ヘンな奴
以前、SNSを介して知り合った高校生から相談を受けたことがある。
内容は「進学」に関するもので、中心は「大学にいくメリットは何か」にあった。
「人による」と答えて、相談を切り上げる人もいるだろう。実際に「人による」部分もある。ただせっかく相談してきた人に、その反応はあまりに残酷だと思い、自分なりに真摯に答えることに決めた。
振り返ると、もう少し答えようがあったなと反省している。当時の私は、ようやく京都の良さに気づき始めた時期であったので、大学がどういう地域にあるか、周辺にどんな施設があるか、をまず調べよう。それで「メリット」が変わる。なんなら、京都いいよ!、と熱弁を振るった。完全に、京都の回し者になっていた。
この熱弁の内容には、今でも変更はない。ただ、もっと言えることがあっただろうと後悔している。
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もう一度、冒頭の相談時に戻れるなら、私は「友だち」について話したい。
引用したのは、ドイツ文学者・種村季弘の「落魄の読書人生」からの一節。注目したいのは、「ヘンな奴」の箇所だ。
私自身そうであったが、大学在学時ほど、「ヘンな奴」に出会えた期間はなかった。京都在住という環境を活かし、他大学の学生とも交流が持てたこともあり、特定の分野に異常な拘りと情熱を傾けている人間とつながれた。
ここに大学のメリットがあると考えるが、それが全ての大学に当てはまるかどうかは自信がない。現に私自身、所属大学のみでこのメリットを享受できたわけではない。複数の大学に、比較的気軽に足を運べる環境があってこそだった。(こうなると、結局冒頭の話に戻ってしまうのだが。)
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ここで一つ付け加えておきたいのは、恩恵を受けるならば、恩恵を与える側にもならなければならない、という点だ。
大学に蠢く「ヘンな奴」と出会いたければ、自分自身も「ヘンな奴」になるのが一番手っ取り早い。本を貪り読む読書人間に会いたければ、それと張り合えるぐらいの読書人間に自ら成る必要がある。
種村の言う「人様からヘンパだと思われるもの」に熱中できる場として、大学ほど適切な機関はない。これから大学生になる人には、とことん熱中して「ヘンな奴」になってほしい、というのが私の願いである。
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