風邪の茶屋
先日、久しぶりに体調を崩した。朝、妙な悪寒を感じ、外出せずに様子を見ていると、みるみる熱が出て、気怠さが全身を包んだ。
とにかく横になって寝ようと、目をつぶるが、頭が熱暴走状態になっていて、言語化できない"何か"を考えるのに忙しく、眠れない。一方、身体の方は、私に眠ることを要求してくる。この板挟み状態は、かなり辛かった。
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子どもの頃は、よく扁桃腺が腫れて炎症し、熱を出すことが多かった。それでも、なぜか精神的な辛さを感じていなかったのは、母親が親身になって看病してくれていたことが大きい。
京都で一人暮らしを始めると、体調を崩しても看病してくれる人はいないという現実に気付いて、健康面には人一倍気をつかうようになる。とくに年末年始など、気が緩みがちな時期には、細心の注意を払うようにしていた……が、今回は風邪に軍配があがったようだ。
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昨年末に読んだ、石田千のエッセイ集に、こんな一文があった。初読の際は、特段印象に残らなかったが、いざ体調を崩してみると、強く思い出されてくる。
寝床の中で、エッセイを読み返してみると、著者が風邪のときに食した、母直伝の白菜スープの調理シーンがある。その時食欲が減退気味だった私も、思わず「うまそー」と唸った。
一晩休むと、幸い頭の熱暴走状態からは解放されて、身体の気怠さも大方解消したが、上記の教えに倣って、もう一日ゆっくり家で過ごすことに決める。
熱のあるなしに関わらず、時には自分の身心を労ってあげることが大切である。そのことを痛感する数日だった。
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