分が発明した技術がすたれることを嘆くどころか、目を輝かせて新しい〝マシーン〟をおもしろがるにちがいありません。そして、IT時代の現代人も思いつかないような、奇抜で斬新なアイディアをつぎつぎと生みだすことでしょう」
(P33から引用)

 という文を読んで、こういうポジティブな考え方もあるんだ! と何だか嬉しくなりました。

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