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呼吸療法認定士

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【文献抄録】肺炎患者の再入院について

【文献抄録】肺炎患者の再入院について

医療・介護関連肺炎患者の再入院に影響を及ぼす因子の検討

抄録NHCAPにより再入院する症例は、
①アルブミン低値(低栄養)
②高齢
③退院時ADLが低い(主にFIMの運動項目)
④安静臥床の長期化(離床までの日数が短い)
⑤退院後のケアを提供する者への情報提供方法において対面伝達を行っていない
などの特徴が確認された

酸素療法の加湿について

病棟で酸素療法をされている患者様をみて思いました。

酸素を加湿しなくてもいいのかな?

呼吸療法認定士の試験勉強の時に酸素の加湿は絶対必要!と覚えた気がする…

ガイドラインにより異なるが

低流量システムでは、酸素流量3〜5L/分以下の時
高流量システムでは、酸素濃度40%以下の時は
酸素加湿は必要ないと言われている。

どうして?

①鼻腔を介して呼吸をしている

②1回換気量に占める配管か

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呼吸療法で頻出単語と解説

<CO2ナルコーシス>
肺胞換気量が低下する、II型呼吸不全の場合、高濃度の酸素吸入を換気補助なしに行うと高二酸化炭素血症が増悪する。

※状態が安定している慢性II型呼吸不全では腎性代償により、pHは正常に保たれており意識障害は生じない。(呼吸性アシドーシスの腎性代償)

症状:意識障害、自発呼吸減弱、高度の呼吸性アシドーシス、呼吸促迫、頻脈、発汗、頭痛、血圧上昇、羽ばたき振戦

対策:酸素投

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19.在宅人工呼吸

HMVの現状

・欧米では1940年代後半から1950年代前半にかけて大流行した小児麻痺の後遺症である呼吸筋麻痺患者が多い中で開始された
・1980年代前半からNPPVが開始された
・日本では、1975年ごろ、神経難病看護の領域で必要に迫られてHMV実践が開始された。
・HOTと異なり全国で合意のガイドラインがないまま1990年代にHMVの保険適用が開始されてもHMV療養者数は増加しなかった
・1

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18.人工呼吸中の集中治療

人工呼吸患者の病態

・呼吸不全とは「外呼吸の障害により血液ガスが異常な値を示し、そのために生体が正常な機能を営み得なくなった状態」と定義
・低酸素血症により、重要臓器への酸素供給が減少し、心機能障害、意識障害、急性腎不全、肝機能障害などが招来される。
・人工呼吸中に肺炎を併発することがあり、肺炎には抗菌薬を使用。
・肺炎の治療と抗菌薬の効果を判定するために末梢白血球数やCRPの動向をチェック

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17.呼吸不全における全身管理

呼吸不全と生体機能

・呼吸不全は呼吸器疾患に限らず敗血症などの呼吸と直接関係のない疾患でも生じる
・肺から全身臓器への酸素供給と二酸化炭素排出が障害されるので二次的に生体機能の障害が生じる

呼吸不全管理の原則
①原因疾患の治療
②合併症の予防と治療
③生命維持のための支持療法
④精神面の管理
⑤包括的呼吸リハビリテーション

原因疾患と合併症の管理

1.急性呼吸不全における管理
①ARDS

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16.人工呼吸中のモニター(その2)

カプノメトリ

吸気中には二酸化炭素は含まれていないため、呼吸中に連続的に測定すると。二酸化炭素レベルが0〜5%まで行ったり来たりするグラフが得られる。

1.正常なカプノグラムの説明
1呼吸サイクルのカプノグラム:
第1相:気管チューブや気管などの死腔が呼出されるため二酸化炭素が上昇しない
第2相:肺胞気が呼出され二酸化炭素が上昇
第3相:ほぼ肺胞気だけ呼出され濃度一定のプラトー
第4相:吸気が

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16.人工呼吸中のモニター(その1)

