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著…中野円佳『なぜ共働きも専業もしんどいのか 主婦がいないと回らない構造』

 兼業主婦も専業主婦も罪悪感・後ろめたさ・苦悩を抱えている…という現状をまとめた本。

 兼業主婦も専業主婦も苦労しているポイントはそれぞれ異なります。

 しかし、

 ●母親役
 ●妻役
 ●メイド役
 ●父親役

 も兼務することがあり、状況によっては介護や看護も担うという過酷さは共通。

 専業主婦も兼業主婦も、周りの人たちから羨ましがられたり、嫌味を言われたり、子どもの預け先がなかなか見つからなかったり、家計が苦しかったり…。

 大変ですよね…。

 それに、日本の女性たちは「完璧」を求められ過ぎ!

 子育て+家事だけでも大変なのに、それらに加えて仕事、更に夫の家族の身のまわりの世話まで焼いている人たちもいます。

 妻が必死に子どものオムツを替えている間、ソファでスマホゲームに興じながら「メシ早くしろよ」とのたまう夫もいたり。

 子育て+家事+仕事+夫の身のまわりの世話に加えて、実の親・義理の親の介護までやっている人たちも世の中にはいて、そのストレスは想像を絶します…。

 しかし、そうやって頑張り過ぎている人たちの努力が「母のつとめ」「妻のつとめ」「嫁のつとめ」で片付けられてしまう…、残念ながらまだまだそんな世の中なんですよね…。

 女性たちも「完璧にこなさなきゃ」と頑張り過ぎて、もうそれ無理ゲーでしょ!!と言いたくなるほど1日の間にやるべきことを詰め込み過ぎ。

 これじゃ寿命を縮めてしまいそう。

 家はいつも高級ホテルのようにピカピカ、節約しながらもお料理は出来合いのものを使わず美味しい手料理を作り、子どもにも夫にもいつもニコニコしながら献身的に奉仕、バリバリ仕事をして世帯年収を上げ、夫との性生活も満足させなければ夫が不倫した時に「不倫される側にも原因がある」などと周りから心無いことを言われ…。

 いやこれどんな無理ゲーだっ!?

 これじゃ、兼業主婦も専業主婦もしんどいはずですよね…。

 もう、完璧を求めるのはやめましょう。

 完璧な人間なんているはずありません。

 無理をしたらいつか必ず限界がきます。

 この本にも度々紹介されている家事代行サービスを使ったっていいんです!

 兼業主婦も、専業主婦も、独身の人も、どんどん人の手を借りて良いと思います。

 それを「恥ずかしい」なんて責める人がいたら、それは責める方がおかしいのです。

 それって、言うなれば、今溺れている最中の人に向かって「浮き輪を掴むなんて恥ずかしい。自力で陸に戻るべき」なんてアホなことを言っているようなものですから。

 以前「母親ならポテトサラダくらい作れ」と言い放ったという人のことがネット上で話題になりましたが、その暴言の主にはこの本の、

 「別に手作りじゃなくたって、品数が少なくたって、お母さんがニコニコしてくれていたほうがよかった」
(P120から引用)

 という、かつて子どもの立場だった人たちからの証言を是非読んでいただきたいです。

 完璧を求めてはいけません。

今溺れている最中の人に対しては、暴言を吐くのではなく浮き輪を投げた方が良いですし、そもそも溺れずに済むような社会を作るべき。

 兼業主婦も、専業主婦も、独身の人も、お互い少しでも楽に生きられるように。

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