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季節にまつわるおしゃれの話

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#思い出

12月・きいろい手ぶくろと母

12月・きいろい手ぶくろと母

母は裁縫が得意だった。

まだほやほやの赤ちゃんだった40年前の写真の中のわたしは白いニットを着ていて、それも母の手作りだったそうだ。

アルバムには他にも家族4人で、まるでスーパー銭湯で着るような(イメージだが)お揃いの洋服を着ている写真がありこれも母製。
それから叔母の結婚式の参列用にわたしのドレス、弟と従兄弟にはセーラー襟の洋服を作ってくれた。
他にもちょこちょこと、とにかく作ることが好きだ

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8月・かわいい服を着ればかわいくなれると思っていた

8月・かわいい服を着ればかわいくなれると思っていた

わたしは洋服が好きなのだろうか。
それとも好きな洋服を着た自分が好きなのだろうか。
そんなことを考るきっかけとなった遠い夏の出来事について今日は書きたい。

中学3年生だった。
春に修学旅行があり、わたしは憧れのラフォーレ原宿に行った。

雑誌大好き少女であり、一番ときめいたのはジッパーやキューティーの世界。
当時はカラフルな髪色、厚底の靴を履いてフリルのついたデコラティブな洋服を着こなす街角スナ

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3月・卒業記念に母とピアス

3月・卒業記念に母とピアス

耳たぶに計3つの穴があいている。

右に1つ、左に2つ。
触れると表裏にぽこっと感触があり、今でもちゃんと残っているんだなあといつも感心する。

穴はあってもピアスはしない。
かゆくなってしまうのだ。

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21年前の3月2日。

高校の卒業式を前日に終えていたその日、わたしは母と、耳にピアスの穴をあける約束をしていた。

わたし18歳、母45歳。

ずっとピアスに憧れていた。
でも校則で禁止

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