人工呼吸管理中に使用されるモニター

①換気モニター
・気道内圧
・気道流量、換気量
・換気回数

②呼吸ガスモニター
・酸素濃度
・二酸化炭素濃度

③換気力学モニター
・コンプライアンス
・気道抵抗

④血液ガスモニター
・動脈血ガス分析
・パルスオキシメーター
・経皮ガスモニター

パルスオキシメトリー

①測定原理
・660nmの赤色光と940nmの赤外光を当て、身体を通過して透過し

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15.新生児・小児の呼吸管理

新生児の呼吸管理

1.胎児循環
・胎児のガス交換は胎盤に依存している
・胎盤で酸素化された静脈血は、一部は門脈血と合流して肝臓を循環するが残りは静脈菅を介して下大静脈に合流する。
・下大静脈は卵円孔に向かい合うように右房に開口。2/3は左心房へ流入し、脳、心臓、上肢へ灌流。
・酸素含量の少ない上大静脈血は下大静脈の一部と合流して右心房から右心室へ駆出され動脈管を介して下行大動脈に流入。
・出生が

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14.開胸・開腹手術後の肺合併症

術後肺合併症とは

・術前の呼吸器疾患の増悪
・術後に呼吸障害
・脳、心、肺、食道手術、開胸(肺切除、食道手術)、開腹(上腹部)に多い

術後呼吸障害の種類と肺合併症
①換気障害
・呼吸中枢抑制
・呼吸筋の運動抑制
・上部気道の狭窄・閉塞

②肺胞でのガス交換の障害
・無気肺
・肺炎
・肺水腫
・間質性肺炎

③循環障害
・肺血栓塞栓症

呼吸不全の種類別にみた術後肺合併症

1.換気障害
原因:

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13-1.人工呼吸とその適応、離脱

自発呼吸と機械的陽圧換気との違い

①自発換気
・吸気は横隔膜の収縮により、胸腔内圧が陰圧となり空気が肺内に流入する。
・呼気は横隔膜の弛緩により受動的に空気が呼出される。
・自発呼吸中は常に陰圧を維持している
・吸気時に胸腔内圧が低下するため右房圧が減少し、静脈形における中枢と末梢との圧較差が拡大する。それにより静脈還流が増加し、心拍出量を増大する。

②機械的陽圧換気
・気道内へガスを圧入し

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13-2. NPPVとその管理法

はじめに
①急性呼吸不全
・発症前呼吸器疾患を伴わない。
・元の状態に服されることが期待されるため、 侵襲的な呼吸管理を含めた呼吸管理を基本とする
・従来の方式によるIPPVの対象となる疾患は患者の了解が得られればNPPVの対象となる。

②慢性呼吸不全
・慢性呼吸器疾患を伴う。
・在宅酸素療法(以下HOT)により、低酸素血症(hypoxemia)を防止し、悪化の徴候を早期に把握し、可能な限り非侵

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12.気道確保と気道管理

気道確保

・呼吸ガスが通りやすいように気道を開通させ、ガスの通り道を作る事を気道確保という。
・舌根沈下により気道が閉塞している症例や人工呼吸を行う場合は気道確保が必要である。

1.気道確保の方法
・用手的に行う
・エアウェイなどの器具
・気管挿管、気管切開によるもの

①用手的な方法
顎先挙上法:
・片方の手を前額部に置き、軽く頭部を固定しつつ、もう一方の2指、3指を下顎先端の頤部にあて

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11.人工呼吸器の基本構造と保守および医療ガス

人工呼吸器は肺の機能を代行(主に換気)、つまりや警報は生命に直結するトラブル

人工呼吸器の作動原理

・吸気時に呼気弁が閉じ、患者の肺に陽圧がかかって吸気が起こる。
・呼気時には呼気弁が開き、気道内圧と大気圧の差にやって呼気ガスが呼出される。
・呼気時は胸郭と肺の弾性収縮力のよってガスは呼出される。

人工呼吸器の基本構造

①駆動源接続部
・電気と医療ガスを駆動源とする
・電源は非常電源(赤ま

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