16.人工呼吸中のモニター(その1)

人工呼吸管理中に使用されるモニター

①換気モニター
・気道内圧
・気道流量、換気量
・換気回数

②呼吸ガスモニター
・酸素濃度
・二酸化炭素濃度

③換気力学モニター
・コンプライアンス
・気道抵抗

④血液ガスモニター
・動脈血ガス分析
・パルスオキシメーター
・経皮ガスモニター

パルスオキシメトリー

①測定原理
・660nmの赤色光と940nmの赤外光を当て、身体を通過して透過してきた光を受光部で受け二つの波長における吸光度を測定
・赤色光はヘモグロビンで吸光度大きく、赤外光は酸素化ヘモグロビンで吸光度が大きい

②注意点
・PaO2とSaO2の関係を理解しておくこと

③パルスオキシメトリーに影響を及ぼす因子
・プローブの装着不良
・吸光度曲線に混入するノイズ
体動、電気メス、室内光
・末梢循環不全
・一酸化炭素ヘモグロビンやメトヘモグロビンなど異常ヘモグロビンの存在
・体内に注入された色素
メチレンブルー、インドシアニングリーン、インジゴカルミン、パテントブルー
・マニキュア

④最近のパルスオキシメーター
・装着部位が前額部、耳、鼻などでも可能なもの
・ノイズの影響少ない、末梢循環不全の影響も少ない様にできてる

経皮ガスモニター

・皮膚に電極を装着して、経皮酸素分圧、経皮二酸化炭素分圧を測定

①測定原理
・皮膚表面から拡散した酸素の還元反応を利用して電流が生じることを応用
・皮膚表面から拡散した二酸化炭素が電解質液のpHを変化させることを測定

②測定前の準備
・電極組み立て
専用の電解質液やメンブレンを組み立て
・センサの較正
標準ガスにセンサを当てて絶対値を合わせる
・センサの貼り付け
皮膚の厚い部位を避け、センサ温度を42〜44℃に設定
・センサ装着後5分で測定値は安定

③新生児から小児での応用
・皮膚が薄く、経皮酸素分圧とPaO2との高い相関がある
・PaO2の上昇もパルスオキシメーターでは測定できないが、経皮ガスモニターでは測定でき、未熟児網膜症の予防に有用

・ショックや末梢循環不全があると動脈血ガスと大きく乖離するので注意

④成人での応用
・成人では皮膚が厚く、動脈血ガスとの比は0.7〜0.8で差は大きい
・成人では普及しなかったが、近年改良が進められ成人でも用いられる

気道内圧、流量、換気量および換気力学

1.気道内圧、流量および換気量
・気道内圧は呼吸回路、気道、肺胞の内圧の総和

①気道内圧
測定方法:
・呼吸回路内に発生する圧変化を細い管にて圧トランスデューサまで導いて測定

表示方法:
・呼吸サイクルの各点の圧を数値で表示
・気道内圧曲線は、横軸に経過時間、縦軸に気道内圧をとる

利用方法:
・気道内圧の絶対値の把握
・換気モードの確認
・患者と人工呼吸器の同調性の評価
自発呼吸の有無、ファイティングの有無
・警報装着や安全装置に応用
低圧、高圧アラーム
・人工呼吸器の作動機構
PCVやPSV、CPAPなど気道内圧を指標とした換気モードの制御、PEEPの制御など

②流量、換気量
測定方法:
a:差圧型フロートランスデューサ
・気体が流れる管の中に抵抗を置き、その前後で生じる圧差から流量を測定している。抵抗として網構造やプラスチックまたは金属板の薄い可動性のフラップなど

b:熱線流量計
・気体が流れる管の内部に熱した金属線を張り、流れるガス流量が多いと熱が失われる
・熱線の温度を保つのに必要な電気量からガス流量を求める

c:超音波流量計
・超音波の伝達速度から管内の気流方向と速度を検出

測定部位:
・人工呼吸器本体の吸気側、呼気側またはYピースで測定

表示方法:
・換気量を数値で表示
吸気一回換気量、呼気一回換気量、分時換気量
・流量曲線
横軸に経過時間、縦軸に流量
・換気量曲線
流量を積分

利用方法:
a:吸気、呼気の一回換気量、分時換気量の絶対値の把握
b:換気モードの確認
c:患者と人工呼吸器の同調性評価
自発呼吸の有無の確認
補助換気の流量の換気量の確認
d:警報装置や安全装置に使用
e:人工呼吸器の作動機構
VCVなどの流量を指標にした換気パターンの制御
PTVのフロートリガーとして利用
PSVでの吸気相から呼気相への切り替えの指標

③換気力学モニター
・定常流調節換気時の1呼吸サイクルの気道内圧、流量および換気量から患者の換気力学が把握できる

コンプライアンス:
・換気量変化とそれに伴う圧変化から求める
・静的コンプライアンス
1回換気量/ポーズ圧-PEEP
・動的コンプライアンス
1回換気量/最高気道内圧-PEEP

気道抵抗:
・ガス流量とその時に発生する圧から計算
・最高気道内圧-ポーズ圧/ガス流量

④グラフィックモニター
・気道内圧曲線、流量曲線、換気量曲線、圧容量曲線、流量容量曲線など表示がある

換気モードの確認:
・吸気開始相
時間サイクル式、患者トリガー式
・吸気相
流量駆動型、圧駆動型、ポーズ時間設定
・呼気開始相
圧サイクル式、容量サイクル式、時間サイクル式、患者サイクル式
・呼気相
PEEP設定

自発呼吸と人工呼吸器の同調性の確認:
p465〜466参照

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