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著…谷崎潤一郎 絵…夜汽車『二人の稚児』

 女性という生き物の多面性や、同じように育った人間だとしても考え方が異なるということを描いた小説。

 そして、ダメと言われれば言われるほど気になってしまう人間のサガも表現されています。



 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。




 この小説の主人公は二人います。

 千手丸と瑠璃光丸です。

 二人は幼い頃に女人禁制の比叡の山に預けられました。

 いずれも、俗世に関する知識はほとんどありません。

 好奇心が全く無いわけではないのですが、煩悩を断ち切るための勧行を積む周りの僧侶たちの苦労を見るにつけ、そもそも煩悩を知らない自分たちの境遇に感謝していました。

 いずれは二人とも仏の道を志すはず…でした。

 しかし、ふと、二人はあることに気づいたのです。

 それは、周りから「女人がこの世のわざわいの源だ」と聞かされているけれど、記憶の片隅でわずかに残る女性の姿は優しかった…ということ。

 なぜ女性は、菩薩に似た美しさを持ち合わせながらも、それほどまでに恐れられているのだろう?

 と二人は疑問を抱きました。

 その謎を解き明かそうとすればするほど、答えが出ないばかりか、余計に女性のことが気になる一方。

 そしてある日、千手丸が決心しました。

 「出家する前に女人というものを見てみたい」

 と。

 そして千手丸は山を下りていき…。

 …この先の展開がどうなるのか気になる方は、是非読んで確かめてみてください。

 わたしは女性なので幸か不幸か女性という生き物のリアルな姿を知っていますが、男性にとって女性は永遠の謎なのかもしれませんね。




 〈こういう方におすすめ〉
 女性という生き物の謎について考えるきっかけが欲しい方。
 ダメと言われれば言われるほど気になってしまう人間のサガを描いた小説を読みたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 2時間くらい。

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