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作…ベルヌ 訳…南本 史『海底二万マイル』

 突然、海に「なにかとてつもなく大きいもの」が現れて、人々は騒然とします。

 クジラよりも大きく、信じられないほどのスピードで動くそれは、全くもって正体不明。

 主人公・アロナックス教授は、「海の深いところには未知の生き物がいる。あれは何かのはずみで海面まで出てきた、巨大なクジラの一種ではないか」と考えました。

 しかし、実はその正体は…。

 …という冒険小説。


 これは子ども向けに訳された本なので、ひらがなが多く、また、原作は長いのですがかなり端折られています。

 そこで好みが分かれてしまうと思いますが、わたしはこの児童書版が好きです。

 なぜなら、普段は読書をする習慣のない方にも読み始めやすいと思いますから。

 それにしても…、読めば読むほど、1869年に書かれたとは思えないストーリーです!

 当時は存在していない科学技術が幾つも登場します。

 そのことに驚いているうちに、魅力的な登場人物が出て来ます。

 それはネモ艦長!

 弱い者の味方でありながら、復讐にも燃えている男。

 一見完璧そうに見えながらも、心のうちには激情を秘めています。

 彼の美学や苦しみが明らかになるうちに、いつの間にか読者は彼に好感を抱きます。

 そして、まるで自分もこの物語の一員になって、彼と一緒に海底を進み、共に苦難を分かち合っているかのような気分に浸れるのです。

 これこそ読書体験の醍醐味ですね。



 〈こういう方におすすめ〉
 冒険物語を読んでワクワクしたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間〜1時間半くらい。

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