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【最澄と空海】日本仏教の礎を築いた二人の先駆者、その軌跡をたどる2冊

2021年に最澄(伝教大師)は没後1200年を迎えました。また、2023年には空海(弘法大師)が生誕1250年、真言宗開宗1200年という節目の年を迎えます。

同じ遣唐使船で唐を目指したエリート層「最澄」と無名僧「空海」。その交流は当初、師匠と弟子という形で10年近く続きましたが、ある時を境に疎遠になります。

ひとつは、最澄が空海に『理趣りしゅ釈経しゃくきょう』という経典を貸して欲しいと申し出たのに対し、空海がそれを拒絶したこと。もうひとつは最澄の弟子の泰範たいはんが空海の元に修行に行き、そのまま空海の弟子になったことです。

晩年の最澄は、奈良仏教の論客との理論闘争に明け暮れていたのに対し、空海は奈良仏教の僧たちとも交流。さらに空海は高野山や教王護国寺などの密教修養道場や教育の場を次々に建立し、治水事業や貧民救済などの社会事業も行いました。また天台密教は後年、鎌倉新仏教へとつながり、日本仏教の発展に寄与したことで知られます。

2人の開祖は同時代をどう生き、何を学び、何を協力し、なぜ反目するに至ったのでしょうか?

宗教学の第一人者・山折哲雄氏が編者をつとめる本シリーズでは、2人が生きた時代や生き様、足跡を辿ります。

空海に秘められた古寺の謎

弘法大師と辿る高野山と真言宗
山折哲雄 編

空海に秘められた古寺の謎

2023年は空海生誕1250年、真言宗開宗1200年の節目を迎えます。四国の豪族の家に生まれ、遣唐使の一員として唐で学んだ空海。当初はまだ無名の一僧侶でしかありませんでした。

同時代の最澄が1年を使い様々な仏教の勉強をしたのに対し、空海は2年ほどの歳月を使い唐で密教を集中して学び、それを日本へ持ち帰り、発展させ、真言密教を完成させたことで知られます。

本書では、故郷の讃岐や高野山をはじめ、東寺、久米寺、太龍寺など、足跡としての古寺を通して、周年で注目高まる空海の人生を見ていきます。


◇  ◇  ◇

最澄に秘められた古寺の謎

伝教大師と辿る比叡山と天台宗
山折哲雄 編

最澄に秘められた古寺の謎

留学僧として中国に渡った最澄は、最新の仏教知識と文物を日本にもたらしました。また、修行道場として比叡山を根拠地と定め、同時代の空海とともに仏教の二大開祖とされ尊敬されています。

空海の真言宗となにかと比較されますが、特筆すべきは後世への影響度です。はるかのちの時代(鎌倉時代)になって、法然、親鸞、道元、日蓮など個性的な仏教者がみんな比叡山での修行を経験していたということです。その意味で比叡山は「日本仏教の母山」とも呼ばれています。

本書ではまず最澄の生涯をたどり、あわせて比叡山や最澄ゆかりの古寺社を紹介。さらには、最澄の著作や彼の後継となった天台の高僧たちの系譜をもたどることで、日本仏教の母胎となった最澄と天台仏教の魅力を再発見します。


◇◆◇「古社寺の謎」シリーズ ◇◆◇

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