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作…セネカ 訳…中澤務『人生の短さについて 他2篇』

 おはようございます。

 人生について見つめ直したい方におすすめの本をご紹介します。

 表題作『人生の短さについて』は、セネカがパウリヌスという人物に宛てて書いた作品らしいのですが、読んでみると全く他人事とは思えません。

 まるで自分が古代ローマの哲学者セネカに懇々と諭されているかのように思えて、「全くもってその通りだと思います。申し訳ございません」と謝りたくなります。

 セネカは以下のようなことを言っています。

 人は自分の財産を管理するときには倹約家なのに、時間については浪費家になる。

 それは、まるで自分が永遠に生きていられるかのように生きているからだ。

 無駄に過ごすうちに最後の日が来るが、その最後の日も自分以外の誰かや用事のために使われる。

 多くの人が50を過ぎたら仕事を引退しようとか60になったら公の役目から解放されるなどと言うが、そこまで生きられる保証はどこにも無いし、生きるのをやめなければならないときに生きることを始めるなんて遅すぎる。

 …と。

 辛辣ですが心に刺さりました。

 年齢が高い人=長く生きられた人というわけではない、というセネカの考え方にもハッとさせられました。

 また、この本には表題作以外に、セネカが追放されたことについて嘆き悲しむ母を励ます内容の『母ヘルウィアへのなぐさめ』、年下の親友セレヌスに仕事・友人・財産などについてアドバイスする内容の『心の安定について』が収録されてます。

 いずれも表題作同様、読んでいるとまるでお説教されているような気分になりますが、心をこめて諭してくれる感じなので、嫌な感じはしません。

 自分の生き方を反省させてくれる本です。

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