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著…江戸川乱歩 絵…ホノジロトヲジ『人間椅子』

 変態による変態のための変態を描いた小説。

 妖しい江戸川乱歩ワールド炸裂!

 どんな風にも解釈出来るオチも含めて、大好きな作品です。



 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。



 この作品のタイトルだけを読むと、「まさか人間が椅子になるの…?」と怖くなる方もいるかもしれませんね。

 安心してください!

 ある意味合っていますが、違いますよ!

 人間の皮や肉や骨が椅子の材料にされるといったグロテスクな話ではないので。

 主人公は、容姿にコンプレックスを持つ椅子職人の男です。

 その男がなんと椅子の中に入り、その椅子に誰かが座った時の感触を楽しんでいるだけですよ!

 …だけ、と言い切ってしまうのもどうかと思いますが。

 特に女性が座る時がお気に入り。

 大変だ!

 変態だ!

 大変だッ!!

 まさか椅子の中に男が入っているなんて思いもせず、素直に座ってしまった人の気持ちを考えると、ひたすら気持ち悪いですよね…。

 なぜか柔らかくて、妙にあたたかい椅子を想像すると…。

 ゾ〜〜〜ッ!

 また、椅子の中という、物凄く窮屈なところでジーーーッとしていないといけないわけですから、男はかなりのドMと呼べましょう。

 水も飲めないし。

 食事もとれないし。

 お手洗いにも行けないのに。

 なんというドM!

 脱水や膀胱炎やエコノミー症候群にもなりそうですよね。

 とは言え、

 (中略)こうして椅子の中で、窮屈な辛抱をしていさえすれば、明かるい世界では、口を利くことはもちろん、そばへよることさえ許されなかった、美しい人に接近して、その声を聞き、肌に触れることもできるのでございます。

(著…江戸川乱歩 絵…ホノジロトヲジ『人間椅子』から引用)


 と書かれているのを見ると、男に思わず同情してしまいそうにならなくも無いです。

 なんて歪んだ哀しい感情…。

 本当に男が椅子の中にいたのかどうかは、読者の解釈次第ですが、わたしは恐らく「いた」のだと思います。

 …ここまでこの記事を読んでくださったそこのあなたも、念のため、あなたがいつも座っている椅子の中に誰か入っていないか確かめてみてくださいね…。



 〈こういう方におすすめ〉
 江戸川乱歩ワールド炸裂の小説を読みたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 1時間くらい。

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