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著…横溝正史『金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件』
小説『本陣殺人事件』『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』を収録している本。
『本陣殺人事件』は、たったそれだけの理由で人を殺せるの…!? と犯人の犯行動機に驚かされる作品です。
そもそも殺人なんてものは、どんなケースもたいてい身勝手なもの。
しかし、それにしたってこの作品に登場する被害者には何ら落ち度は無く…、いや、犯人からすれば被害者には十分殺されるに足る落ち度があったのでしょうが、こんな理由で人が殺されるというのなら世の中の人口のほとんどは減ってしまいます!
この作品が書かれた当時はその理由が現代よりもずっと重要視されていたのかもしれませんが…、なんとも後味の悪い作品。
『車井戸はなぜ軋る』は、事件概要や犯行動機が手紙や新聞記事によって語られ、金田一耕助はほとんど登場しないというユニークな構成。
信じるべき人を信じずに、信じてはいけない人を信じたせいで起きる殺人事件に胸が痛くなる作品です。
信じたいけれどもつい疑ってしまう人の心の弱さが描かれています。
『黒猫亭事件』は、金田一耕助が自分のことを小説に書いている人物(横溝正史先生!?)のもとを訪れるところから始まる作品。
彼は小説家に「もう少し、ぼくという人間を、好男子に書いて貰いたかったですな」と笑いかけます。
なんだか不思議!
この小説家が横溝正史先生本人であるかどうかは明らかにされないのですが、まるで本当にキャラクターが創造者の目の前にやって来たかのよう。
この作品で起きる事件においても猫が殺されてしまうため、猫好きにとっては嫌な作品ですが…、のほほんとした雰囲気の冒頭は好きです。
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